Journal 01.1,2017

食卓が好き、菊地食堂は私が作った料理の写真です。

母は料理がとても上手でした。
うちでしか食べた事がないような料理が沢山あって、だけどなんか恥ずかしくていつも秘密にしていました。キャビアのことも、ラザニアのことも、土瓶蒸しに、テリーヌに、ピンク色の寿司飯、ミートローフのことも。きらきらとひかる食卓がとても美しくてその光景が大好きでした。

豆もやしご飯

Journal 22.10,2020

昨年、料理家さんのアトリエでキムチ作りをした。その時に教えて貰った豆もやしご飯。韓国ではよく食べるんだそう。冷蔵庫に残ってた豆もやしを見て急に思い出した。あ!あれを作ろう。

双子の兄と姉がこれからの事を一緒に進めてくれてる。兄弟LINEで双子のやりとりが続く。夫の事をぼろくそに言ってる。ふざけないと、現実を受け止められないんじゃないか。夫が最低な事は知ってる。出会った時から最低だった。だけど、いい所も沢山あって、けど、最低な所は本当に最低だった。一緒にいて、変わったのに、夫は変われたのに、また戻っちゃった。これから何が起こるのか想像が出来る。だけど、もう見ない。

急に色々が動き出してる。前へ進む為に準備してきた事が、本当に前へ進むと思うと怖くなった。最近はずっと調子が良かったけど、きっと神経を使い過ぎたのかな、午後から頭痛が酷い。4時に麦酒1本とオオゼキにみどり寿司を買いに行く。飲まない方がいいのはわかってる。もっと辛くなる。だけど、飲まなくても今日は辛い。これから沈殿した何かみたいになる。

夫がいなくて寂しい。ひとりぼっちの家が本当は寂しくて堪らない。この家をぺっちゃんこにして捨ててしまいたい。ねーちゃんとか、心配してくれてる友達が私の気持ちを知ったらきっと怒るだろう。

私は夫を嫌いになれない。

豆もやしご飯

豆もやし
ごま油



梅干しご飯と火鍋の残りとアボガドマヨ。

Journal 21.10,2020

昨日から急に嬉しい事がやってくる。
まず、伊勢丹で驚くほどに気に入ったコートを見つけた。仕事の時、その辺にぱっと脱ぎ捨てても気にならないような黒とか、少し防水機能があるようなコートにしようって思って探してたんだけど全然いい感じのが無い。頭の中ではもう300着以上試着してる。伊勢丹でおねーさんとお喋りしながら色々なブランドの色々なタイプのコートを7着くらい試着した。私が欲しいのとは全然条件の違うコートが1枚。袖を通した瞬間にこれ!って。けど、予算だってずっと超えているし、黒じゃなくてベージュだ。私の大好きな薄いベージュ。「ちょっと、5分考えて来ます。」って言って、1分で戻って買った。正直、好きすぎて着たく無い。

それに、頼んでた来年度のほぼ日手帳が届いた!毎年誕生日の頃に買って、早々と新しい年の物を使うのが私の新年を迎えるスタイルだ。何だか無性にドラえもんのが欲しくなって、いい歳だし、子供っぽいかなぁって思ったけれど、誰になんと言われようが、もういい!ドラえもんがいい!!ってドラえもんがやってきた。早速開封して、にんまりやって、今は大事にデスクの引き出しにいる。来月の誕生日をスタンバってくれてる。ドラえもんに、時には哀しい事も書く日もあるだろう。だけど、大丈夫。だってドラえもんだから。

午後から、8年間のアルコールの記録に目を通す。これはこれから大切な記録として私から離れていく。自分の感情を乗せないように記さないと、冷静に文章に目を通す。何だか自分の事じゃないみたい。優しい夫はどこにいったんだろう。思い出を必死に真っ黒に塗りつぶしてる。外はもう真っ暗。ああ、お腹空いた。

米をお鍋にセットして浸水させてる間に風呂に入る。風呂上がりに、火をつけてぱぱっと炊く、残り物の火鍋を温めて、アボガドにマヨをかける。茶碗に米を山盛りにして、上にのせて炊いた昆布、梅干しをちょこん。えー可愛い!走ってカメラを取りに行った。

バターチョコレートサンドとミントティー

Journal 20.10,2020

朝食はバターチョコレートサンドとミントティーにする。ねーちゃんと電話で喋りながら食べる。「あのさ、淑美、もしかして未だ戻りたいなんて思ってないよね?」

夜、渋谷で後藤さんと会う。もし運命とか縁というものがあるなら、彼女との出会いはそういうものな気がする。大学生の時にバイトしてた、渋谷の桜ヶ丘にあったWIRED CAFFEの先輩。APCのデニムに白のコンバースが後藤さんのスタイルだった。数年前に近所の居酒屋で遠くの机に白のコンバースを履いてる女性がいる。見上げると17年ぶりの後藤さんがいた。

偶然の再会から1年後くらい。当時よく一緒に仕事をしてたミオちゃんの上司だって事を知る。嘘でしょ?って、あまりに偶然が重なった。こんな再会ってあるもんだ。

「困った事があったらいつでもいいから連絡して。」
私が一番大変だった時、直ぐに家に駆けつけてくれる。私達の間には十数年の年月があるのに。

「考えたって仕方ないんだから。考えない。進むしか無いんだから。」後藤さんは離婚を控えてる。長い決断を一人で乗り越えた。きっと大変だっただろう。だけど大人な対応だった。もう結婚はしないって。

こういう人と家庭を持ったら、男は幸せに生きれると思う。前向きで過去を振り返らない。淡々と今日を笑って過ごす。「だって、悩んでる時間勿体無いじゃん!」今夜も大きな笑顔で笑ってる。一緒にいるだけで元気になれる。ありがとう。気持ちがいい人!

鍋のシメに山椒饂飩。

Journal 19.10,2020

また人が亡くなった。
師匠のアシスタントで一度現場で立ち会った事がある。四人組の女の子達。普通の女の子、高校生みたいにずっとおしゃべりしたり、悪ふざけしてた。可愛らしいなって思った。変わった名前のバンド名だったから覚えてる。赤い公園。何年前だろう。ずっと前。

何だか思った。
夫の様に弱いと言われる人は絶対に死なない。死ぬのは私みたいな方なんじゃないか。皆が言う。「彼は弱いからって。」夫は言う。「俺が弱いからって。」何度、夫は私に泣きついてきただろう。その度に私は私の声を飲み込んだ。私は強いからって。強い方が強くなればいいって。夫が失態を犯したのに、私が強くなる。そうやって私は、女というものは強くなるもんだと勘違いをしていった。

誰一人として、私は弱いねって言わなかったし、私の声に気づいてくれる人はいなかった。私もそう。あの朝、りょーこちゃんだけが私に言ってくれるまでは。

ねーちゃんが言う。
「じゃあさ、彼は毎日胃が痛いの?彼は身体壊した?彼は仕事出来なくなった?苦しんでる?毎日泣いてる??食事が喉を通らない?あなたは彼に傷つけられて、こんなに酷い事になってしまった。じゃあ、彼は今何してる??女と遊んでたよね。また酒呑んでたよね。ライブとか出来てんでしょ。普通にご飯食べてるよね??いい加減にしなよ。」

夫が病気だからって未だに庇い続ける私にねーちゃんが怒った。あれって、怒られてる事よりも、言ってる言葉の意味に違和感を感じた。そうだ、確かに。

夫はコロナが始まってから毎朝、ツイキャスっていうのをやってる。酒で散々喚いた朝だって平気な顔をしてやってた。夫のそういう姿に毎朝傷ついた。今、どういう心境で笑って喋ってるんだろう。家族が隣で苦しんでるのに、そんなに楽しそうに笑えるの?夫が母親を邪険にするのを思い出す。何度も止めてとお願いした。ああいう関係にはなりたくないって心のどこかで思って見た。私なら絶対にあんな事出来ない。お母さんに絶対にあんな酷い事したくない。夫にとって家族って何なんだろう。

人が死ぬのは哀しい。
わかる。彼女の気持ちはわからないけれど、わかる。あの時の感覚を一生忘れない。頑張りたいのに、頑張れるのに、どこにも答えが見つからなくて途方にくれる時間。数分とか数時間じゃない、計れなくて見えない時間。後ろから押されるようにやってくるそれに追い立てたれて、前に潰れてゆく。私は強いから大丈夫だった筈なんだけど、卵が床に落ちた時みたいに、ぐしゃりと形あるものが一瞬で違うものに壊れてゆく、あの感じ。もうあそこには行かないって決めてる。

さぁ、食事をしよう。もう大丈夫。哀しい事の次には、希望のある事をしよう。寒い日は鍋。独りだってシメまでやる。最後は饂飩と山椒。鶏の出汁や野菜の旨味がたっぷり。白菜なんて1/4個くらい、とろとろにしちゃえばあっという間に食べれる。温かい。温かくて美味しい鍋。ぴりっとした山椒がお腹いっぱいでも食べれちゃう。美味しいものは誰かと食べたい。いつかそんな日がまた来るだろう!!

白菜と鶏肉の鍋
鳥手羽元
白菜
禰宜
豆腐
醤油
みりん
昆布
山椒

東京

Journal 18.10,2020

用事があって新宿を歩く。何だかすごい人。
伊勢丹に行って直ぐに帰る。もう嫌。

帰って久しぶりにチューハイを呑む。東京目黒ハイサワーっていうチューハイ。成城石井にしか売ってない。お気に入りのチューハイ。

直ぐに酔っ払う。テレビをつけるとサザエさん。
いつになったら私はもう少し楽になれるのかな。結婚っていうのは、人生にとって大きい事だと思う。昨年に夫と生命保険をかけあった。夫は不摂生ばかりしてるから、きっと私より夫が先に死んじゃうのかなって、だけどそれがいいって思った。私は強いから大丈夫。正月には夫の実家の近くでアンティークのチェストを買って、東京に帰ってきたら吉祥寺で北欧アンティークのテーブルを買った。10年後、20年後、この家具がどうなるのか、すごく楽しみだなって。昨年の新婚旅行でデンマークに行ってから、北欧家具が好きになったから。家族の様に家具を大切にする。そういう文化が素敵だって思って、長く使える家具を選んだ。ずっと一緒にいようって。ずっと一緒にいたかった。出来る事なら。

心療内科の先生からお酒は飲まないようにって言われてた。その言葉がよくわかる。お酒を飲むと何かが、ぐっと溜まる。ずっとそこに停滞してしまう。

早く寝よう。お願いだから、今日を終わりにしよう。明日が来れば、明日っていう日はいつだって新しくなる。

そう、夕方に歌ってた女の子がいたな。
新宿駅の南口で30代くらい子。周りには、中年のおじさんが数十人と囲んでる。女の子は誰かの歌をカラオケしてた。売れなくてお金を貰ってるのかな、夫を見てるようで、気になって耳を傾ける。言葉をなぞったような唄、浮いてるように聞こえる。声が下手くそだっていい唄は歌えるよ。見てみなよ、目の前におじさんしかいないでしょ。本当に歌いたいんだったら、あなたが本当に歌いたい場所で歌いなよ。下らないものを全部すてて、本気で歌いなよ。未だ怖いなら、怖いって唄を歌いなよ。

嫌いだ。こういう東京の顔は嫌いだ。夫の汚い部分を見てるようで苛々する。

ヌテラトースト

パン 17.10,2020

我が家のドアを開けると、張り替えたばかりの畳の匂いがした。久しぶりの家。ああ、いい香り。窓を開けて、掃除機をかける。石垣島とは全然違う風だな。冷たくて、少しひりひりする。ここの空気は未だ私には優しくない。現実に一気に戻ってしまった。

本当の事を言うと、今も寂しい。
どんなに酷い事をされようが、急にお酒に戻ってしまった夫に、この現実に、一生私は消化出来ないまま死んでいくんだろう。夫を嫌いにはなれない。夫を今でも好きだと思う。夫にお酒を呑ませた人を憎んでる。そんな下らない事を考えても意味が無い事なんてわかってるけれど、彼がいなければ。一日に何度も頭を過ぎる。彼が夫に大量にお酒を呑ませなければ。

夫には本当に酷い事をされた。朝昼と構わずに大声で喚き散らして、髪を掴まれたり、首をしめられたり、ここ最近は殴りかかってくる夫を呆然と見ている私がいた。嘘みたいな話だけど、現実だ。夫は病気だから仕方ない。いつも心でそういい聞かせた。彼は苦しんでるって。

家でご飯を作り、待っても、待っても、夫は帰らない。また女と遊んでる。また酒。また嘘をついてる。嘘だってわかっても責めない。夫は病気だから。仕方ないんだ。

飲み友達に作ってもらった会社の事を何度も聞いた。「家族で話そう。大事な事だから、何の会社か教えて。」夫は家で椅子に座る時間でさえ作らなかった。きっとそんな時間だって怖かったのかもしれない。変わっていく自分から逃げ続けてるように見えた。「俺は忙しんだよ!邪魔すんな、うざったいんだよ。」いつも同じ言葉。機嫌が特に悪い時は「お前ぶっ殺すよ。」って殴りかかってきた。2年前もそうだった。夫は全然違う夫になる。優しくて気弱で、物腰の優しい夫じゃない。私しか知らない夫になる。ため息しか出ない毎日。永遠に続く真っ暗なトンネルを走ってるみたいだった。夏が暑かったのかどうかも覚えてない。

時々、こんな事を言う人がいる。
「大丈夫?DVとかされている女性みたいだよ。」何だか馬鹿にされているような気持ちになる。わからないくせにって、喉のすれすれまで出かけて、いつも口を噤んだ。だって、わかるわけが無い。林檎を見て、食べもせずに「真っ赤で甘い林檎だね。」っていう具合に。

誰だって、私だって同じ。いつも考えてる。何が正しいか正しくないか。何が自分にとって良いか、悪いか。今、ここが、いつだって答えになる事もわかってる。わかってる。わかってるから、いつも、目の前で現実を見てきた。想像なんかはしない。この人が悪くなるだろうなんて起こってもいない未来を想像しない。それは夫がこれから選ぶ事だから。そう決めて隣にいた。

この先も悲しみは癒えないと思う。だけど、仕方ない。心と身体が、東京を離れて元気を取り戻してきた。こういう事なんだ。もう元には戻れない。勘違いしてた。幸せだった頃の私に戻れる気がしてた。平穏だけを知ってる私がもうすぐ帰ってくる。違う、これからは、心についた傷と一緒に生きていくって事なんだ。胸がえぐられるような気持ちも、人に裏切られた悲しみも、人に手をあげられた苦しみも、全部、私の中のまま。

今日は姉の息子マルコスの誕生日。ヌテラを見るとマルコスを思い出す。あの子はヌテラ狂だから。石垣島のホテルで小さいパックになってるヌテラを見つけて、嬉しくなって幾つか持って帰ってきた。甘い物はそんなに好きじゃないけど、朝食はヌテラトースト。彼のダディ、ニコちゃんが死ぬ間際に「お前がこれからはボスだからな。」マルコスにそう言ったって聞いた。今日で11才になったマルコス。今、彼の心のどこにその言葉はいるんだろう。お誕生日おめでとう、大好きだよ。

西表島

Journal 15.10,2020

緑色の中をずっと車で走る。ずっと緑。上は青。ずっとずっとそう。人が優しい。穏やかだ。目をつぶって深呼吸を沢山する。

今の私には東京が辛い。千葉で生まれて、直ぐに東京の学校に通って、ずっとずっと東京で暮らしてきた。優しい人の側にいたい。優しい場所で安全に暮らしたい。東京が嫌いってわけじゃない。だけど、ここに来て感じる事は、やっぱり狭い場所にいたって事。あの地獄は池尻大橋のマンションにある一室の出来事だった。外に出たら、世界はずっと優しかった。美しかった。伸び伸びと深呼吸をする。通りがバンを走る度に怯えなくてもいい。街角で帽子のつばを深く被らなくてもいい。ここには夫の影はいない。

ずーっとずっと先まで見える景色に安心する。ずっと青とか、ずっと緑っていい。今日は心から言葉が出て来ない。すごく、いい。すごく、調子がいいって事だと思う。

ソーキ汁定食

Journal 14.10,2020

ソーキ汁定食。ご飯と汁のセット。シンプルですごくいい。汁には、空芯菜、昆布、冬瓜、豚肉が入っていた。コレーグースをたっぷり入れて戴く。最高だね。何も考えないで、空や海を見て、移動する車の中で昼寝をした。こういう風に全身で何かを思いっきりに感じれる時間って久しぶり。身体が喜んでる。頭よりもずっと身体の方が素直で色々な事を知ってる気がした。広大な景色を目の前にしてファインダーを覗く時にいつも思う。なーんてちっぽけなんだろうって。写真って本当ちっぽけ。さっさとカメラを投げ出して、景色の中に全身で埋もれる。あー気持ちい。

石垣島

Journal 13.10,2020

久しぶりに東京を離れた。
気持ちがすごく楽だ。朝目覚めた時に新しい場所にいる。それだけで、ずっと楽。

気づいた事あある。
夫が暴れても、それが病気だと言うなら、私は夫を支えなきゃいけない。だけど、夫が私に手をあげても、病気だと言わないなら私はただ庇ってる事になる。現実は同じなのに。病気でも病気じゃなくても、現実はどっちでもいいんだって思った。

私はずっと夫が病気だからと思って我慢してきた。我慢して乗り越える事が私の出来る事だと思っていた。

石垣島は今日は曇ってる。

ねぎそば

Journal 11.10,2020

お腹が空いた。もうすぐ2時だ、お昼食べなきゃ。

以前なら次から次へと入って来る仕事を綺麗にこなしてた。とにかく時間がない、朝から晩まで時間がない、だから効率的にやるには、記憶の浅いうちにデーターを仕上げる。だけど、今は何でもいい。いいタイミングでいい。夫の世話が無くなった私にはたっぷり時間がある。心の言う通りにしていたら、あっという間に週末には仕事が溜まっていた。

朝から作業をして、納品を終えると同時に寂しさがやってきた。朝から曇っていた空から陽射しが部屋に差し込む。すごく寂しい。その後ろには未だ怒りもいる。この苦しみに何の意味があるんだろう。べったりと心にこびりついてるそれを何度も何度も拭ったけど、取れない。取れたとしても、また翌朝には出てくる。決めようと思う。もう許さない。決めないと私は前に進めない。

ねぎそば
中華麺
ねぎ
黒酢
ごま油
中華だし


目玉焼きトースト

Journal 10.10,2020

2週間ぶりの心療内科。
「先生、実は、薬は3日目で吐き気が止まらなくってやめちゃいました。だけど、お酒はずっと飲んでません!心も体もすごくいいです。」

私の元気な様子に先生はびっくりしてた。笑顔で言う。
「よく頑張りましたね。お酒は睡眠に障害を与えるし、どうしても枯渇していってしまうからね。いい状態で良かったです。何があったのかな。」

1週間前、夫が鍵をポストに入れていった。
それが理由なのかわからない。だけど、私はこの2週間で見違えるように元気を取り戻した。もう怖く無い。まだ完全じゃないけど、今日は前へ向かってる。

2週間前、病院に向かうのが辛かった。246を三茶に向かって歩く。歩いても歩いてもつかない。歩くって、こんなに大変なんだって。身体が重くて、足を前へ運ぶのが、歩くことが、どこかへ向かう全てが辛い。生きるってこういう事なんだ。時間が流れている以上、私は生きるしか選べないんだ。止まりたいのに止まれない。目の前にある騒々しい世界に途方にくれた。

チーズトーストを焼いて、その上に目玉焼きをのせて、ケチャップをかける。ぱくぱくと頬張ると、お皿の上にいいスピードで黄身が落ちていった。なんだか音が聞こえてきそう。黄色い黄身。すごく綺麗。慌てて食べないでしばらく見ていよう。自由に時間の中に落ちていく、今はじっと見ていよう。

チーズトースト
6枚切りの食パン
スライスチーズ
目玉焼き2つ
ケチャップ

キムチチャーハン

中華 09.10,2020

朝一番で納品を終えてベッドに入る。外はずっと雨。昨日、友達に送ったメールがずっと胸にある。もう苦しみたくない。大事な友達だから伝えたかった。私はただ、私の味方になって欲しかった。もう私を責めたくないから。

みんな誰だって自分の人生を生きてる。想いやるにも体力がいるし、相手の事に踏み入るのは簡単じゃない。私の事で沢山、沢山、傷ついた筈だ。だけど、私の気持ちは私にしかわからない。話せるうちは元気だって言うけど、話せない事だって沢山ある。人前では明るく振る舞うから元気だって思われても、誰にも見せられない顔だってある。みんなそう。私だけじゃない。苦しみはいつだって自分のもの。

段々と痛みや恐怖が薄れていって、意識が世界へと少しずつ、少しずつ向けられるようになってきた。視界だけじゃない、感情もだ。前へ進むと、何かにつまずく。そうやって私の中に疑問が生まれてゆくのを感じる。

ねーちゃんに電話した。話し出したら止まらない、少し私は怒ってる。声を荒げて話す私に、ねーちゃんは言った。

「 誰にもわからないから。」

「親だって家族だって友達でも。あなたが受けてきた苦しみは誰にもわからない。私は沢山の話を聞いたけど、私が知ってる痛みは一部に過ぎない事だってわかる。わかってるから。もう誰かの声に耳を傾けないでいい。肝に命じて、自分を守って。わかった。自分を守れるのは自分だからね。」映画のセリフみたいに、ねーちゃんはぴしゃりと言い切った。

苦しみは私のものなんだ。ちょっと舐めたり、ちょっと噛み砕いた位じゃわからない。舌の上で悲鳴をあげる程に苦くて、拒む身体の中へと落ちてゆく。喉は真っ赤に腫れてる。胃袋の中で散々と喚きちらしたって、未だ身体の中から出て行ってくれない。この苦しみは今も私の腹の中にある。

ねーちゃんの旦那は3年前に亡くなった。今も遺産相続で裁判を続けてる。初めてあの時の話を聞いた。「お金なんて要らなかった。ただ私を、家族を守るしかなかった。」裁判を始めたねーちゃんを少しだって非難した自分の小ささに虚しくなる。

ねーちゃんの旦那は、世界中のステージを飛び回り音楽で沢山の人々を幸せにした。だけど、沢山の女性を作ったり、薬が出てきたり、C型肝炎になって、皮膚一枚みたいになる最後の最後まで、ねーちゃんに苦労をかけた。葬儀に会った叔父さんは真っ黒だった。教会を出るとL.Aらしい爽快な空。綺麗な色の空だった。

今なら、ねーちゃんの痛みが少しわかる。もう馬鹿には戻れない。私を守れないような馬鹿には戻らない。

 

夕飯

和食 08.10,2020

結婚してから書き続けている日記がある。久しぶりにぱらっと読み返した。ここ数年、月初に毎月10個の目標を立てている。

ランニングをする、本を3冊読む、どこどこに営業に行く、
元気に挨拶をする、困ってる人を助ける、ゆっくり噛んで食べる
夫を褒める、夫に優しい言葉をかける・・・

過去の私は毎月の様に夫を大切にする目標を立てていた。

日々の日記には、夫に言ってしまった事、やってしまった事、喧嘩した事を反省したり、私なりに答えを出していた。誰が悪いじゃなくって、私が出来る方法を探していた。悲しいじゃなくて、これは私の仕事、ならば楽しくしようって。苦しい時は、可笑しく楽しく考える。みうらじゅんさんがいつだったかそう言ってた。私もそうしようって。

手帳の最後に今年叶えたい夢100という頁があって、毎年同じ言葉があった。ゆっくりとした丁寧な字で書いてある。

夫の音楽がうまくいきますように、夫が仕事で稼げるようになりますように、
夫の夢が叶いますように。

夫に会社を作ってあげた呑み友達が酔っ払って言う。「あなたは悪い所無いの?」その日は夫が仕事なのに泥酔して行方不明になって大変だった夜。私は家で夫を待っていただけ。いつも無口な男が饒舌に意地悪を言って笑ってる。時間は夜中の1時を過ぎていた。結局、いつもの様に朝まで寝れなくて、一度泣いてから撮影に行った。

過去に記した言葉が私を救う。私、夫を大切にしてきたんだった。もうこれ以上私を責めないでいい。

今日は頭が痛い。だけど、楽しかった。だんだん撮れるようになってきた。数週間前、カメラを持つ手に力が入らなくなくて、怖くなった。あれから、少しずつ、少しずつ。少しずつ、写真を撮ってる。もう大丈夫。しっかりと手に収まってる。

撮影の後、お喋りしながら笑って帰った。写真も、写真に関わってくれる人もありがとう。本当にありがとう。

夕飯
ご飯
きのこと茄子の味噌汁
アボガドと納豆
焼き鮭とキムチマヨ

ポキ

Journal 07.10,2020

昨晩、ベッドで考えてた。

今日1日に起こって感じた事について。色々がするするとわかってくる。夫との過去をずっと探してる。救えなかった事だけじゃない。何が悪かったんだろう。私達がこうなる事は最初からわかってたのかな。

2年前の酒乱が始まるまで、ずっと仲良しだった。お酒や暴力があっても、夫はとにかく謝った。それは本心だったと思う。僕は変わりたい。その言葉も本心だったから、私の隣で謝り続けたんじゃないか。

私が夫の音楽に興味無かろうが、夫が私の写真に興味無かろうが、そんなのはどうでもいい。ただ、一緒にいたかった。それだけで十分だった。

茄子のミートパスタ

洋食 06.10,2020

パスタを食べて昼寝をした。
最近、何か一つ作業をしたら、休む。これを繰り返してる。大丈夫だと思っても、思った様に身体が動かなくなるから、大事をとって休み休み。
ぼんやり目が覚める。14時58分。ぼんやりしてる。

今、なんだっけ。起きて洗面所へ向かう。あ、遅刻だ。どうしよう。確か15時過ぎに家を出る予定だった。鼓動がばくばくと全身で鳴ってる。どうしよう、私、今日撮れない。床にへたりと座った。落ち着け、落ち着け。ゆっくりと深呼吸する。私が今立っている場所は、ぎりぎりの場所。一歩間違えると直ぐに落ちてしまう。だけど、大丈夫。深呼吸して。下を見ないで。落ち着いてそこから離れれば、いつもの場所にいける。大丈夫。大丈夫。

ゆっくりと起き上がる。深呼吸を繰り返す。大丈夫。私、支度10分で出来るから。何も考えないように支度を済ませて家を出る。あ、風が気持ちがいい。あーあ、遅刻だな。

目の前で電車が行っちゃった。あーあ。何だか思った。世界は怖くない。虚しくて仕方なかった世界も、本当は虚しくないのかもしれない。夫との生活の中には行き場の無い寂しさたちが何も言わずにいた。それはもしかして今と変わらないのかもしれない。今でもやり直せそうな気がする。だけど違う。わかってる。夫は変わらない。変わるのは私。もう怖くない。

秋刀魚の刺身

Journal 05.10,2020

「大事で大好きな友達だよ!」「ずっと我慢してたのは、バカなんかじゃなくって愛情深いからだよ。」数日前、りょーこちゃんから貰ったメールが胸にずっとある。彼女の言葉は私を救う。私は何ヶ月もずっと、私を責め続けている。

3年前の春だったかな、りょーこちゃんから数年振りにFBのメッセンジャーが入る。「久しぶり。よしみちゃん、お料理撮ってるの?」料理写真を始めた頃だった。菊地食堂の写真を見てくれたのかな。嬉しかった。お仕事をお願いしたいっていう連絡だった。それまでは、私も師匠にならって人を撮ってた。料理を撮ってみたい、だけど。

自分で作って自分で撮って日記を書く。やってみよう。それが菊地食堂の始まり。そのうちに夫の酒乱の時期に入った。苦しかった。だけど、とにかく作って撮って書いた。気づいたらお仕事も増えて、ぽんぽんって、うまく撮れた。私は技術を持って無い。学校もスタジオも通ってないし、人を得意とする師匠についてたから、いつもちょっと申し訳ないような気持ちだった。だけど、好きな料理の写真が撮れる事がとっても嬉しくて楽しかった。壊れた家庭の中で正気を失ってゆく自分を捨てて、私は写真に向かった。地獄の毎日の中にはもう生きる目的が少しだって残ってなかったから、私の居場所は写真しか無かった。私が沢山の料理写真を撮り続けるようになった頃、夫の酒乱は霧の様に消えていた。

まやかしみたいな1年だったように思う。あれから2年後、すごい勢いでまたアレは春に帰ってくる。アレは夫の闇に潜んでただけ、夏が終わる頃に夫は夫を捨ててた。蝉の抜け殻みたいに、するって。私に料理写真を与えてくれた夫には感謝してる。夫じゃなきゃ、私はここまで来れなかったと思うから。

私には大好きな言葉がある。
「よしみちゃんの好きなように撮って。」りょーこちゃんが現場で言う言葉。この言葉が私は大好きだった。彼女はいつも私を信じてくれる。彼女の強さが私に勇気を与えてくれた。

今年は久しぶりに秋刀魚を焼かなかったな。夫は焼き魚が好きで、よく焼いた。何だかずっとずっと昔の事みたい。もう、この家を出よう。夫の抜け殻が残るこの家にはいたくない。私はきっと夫の帰りを待ってしまうだろうから。

秋刀魚の刺身
秋刀魚の刺身
にんにく醤油 [にんにくを甘い醤油に漬けたもの]

こてっちゃん

Journal 04.10,2020

お腹が空いた。
夫が帰らなくなってから寂しかったけど、夫がいた時も寂しかった。最近は寂しくない。深夜過ぎた頃にうとうとして、棚の上にある時計を見るのが本当に嫌いだった。キッチンには冷めきった夕飯。当たり前のように嘘をつく夫の帰りを待つ時間。あんな夜は二度と味わいたくない。

無性にこてっちゃんが食べたくなった。こうやってお腹が空く感じも何だか久しぶり。オオゼキにこてっちゃんを買いに行く。フライパンにごま油をひいて、スライスしたニンニクを炒め、こてっちゃん、ピーマンの順に焼く。ピーマンは軽めの焼き加減がいい。やっぱり温かいご飯は美味しい。

食事

Journal 03.10,2020

一昨日「眠い眠い」って言ってたら、今ムに「自律神経が乱れてるんじゃない?」って。そうか。確かに、私の自律神経は長いストレス生活でぼろぼろだ。心はもう全然辛くない。だから薬はやめたけど、この眠さは自律神経。確かに。発酵食品を食べよう。きちんとした食事を食べよう。自分の身体も、自分の人生も、自分で責任持ってやろう。これからはもう自分が苦しくなるような人とは一緒にいちゃいけない。家族や友達が哀しむから。大切な人は世界にたった一人じゃないって事が良くわかった。大切なのは私を傷つける人じゃなくて、私を大切にしてくれる人みんな。だから、私も私の事を大切にしよう。

梅干し饂飩

Journal 02.10,2020

朝5時。普通に目が覚めた。何ヶ月ぶりだろう、この感じ。
ねーちゃんから電話がくる。色々とこれからの事を話した。ねーちゃんは、夫のした事は絶対に許される事じゃないって思ってたけど、私が別れを決意するまで待ってたんだよって。何ヶ月も待ってたって。いつも病気だからって彼を庇う私が気づいてくれる日を待ってたんだよ。本当によく頑張った。もう隠さないでいい。大丈夫。なんだか、すごくほっとした。本当に長かった。コロナが始まって直ぐに夫は酒に溺れた。私は守りたかった。だけど守れなかった。もう、諦めていいんだ。

「今日は久しぶりに一日予定を入れたの!」「うん。無理しないで。」そう言って電話を切った。午後を過ぎた頃、撮影中に目が回る。また吐き気。何だか倒れそうな気がして先に現場を出た。氷川神社だ。なんとなく吸い込まれるように入った。知らない道、知らない場所、大きな木だとか手水舎の水が光に反射してきらきらしてる、綺麗。朦朧とする世界の中でぼーっと歩いた。遠くに中学生みたいな子達が座ってる。近づくと、写真家のななちゃん、編集の山若君とお友達がいた。何だか夢の中みたいな光景だった。

3人とお別れして、編集のあきちゃんの事務所に行く。今日はeatLoveの作品をあきちゃんに見せる約束をしてたから。ふらふらする。血の気が引いてくのがわかる。私はいつまでこのグレーな世界にいるんだろう。あきちゃんの顔を見てほっとした。あきちゃんはいつも元気だ。あきちゃんみたいになりたいって思う。弱い自分がいても隠さないし素直だし、今に負けようとしない。私みたいに弱い自分に蓋をしたりしない。

帰ってベッドに横たわった。身体は元気なのに頭の中が濁ってる。すごく疲れた。今日は楽しい事ばかりだったのに。ねーちゃんとの電話を思い出したら、涙がポロポロと溢れてきた。テコが私の胸の上にへばりついてずっと顔を舐めてる。私、今幸せだ。苦しいけれど、幸せ。これは嬉しい涙。だから今日はもうちょっと泣こう。

Google home から気持ちのいい曲が流れてる。Yogee New WavesっていうバンドのSAYONARAMATAっていう歌みたい。

林檎

Journal 01.10,2020

昨日、やっちゃんがバスの中で言ってた。「秋は果物が美味しいからね。毎日、本当に幸せなの。今日は梨、今日はぶどうって食べてるんだよ。」うちに泊まって、すっぴんのまま出てきたやっちゃんの満面の笑み。やっちゃんって、時々、子供みたいだなって思う。「うん。私も果物食べてみる。」やっちゃんとバイバイしてから、スーパーに寄って梨を探したけど、高いのしか無くて林檎を買った。ぺろっと一個食べた。林檎、久しぶりだな。美味しい。

朝の10時、玄関がガチャガチャとなった。鍵を開けようとする音がする。姉に急いでメールを打とうとするけど手が震えてる。心臓が飛び出しそうだ。身体が夫を怖がってる。鍵は2つしてるから入っては来ない。だけど、もし、大家さんにもう一本の鍵を借りて入って来たら。聞こえなかったと言い訳出来るようにヘッドホンを手に持つ。数分してガチャガチャは消えた。

弁護士さんのところに行った帰りに、林檎を一つ買って帰る。弁護士さんいい人だった。「まずは家を出ましょう。安心出来ると思う所に引っ越しましょう。」何だかやっちゃんの笑顔が忘れられなくてまた林檎が食べたくなった。

もう抗うつ剤止めよう。今日でまだ3日目だけど、もう要らない。だって今、1ミリも哀しくない。大丈夫。林檎すごく美味しかったから大丈夫。

茄子のミートグラタン

洋食 30.9,2020

抗うつ剤2日目。昨日に引き続き吐き気が止まらない。日中はずっと眠くて変なあくびが出る。畳にひいた布団でごろごろする。太陽が当たって気持ちがいい。隣でやっちゃんが来月に行く沖縄のツアーを取ってくれてる。何もしたくない。胃痛と吐き気と光の中で溜息ばかりが出てくる。本当に疲れた。

夕飯に茄子のミートグラタンを作る。上手に出来た。グラタン綺麗だな。

やっちゃんとUber

Journal 29.9,2020

撮影が夕方までだったから、夕飯はUberにした。
せっかく泊まりに来てくれたのにごめんね。何だか頑張って作る気力が今日は出なかった。「私、初Uberだよ。」嬉しそうなやっちゃん、良かった。

本当は映画を見る筈だったんだけど、お喋りして早めに寝た。心療内科の結果を話したら、びっくりした顔してた。多分気を使ってくれたんだろう。薬の副作用なのかな、吐き気と胃痛で食欲が無い。ずっと世界に麻痺してるような感じでぼんやりしてる。誰かが側にいてくれるだけでほっとする。

ニラキーマとアボガド

カレー 28.9,2020

朝から天気が良くて洗濯機を二回まわした。14時から心療内科の電話診療だ。緊張してる。

14時を過ぎた頃に電話が鳴る。
「きくちさんのお電話ですか。今から電話診療に入りますね。先生に変わります。」

ドキドキする。看護婦さんに伝えていた内容を確認しながらゆっくりと先生は話す。友達のお父さんみたい。丁寧で気さくな感じ。

先生が言った。
「イネイブラーって知ってますか?お酒を飲む人を家族が支えてしまう事を言います。」
「今夜、旦那さんが帰ってきたらどうしますか?」
「もう荷物を全部持っていったので帰って来ません。」

私の生い立ちだとか、先生の質問は続く。しばらくして、先生がまた同じ質問をする。
「今夜、旦那さんが帰ってきたらどうしますか?」
「もう、帰って来ません。荷物も持って行ったし、それに…」

先生は、夫が今どこにいる?とか、どこに泊まっているの?とか、やたら夫の事ばかり聞くなぁって思った。私の話を聞いてほしいのに。

別の話をする、体調はどうですか?どんな感じですか?

しばらくすると、先生がまた言った。
「今夜、旦那さん帰ってきたらどうしますか?」
「もう無理です。夫が来るのが怖いから。」「もう離婚なんです。」
私は私の声にびっくりした。

「あなたが離れる事を決めているなら、もう大丈夫。これから状況は良くなりますよ。もう大丈夫です。」

そう、私は鬱病だって。
不眠も頭痛も恐怖も涙も止まったのに、鬱だって。きっと夏がピークだった様に思う。2年前もきっと鬱を発症してただろうな。だけど、毎日朝から晩まで仕事してたし、自然と治った。現場に行って仕事の人に会うとほっとして、現場から出ると哀しくなった。家に着く頃には目からポロポロと涙が落ちる。あの時も写真以外の全てが憂鬱だったな。

先生に当たり前のように、あなたは鬱だからって話をされてほっとした。私、もうギブアップって誰かに認められたかったのかな。もう夫を助ける事を止めたかったのかな。夫を嫌いになったわけじゃないのに。

ニラキーマとアボガド
ニンニク・生姜 1片 みじん切り
玉ねぎ 1/2個 みじん切り
ひき肉 100-200g
青唐辛子 1本 みじん切り
アボガド 1/2個 スライスするトゥナパハ 大さじ1
ナンプラー

炒飯とビール。

中華 27.9,2020

今日、また女優さんが亡くなった。
ほんの数日前に思い出した。あの人、再婚して幸せなんだよな。離婚しても、また家庭を持って、新しいひとの子供と人生をするってどんな感じなんだろう。だけど、幸せになれるんだ。私には未だそれがわからないけれど、いつかわかるのかなって。

夫の酒乱で私がトラウマを持っている事を夫は知らない。酒乱が始まった時に震えが止まらなかった事を夫は知らない。怖くて怖くて、友達に助けてって電話しようとした事を夫は知らない。夫は外の人に、鬼嫁だって言ってるって聞いた事がある。私が外で強くいるから、その事を言ってるんだろう。だけど、本当はずっと怖くて苦しかった。夫が全くの別人に変わったのを見てしまってから、私は夫との溝を埋める事が出来なくなったんだと思う。いつだったかな。覚えてない。怖い事が当たり前になりすぎちゃった。だから怖く無いんだ。今だけ負けないように強く言えばいい。優しい夫は明日の朝に帰ってくる。

お酒をやめて欲しい。全うに生きて欲しい。「信じてるから。」夫に何百回とメールしたと思う。だけど、怖くて悲しくて辛いって、言わなかった。いつだったか私の涙を見た夫が気持ち悪いって発狂した。私は慰めて欲しかったのに、心の弱い夫の前で涙を流す事は事態を悪化させるから駄目なんだ。私が弱音を吐くと世界のリズムが狂うんだ。私は私の事を言うのを止めよう。そうやって私はひとりぼっちになっていった。

2018年の酒乱が始まった時に人に言われてアルコールの記録をつけ始めて、2020年の時も記録した。私が夫にその記録を見せた時に夫は寂しかったと思う。私は夫を救いたくてつけた記録が夫をひとりにさせた。私がひとりでつけ続けた記録だから。

餃子

菊地食堂へようこそ 26.9,2020

夕方に後藤さんが来てくれる。
ベッドで泣いて目をつぶった。起きてお風呂に入って食事の支度をする。

やっぱりずっと頭の中をぐるぐるしてる。どうして、夫と話せなかったんだろう。
「俺の好きなようにさせろ。うざったい。言う事を聞かないなら離婚でいい。」夫から出る言葉はCDをリプレイしてるみたいに聞こえた。何ヶ月も同じ言葉が流れ続ける。

ダメだってわかってるけれど、未だにどうしてって思う。
私を救ってくれた友人や兄弟が言う。「もう絶対に戻っちゃ駄目だから。絶対に駄目。」わかってる。戻り方もわかんないから大丈夫。だけど、あんなに酷い事があっても、私は今でも答えを探してる。

後藤さんはいつも笑顔。
もう、一人じゃ解決出来ないから弁護士に相談したいって話をした。「とにかく早く幸せになんなよ。」「優しすぎるんだよ。そういうの捨てて。どうしたいのか決めないと前へ進まないよ!」笑顔で言う。いい笑顔。後藤さんって本当にチャーミング。昔からそう。

餃子、焼きすぎちゃって失敗した。だけど、楽しい夜だった。明るい夜だった。

餃子
白菜 細かくカットして塩もみして軽く水切り
ニラ
豚ひき肉
ごま油
鶏ガラスープ
中華だしの素
塩・胡椒
餃子の皮

胡瓜と緑のケース

Asinan food 25.9,2020

いつも電話の向こうでシャキシャキと音がした。「今日も胡瓜ですか?」「シャキシャキ。そう。」ここ4ヶ月、姉は毎日のように電話の向こうで胡瓜だ。いつだったかテレビ電話をした時に「この緑のがやばいんだよ。」と、緑のケースを見せてくれた。「ケースのまんまなんて、汚いよ。お願いだから皿に入れて。」「めんどくさい。シャキシャキ。」姉の横で、ヘレナもシャキシャキしてた。

6月から、日課の様に私の生存確認をしてくれる姉。ご苦労様。本当にありがとう。私の姉でいてくれてありがとう。胡瓜片手に私を救ってくれて本当にありがとう。

今日は電話の向こうで怒ってる。隣のばばぁがさぁって、電話が割れそうだ。「怒らないでよ。」「もう直ぐだから。」「わかる、わかるよ。だけど怒らないで。」怒り狂う姉の理由はよくわかる。本当に傷ついた。もう十分だと思う。お願いだから神様やめてやってくれって思う。だけどね、もうすぐだから。姉をなだめてる自分に気づいた。あ、私が帰ってきた。

昨日の夕方に夫からメールが入る。怖くて心臓がバクバクしてる。お腹が痛い。痛いよ。いつもと同じやつ。メールが読めない。メールを閉じては開いてを繰り返す。テキストが中々入ってこなくて暗号のよう。何度も繰り返す。5分位かな、ようやく頭に入ってきた。

あれ。この人、だいぶ酷い。そして、もしかして、、
TOKIOの山口さんを思い出した。伊勢谷さんもそう。夫みたいって。モラルが無い。ちょっと可笑しくなった。私、イかれちゃったのかな。サウナへ行って汗を流そう。週に何度も行ってたサウナ。すっかりサウナの事を忘れてた。246の横断歩道で信号が青に変わるのを待つ。信号が変わる。歩き始めると、頭をふとよぎった。 ” 私はあのメールの人にずっと苦しめられていたの??”

心療内科に予約の電話を入れる。

もし、また夫からのコンタクトがあったら、私は堕ちてしまうかも。頭よりも身体が先に反応して不安に飲み込まれてしまうかもしれない。だから、病院へ行く。だけど、仕方がない気がしてる。半年も苦しんできたから、心と身体が苦しみ方を完全に覚えちゃってる。だけど、私のどこかは気づき始めてる。

今夜は成城石井に売ってるお気に入りのレモンチューハイと胡瓜と緑のケース。そう、緑のケースのまんまでいいよ。衛生的な事なんて気にせずいこう。もう何だっていい。美味しければいいよ。だけど、美味しく無いものは食べちゃいけない。美味しいものを食べよう。

Forever 胡瓜と緑のケース。

胡瓜と緑のケース
胡瓜
サムジャン

色の無いパスタ

洋食 24.9,2020

今日はトレーニングの日。
10日間くらい、ウェイトオーバー食をサボってる。「頑張らない。」「無理をしない。」「ゆっくりゆっくり。」ねーちゃんとアカリちゃんから入るLINEの言葉を忠実に守ってる。食べたく無いから無理して食べない。そして、また痩せた。

「きくちさん、食事増やしましょうね!」先生が笑顔で言う。

何だか今日は貧血気味でふらふらした。気分が悪くてトレーニング中もぼーっとする。早くお家へ帰ろう。雨も降ってる。

帰宅して、パスタを作る。真っ白な色の無いパスタを作った。何だかうんざりした。うんざりしながら食べる。人生って本当にうんざりする。9月の記憶が殆ど無い。苦しい事もあんまり覚えてない。

目が覚めたら何かをしよう。今日は何か出来そうな気がする。

9月23日

Journal 23.9,2020

「私はお兄ちゃんの味方だからね!」って言ったの。大好きなお兄ちゃんの話を嬉しそうに話してる。

アカリちゃんのこういう所が好きだ。彼女は自分の身の回りにいる人をとことん守る。フランケンシュタインみたいな風貌の極悪人を目の前にしたって、小さな体で立ちはだかる。そんな果敢な彼女の姿に心打たれて悪い奴は退散してしまうだろう。「ごめん。悪かった。」って。

夫の友人の奥さんだった。
カメラマン同士で、何となくお喋りするようになって、少しずつ少しずつ、気づいたらすごく仲良しになった。彼女の前で何十回と泣いただろう。私ってこんなに人前で泣けるんだ。びっくりした。いつも冷静な私が、ぽろぽろと落ちる涙をぐちゃぐちゃになってゆく顔を見て、彼女はうんうんって聞いてくれる。夫のお陰だ。夫に出会わなかったら、彼女に出会う事は無かった。

「私、すーちゃんの写真が本当に好きだよ!すーちゃんは愛があるから大丈夫!」いつも励ましてくれる。夫が言ってくれなかった言葉を、彼女は私の目を見て言ってくれた。

「深呼吸。深呼吸。」LINEにメールが入る。
深呼吸。そう深呼吸。私には大切な人が沢山いる。深呼吸、深呼吸。大丈夫。ゆっくりと前へ進もう。夫はもう帰って来ない。私が怖いのは、私が見ている世界なだけ。

もう戦わなくていいんだ。だから怖く無い。だって出ていっちゃたから。もう助けちゃいけないんだ。

友達との夕飯。

菊地食堂へようこそ 22.9,2020

友達が遊びにきてくれた。楽しくて、沢山笑った。上手に笑えるか不安だったけれど、笑うって結構簡単。

夫が毎晩遊び歩いて、夜中に泥酔し、帰宅したあの日々。コロナで自粛だった頃。朝方に鼻歌を歌って帰る日もあった。夕飯を約束していたのに、お酒を止めると約束していた人が、どうしてそんな事が出来るんだろう。ずっと病気だからって思ってた。可哀想な人なんだ。夫は心優しい人だから、騙すのも傷つけるのも理由があるはずなんだ。夫が殴りかかってきても思った。可哀想な人って。夫は苦しんでる。弱い自分から抜け出せなくて。

ずっともやもやしてた。夫は沢山の人に褒められる。関西人だからお喋りだし、甘え上手だから寂しい人は直ぐに夫を好きになる。お酒好きな人はお酒をご馳走し、お金が余ってる人はお金を夫に与えた。夜を徘徊する女は夫の隣で騒いだ。夫は魅力的な人なんだって。だけど、何だかしっくりこない。

ひとつ今でも心残りがある。夫が真面目に音楽と向き合ってる姿を見れなかった。夫はきっと音楽が好きな人。好きな人だったと思う。私の師匠は写真家だけど、音楽もやってる。夫は酔っ払うと、思い出したように師匠の事を愚痴る。「本気でやってねぇーくせに。俺と一緒にすんな。」師匠のバンドはSpangle call Lilli lineっていうバンド。街でラジオで、時々どこかで流れてる。夫の音楽は昔に貰ったCDか、ライブに行くしか聞けなかった。師匠は家でエレキを繋がないで、ひとりでかちゃかちゃやってるよ。ってよく言ってた。私が趣味でアコースティクギターを始めたって言うと、よく聞いてきた。「最近どんな感じ?」って。

何かで読んだ。
人の心が癒えるのは、いい物を見たり、聞いたり、読んだり、だから芸術は心の栄養となる。私は私が見たい物を探す為に写真を撮ってた。私が見たいものが見たい。もっともっと作品に潜っていきたい。そういう頃に夫に出会ったけど、今は違う。スーパーで材料を買ってきて、料理を作って、写真を撮る。写真を撮る時間は数秒。それを何百回、何千回と繰り返す。その行為に意味は無い。朝に起きて歯を磨く位に意味は無い。だけど、一枚の写真を見て、誰かがお腹を鳴らしてくれたり、誰かがいつかの食卓を思い出して甘い気持ちになったり、誰かが明日に希望を持ってくれたらいいって思う。面倒だからって、スーパーのお惣菜を買ってきてお皿に盛って撮ったりなんてしない。時々はいいかもしれないけど。そんなのつまらないもの。それに、撮って見せて褒めて貰う事が目的じゃない。そうやって仕事の写真も撮った。今の瞬間だけじゃない。ここに来るまでに歩いてきた、ここだ。意味の無い全てが一枚の写真となる。それが私の写真になる。ずっと夫の歌が好きになれなかった。人を叩いた手でギターを鳴らして、人を傷つける口から出る言葉、なんだかいつもちゃんと歌ってよって思った。最低な人間でもいい。あなたが最低なら最低な歌を歌えばいい。愛の歌が歌いたいなら愛をして、愛を歌って。

夫との距離が離れれば離れるほどに私は何かに気づいて行く。あの鼻歌の理由も。

夫は酒や家族から逃げたんじゃなくって好んで出て行く事を決めたんだ。女と毎晩のように遊んでたのもそう、現実から逃げるためじゃなくって、本当に楽しくて仕方なかったんだ。だって、鼻歌って気分のいい時に唄う歌でしょ。翌朝に謝ったりしないで。それはあなたの歌なのだから。

友達との夕飯。
ベジジャーマンポテト
砂肝のアジア風サラダ
ポキ
蛸のセビーチェ
麻婆豆腐
ご飯
ポキ
まぐろ
アボガド
レモン
玉ねぎ みじん切り
青唐辛子 みじん切り
青葱
ごま油
大蒜醤油

夜食

和食 21.9,2020

早朝、家の前に出した荷物を何も言わずに夫は運んで行った。ずっとそわそわした。ダメだ、気持ちの一ミリだってもう戻っちゃいけない。だけど、これが最後だと思うと伝えたかった。

「僕は変わりたいんだ。もう絶対にお酒で傷つけない。だから一緒にいて欲しい。」ポッケに入った婚姻届、折り曲げられた婚姻届を見て素直に嬉しかった。その数ヶ月後に私達は籍を入れた。2016年の事。お酒の事はずっと誰にも話せなかった。それから1年後にまたアレは始まった。

夫にメールする。「何の話合いもないままで離婚で本当にいいの?私達は8年間、ずっと一緒にいたんだよ。」

返答は無し、ずっと夫は無視だ。4月から。ずっと無視。どんなに酷い事をしても無視。「お前が悪い。」酒を飲んで夜中に泥酔して言う言葉はいつも同じだ。「うざったい。俺の好きなようにさせろ。俺は忙しい。」

夫が出ていってから、私はずぶずぶと溺れて行った。ずっと夫を救いたかった。夫を助けなきゃ!助けなきゃ。苦しくても助けなきゃ!そうやって半年が過ぎた。「助けを求めない溺れる人を助けると溺れますよ。」夫の事で行った心療内科の先生の言葉。ちゃんと聞けば良かった。

夜みたいな一日がいる。秋の風が気持ちがいい。だけど風でさえ怖く感じる。頭がついていかない。怖い。空は青くて晴れてるのに、太陽の温かさが届いてこない。私、溺れた。

夜食
ご飯と梅干し
しじみ汁