白菜漬

和食 09.1,2020

5つ年が離れた双子の兄と姉がいる。兄は優しくて、本の虫で、学生時代にはきちんとモヒカンみたいな事もやったけど、ずっといつも今も穏やかで丁寧だ。鬼より悪魔より強くて大人になっても世界の反対にいても私を助けてくれる姉とは正反対な性格だ。そんな無敵な姉が、何回教えても緑色のひらひらした野菜を「葉っぱ!きらい。」と言っていた頃、兄は練馬の爺ちゃん婆ちゃんの白菜漬をきちんと受け継いでいた。うちの正月はハイスペック電化製品が大好きな叔父さん家族がいる東村山に泊まり、指の隙間から時々ちらっと覗けば、とにかく誰かがぐちゃぐちゃに殺されてゆく恐ろしいホラー映画と、カラオケ三昧。それから練馬の爺ちゃん婆ちゃん家でやたら酸っぱい白菜漬と血みたいに真っ赤で大きな鮪を食べ、私達子供はセールで人がごった返す池袋のデパートにお年玉を持って買い物に行くのが恒例だった。親友のみーちゃんは毎年日光で過ごすからと早々に田舎へ帰った。みいちゃん、田舎で何するんだろう。田舎で何食べるんだろう。田舎っていうものが不思議だった。そして、なんだか羨ましかった。

兄の白菜漬けが終わる。今年もとってもいい感じの酸っぱさだ。絵本に出てくるような皺くちゃの丸い背中をしたお婆ちゃんが作る田舎料理は私の正月にはない。私の田舎っていうはきっと東村山と練馬でちょっとハードで酸っぱい思い出の味なのかな。温かいご飯に乗せてパクパク食べてあっという間に完食。美味しかった。