
今日は昨日とは打って変わって朝から気持ちの良い晴れだった。先週にメニューの撮影をしたWhy juiceが下北沢のBONUS TRACKにオープンしたと聞いたので、新しい物好きな夫を誘い機材車に乗り込んでジュースを買いに行った。帰宅して夫はいつもの通り車で何処かに消え、私は納品作業をし、色見本を郵送する為に近くのポストまで歩いた。気づいてみれば家の周りには桜並木が多い。青い空の中で桜が風と一緒に舞ってる。何度も何度も思い切りに空を見上げた。こんな風に空を見上げるなんて久しぶりだ。桜って近くで見るとピンクじゃなくて白かったんだ。日々の恐怖が少し和らぐような気がした。
昨年、夫がやめた筈の酒をまた飲み始めた。それまでは黙っていたけど、散々悩んだ挙句もう無理だと思って夫の母に相談した。大暴れした数日後、ご両親は奈良に近い大阪からわざわざ東京までやってきた。夫が暴れた夜に破った襖を必死に隠していたのはとても滑稽な姿で未だに目に焼き付いてる。それなのにその1ヶ月後、また嘘をついて酒を飲んだ。この家から逃げ出したいと思った数日後。東京の私の家からL.Aにある姉の家まで電車と飛行機と車、移動をいれても1日弱。「よっちゃん、家出してきたんでしょ。」姉に言われた言葉はそれ以上でもそれ以下でもなかった。「離婚しちゃえばいいじゃん。」「そんな簡単じゃないんだよ。」姉に家出した理由は言わなかった。言ったら面倒だし大変なことになるのはわかってる。
東京での生活を忘れたように過ごしてから、サンフランシスコにある叔父さんのアシスタントのチチの家に遊びに行った。そこで食べたスパゲッティー。イタリア出身のチチのお父さんが作ってくれたサーモンがたっぷり入っているやつ。寸胴の鍋たっぷりに作ったソースをいつもの手つきでふるまうお父さん。冷え切った心に温かいトマトソースがじんわりと染み渡った。
あれを作ろう。急にあのスパゲッティーの記憶が降ってきたように頭に浮かんだ。ロックダウンのために買っておいた鯖缶とディルを漬けてたオイルでトマトソースを作り、火傷しそうな程に熱いパスタを頬張る。記憶の中のご飯ってどうしてこんなに美味しいんだろう。