バターという食べ物の事は大人になって知った。お菓子を焼く時だとか、マーガリンの代わりにトーストにさっとひと塗りする物では無かった。
20代前半の頃に友人らがwombやアゲハ、オルガン、イエローへと毎晩通う頃、私はお金を貯めてせっせとパリの墓地へ通った。墓地巡りの隙間時間で私はパリのグルメを堪能。中でもお気に入りがチーズの世界。そこで、バターについても知った。バターっていうのは、調味料じゃなくて素材の一つ。初めてパリでエシレバターを食べた時は衝撃だった。そして、これは塗るものではないって確信した。それからずっと後になって日本にエシレが来た時はやっぱりねぇとひとりニンマリした。
トーストを焼く。バターを熱くカットしてパンにのせる。バタートスートじゃなくって、パンとバターを食べる。