きのこの水餃子と酢ご飯

中華 23.5,2020

夫が癇癪を起こしてしまった。しばらく現実が上手く理解できないままに数日が過ぎた。撮影現場まで車で送って貰った時のこと。朝から少し機嫌が悪そうで、家を出る間際にも「どうして送らなきゃいけないの?」「先週からお願いしてたよ。いいよって言ってたよね。」そもそも変な会話だった。車に乗った瞬間、急に癇癪が始まった。まくし立てるような怒り方やその話の中身も全く何を言ってるのかよくわからない。ただ、とにかく何かをぶつけたい。言葉が溢れるように次から次へと無抵抗の私に降りかかり、感情は一気に剥き出しになっていく。病に犯された犬が隣で牙を出して吠え続けるみたいな感じ。だけど、知ってる。これは今日が初めてじゃないから。冷静に何度も何度も「これから仕事だからやめて。」と伝えた。夫はハンドルを思いっきりに叩いたり、大きな声で暴言を吐き続けた。

15分くらい怒り続けると急にピタリと止まった。彼が普通じゃない事はよく知ってる。出会った時からおかしい人だと思ってた。音楽仲間も中目黒の酒場の皆も、誰もが彼がオカシイことを才能だとか、面白いとチヤホヤする中で私一人が怒り続けるのは難しくて悪者みたいで辛かった。時にはうるさい女だとか、飲み屋の女から「どんと構えてたらいいのよ。」みたいないい加減なことも言われた。今日みたいな日が失くなる様に、何十回、何百回と二人で長い時間をかけて私達が平和で穏やかな暮らしができるようにと頑張ったと思う。夫は二度と傷つけないと誓って私と結婚を決めた。だから今日みたいな日は来ないはず。絶対に何かの間違えで、世界がきっと悪い。だって私達は二人で約束をしたのだから。そうして結婚を決めたのだから。涙を拭って「コーヒーは要らない」と言って車を降りた。今日の仕事は初めての雑誌。ずっとやりたかった仕事で頁もきちんと貰える仕事。どうして今日だったんだろう。おかしな気持ちのまま写真を撮り続けた。二年前の酒乱の時みたい。平穏な日々が突然に変わっていく、毎日が恐怖と不安で世界がずしりと重くのしかかってくるやつ。淡々とシャッターを切ったけれど、全身が怯える恐怖の事をそうじゃないと信じながら撮り続けた。

撮影が終わって、夫にメールした。”こんな酷い事は止めて欲しい。感情を抑えられなかったり、どうにかなってしまうのは仕方ない事だと思う。だけど、傷つける事は止めて欲しい。” 私は夫への怒りをもう我慢出来ない。

連絡がないままにあっという間に夜がきて、夜中に少し酔っ払って帰宅した夫が小さな声で「ただいま」と言った。「おかえり」。口から出た私の言葉を聞いたのが最後。一気に眠りについた。安心と恐怖が表裏一体で私の身体一枚で支えてる。私の一番大切な人が、一番安全な場所が、一番に信じて頼ってきた人が、私達を壊していく。とにかく、今日は優しいものが食べたい。毎日がおかしい。世界がコロナでおかしいだけじゃない。私達の毎日が少しずつおかしくなっていく。

きのこの水餃子
卵をフライパンで炒めて炒り卵にする。細かく切ったきのこをフライパンで炒める。
卵ときのこと調味料を混ぜ合わせて皮に巻いて、沸騰した湯でボイルする。ぷっくりしてきたらあげる。
▽ 材料 ▽
しめじ 2/1パックー細かく切る
まいたけ 1パックー細かく切る
卵 2個
▽ 調味料 ▽
ごま油 大さじ1
黒酢 大さじ1
醤油 大さじ1