昼に電話がかかってくる。「今夜、話そう。鍋が食べたい。」
ようやく夫と話せるんだと思って嬉しかった。スーパーに行って、夕飯の支度をした。すごく嬉しかった。
20時頃、電話が鳴った。
「まとさんから大事な話があるって連絡きて、今日は仕事の打ち合わせで遅くなる。」
「じゃあ、打ち合わせ終わるの待ってる。話がしたいから。」
電話を早々に切った夫にLINEした。 “お願いだから、話したい。お願いだから今日は帰って。待ってるから。”
デジタル時計が刻々と変わっていくのを夜中の間に何十回も見た。夫のお気に入りの時計。こういう夜中は何十回と体験してる。つい二年前も。結局、夫が帰ったのは朝方だった。完全に泥酔して床に潰れてる。横に夫の携帯が床に転がっていた。怒りや憎しみがこみ上げてきて、携帯を開いた。
わかってた。携帯を持った時にダメだって思ったのはわかってたからだ。この数ヶ月、夫は遊んでいた。沢山の女性とも遊んでた。夜中の12時以降に沢山の数の女性が夫とLINEを交換し、翌日に昨晩の話をしてる。夫は世界では独身だった。それに、世界は夫の事をピュアな男だと言ってた。ファンには可愛いとまで言われていた。もう40歳なのに。だから、夫も知ってる。自分が何をしようが、ピュアだから仕方ないって事を。知らないのはこうして携帯を見てしまった私くらい。今はみんなが自粛してる。だけど、夫は毎晩の様にまた酒を浴びる様に飲んでる。
2年前と同じだ。夫の酒も、嘘も、完全に戻った。