まぐろ丼。

和食 29.6,2020

2018年11月、京都出張からの帰りの新幹線の中、隣同士に座った編集長であり、友人でもあるりょーこちゃんに話をした。「実は、夫がまた酒を始めたの。」京都出張なんて楽しみしか無かった筈なのに、毎日がどんよりして真っ暗で、今にも溢れそうな涙をぐっと、出張1日目も、2日目も、ぐっと喉の奥の方でこらえた。あの日の事を急に思い出した。彼女は夫の酒乱について知っていたし、私がそんな夫を支え色々と大変な日々を送っている事も知っていた。それに、元々音楽畑からこの業界に入ったから、そういう男に対する理解も早かった。だけど、その日は何だか違った。「許せない。」りょーこちゃんの内側から出てくる静かな怒りを聞いた。あの時間が虚しかったことを急に思い出した。あれから2年。夫の酒はこの数ヶ月であっという間に戻ってしまった。これで3度目。多分私が知る3度目のお酒の時期に入った。どこかで気づいていたけれど、踏み入れる事が出来なかった。知る事が怖かった。夫はただの酒乱じゃない。他にも心の病を少し持ってる。風邪みたいなやつ。ただの夫婦喧嘩でも、ただの酒乱でも無い。もう夫は数ヶ月、この家では幽霊みたいになってる。いるのか、いないのかわからない。作った食事は、朝になるとあさって食べた後がある。

一昨日、久しぶりに夫と会えて話をした。苛々が止まらない夫が動物みたいに威嚇して殴りかかってこようとする。”この人何やってんだろ。何が言いたいんだろう。” 怒り狂った夫は話すのをやめて、ベッドで寝た。30分後、「また連絡する。」さっきとは全然違う、穏やかな夫がそう言って出て行った。りょーこちゃんはあの日、私の目を見て話してくれなかった。彼女の横顔を思い出す。