旧友と久しぶりにお喋りした。たぶん、7年ぶり。沢山を忘れてたけれど、直ぐに思い出した。ぴんと伸びた背筋、辞書から出てくるような角張った言葉に、単調で長くてゴールの無いお喋り、全く変わってなかった。だけど、少し大人になった。もしかしたら、夜の街でよく遊んでると言ってたからかもしれない。どこかすれてた。夜の街はもう好きじゃ無い。どこに自分の世界を作るかは自由だけれど、私は好きじゃない。30才を過ぎた頃から毎晩のようにお酒を沢山呑んで、夜な夜な街を徘徊してコンパクトカメラで夜を撮った。すごく気持ちよかった。だけど、来る日も来る日も曖昧で同じ夜ばかり。同じ夜だけが写ってた。人も街も花もぶれて、どれもちゃんと愛してなかった。哀しい事があっても哀しく無い、お酒のせいで心が麻痺して何だかいつも他人事のよう。映画だとかドラマを見ているような毎日。お酒のせいで記憶はどこかに消えて全てが楽しかった。そんな夜に夫と出会った。夫は今もあの夜にいるのかもしれない。12時を過ぎた頃「もう帰るね。」三軒目に行きたそうな友人を置いて帰宅した。私は同じ場所にいるのが好きじゃ無いみたい。ごめんね。ありがとう。