すっごくすっごく昔の事のよう。7月22日から一ヶ月が経った。「今日は帰るからね、」久しぶりに見た優しい目が “僕を信じて” と言って帰らなかった日。やりなおす為に話そうって約束していた日。いつものように嘘をついて泥酔した日。夫の40回目の誕生日。
あれから生活は色々と変わった。
卵は少なめの6個パックを買うようになった。窓辺に観葉植物が増えて、梃子の夜鳴きは無くなって、私の夜も短くなった。そして私は泣く事を諦めて、ひとりで過ごすこの街が前よりずっと好きになった。
無くなったらいいって思う。7月21日の次の日は7月の23日みたいに、7月22日は消えたらいい。そうしたら一生夫に会わないで済んだ。夫がまた女と遊んで酒に溺れてる事を私は知らずに済んだ筈だ。切りがないこの毎日なんて世界にきっと無かった。