エッグトースト

朝食 27.8,2020

夜中に身体がぎゅっと氷ついて目が覚めた。あの夜みたい。
先月に夫が行方不明になったと、音楽関係者、夫の友人と名前も名乗らない女が深夜にやってきた。ピンポンが何度も鳴り響く。心臓がバクバクして身体がぎゅっと固まって、震えて歩けなかったあの夜みたいだ。

今考えると何で夜中に家に来たんだろう。特に女。女の方は「これからラジオなのに、どうするんですか?!」と家の前でバタバタとパニくってた。深夜12時を過ぎていた。夫の事で大家さんから苦情が入った事がある。とにかく静かにして欲しかった。私は翌朝の撮影の為に早くからベッドに入っていたけど、結局朝まで寝れずに撮影に行った。いつも通りのやつ。夫が泥酔して帰った夜中みたいなやつ。寝ないで写真を撮る。心が切れながらも写真を撮り続ける時間。撮影が終わると、まるで泥の中みたいになって、精一杯の力を振り絞って家路につく。

優しくない人や優しくない時間が嫌いだ。
行方不明になったって事は、その程度の意気込みって事なんだから放って置けばいいよ。それ責任取るのだって仕事でしょう。そんないい加減なアーティスト選んだ責任。翌日に夫は「俺の何が悪い?酒飲んで何が悪い?ラジオなんて、お金貰えないけど出てやってんだよ。」って。そのジョーク面白くないよ。なんだか、ラジオだか何だか何でもでもいいのだけど、全てが優しくない。

私の胸にあの夜の事がピンを打ったように刺さってる。
昨晩の様に、これからも時々そこは痛むんだろうなって思った。しばらく放って置こう。頑張って抜かなくていい。だって胸がちぎれそうになったのだから。忘れなくていい。すごく、悲しいかったから。

牛乳たっぷりのカフェオレと、エッグトーストを焼いた。夫が好きだったエッグトースト。