
朝5時。普通に目が覚めた。何ヶ月ぶりだろう、この感じ。
姉から電話がくる。色々とこれからの事を話した。姉は、夫のした事は絶対に許される事じゃないって思ってたけど、私が別れを決意するまで待ってたんだよって。何ヶ月も待ってたって。いつも病気だからって彼を庇う私が気づいてくれる日を待ってたんだよ。本当によく頑張った。もう隠さないでいい。大丈夫。って。なんだか、すごくほっとした。本当に長かった。コロナが始まって直ぐに夫は酒に溺れた。私は守りたかった。だけど守れなかった。もう、諦めていいんだ。
「今日は久しぶりに一日予定を入れたの!」「うん。無理しないで。」そう言って電話を切った。午後を過ぎた頃、撮影中に目が回る。また吐き気。何だか倒れそうな気がして先に現場を出た。氷川神社だ。なんとなく吸い込まれるように入った。知らない道、知らない場所、大きな木だとか手水舎の水が光に反射してきらきらしてる、綺麗。朦朧とする世界の中でぼーっと歩いた。遠くに中学生みたいな子達が座ってる。近づくと、写真家のななちゃん、編集の山若君とお友達がいた。何だか夢の中みたいな光景だった。
3人とお別れして、編集のあきちゃんの事務所に行く。今日はeatLoveの作品をあきちゃんに見せる約束をしてたから。ふらふらする。血の気が引いてくのがわかる。目の前がぐるぐるして事務所の前のコンクリートに腰掛けた。私はいつまでこのグレーな世界にいるんだろう。
遠くから手を振ってるあきちゃんが見える。何だかすごくほっとした。あきちゃんはいつも元気だ。あきちゃんみたいになりたいって思う。弱い自分がいても隠さないし素直だし、今に負けようとしない。私みたいに弱い自分に蓋をしたりしない。
帰ってベッドに横たわった。身体は元気なのに頭の中が濁ってる。すごく疲れた。今日は楽しい事ばかりだったのに。姉との電話を思い出したら、涙がポロポロと溢れてきた。テコが私の胸の上にへばりついてずっと顔を舐めてる。私、今幸せだ。苦しいけれど、幸せ。これは嬉しい涙。だから今日はもうちょっと泣こう。