秋刀魚の刺身

Journal 05.10,2020

「大事で大好きな友達だよ!」「ずっと我慢してたのは、バカなんかじゃなくって愛情深いからだよ。」数日前、りょーこちゃんから貰ったメールが胸にずっとある。彼女の言葉は私を救う。私は何ヶ月もずっと、私を責め続けている。

3年前の春だったかな、りょーこちゃんから数年振りにFBのメッセンジャーが入る。「久しぶり。よしみちゃん、お料理撮ってるの?」料理写真を始めた頃だった。菊地食堂の写真を見てくれたのかな。嬉しかった。お仕事をお願いしたいっていう連絡だった。それまでは、私も師匠にならって人を撮ってた。料理を撮ってみたい、だけど。

自分で作って自分で撮って日記を書く。やってみよう。それが菊地食堂の始まり。そのうちに夫の酒乱の時期に入った。苦しかった。だけど、とにかく作って撮って書いた。気づいたらお仕事も増えて、ぽんぽんって、うまく撮れた。私は技術を持って無い。学校もスタジオも通ってないし、人を得意とする師匠についてたから、いつもちょっと申し訳ないような気持ちだった。だけど、好きな料理の写真が撮れる事がとっても嬉しくて楽しかった。壊れた家庭の中で正気を失ってゆく自分を捨てて、私は写真に向かった。地獄の毎日の中にはもう生きる目的が少しだって残ってなかったから、私の居場所は写真しか無かった。私が沢山の料理写真を撮り続けるようになった頃、夫の酒乱は霧の様に消えていた。

まやかしみたいな1年だったように思う。あれから2年後、すごい勢いでまたアレは春に帰ってくる。アレは夫の闇に潜んでただけ、夏が終わる頃に夫は夫を捨ててた。蝉の抜け殻みたいに、するって。私に料理写真を与えてくれた夫には感謝してる。夫じゃなきゃ、私はここまで来れなかったと思うから。

私には大好きな言葉がある。
「よしみちゃんの好きなように撮って。」りょーこちゃんが現場で言う言葉。この言葉が私は大好きだった。彼女はいつも私を信じてくれる。彼女の強さが私に勇気を与えてくれた。

今年は久しぶりに秋刀魚を焼かなかったな。夫は焼き魚が好きで、よく焼いた。何だかずっとずっと昔の事みたい。もう、この家を出よう。夫の抜け殻が残るこの家にはいたくない。私はきっと夫の帰りを待ってしまうだろうから。

秋刀魚の刺身
秋刀魚の刺身
にんにく醤油 [にんにくを甘い醤油に漬けたもの]