
昨晩、東京に帰った。
家まで編集部の方が車で送ってくれた。お土産に撮影時に購入した蕪をくれた。雨が少し降っていて、生ぬるい夜。
この部屋に帰る度に悲しさが溢れる。
不毛だってわかってるけれど止められ無い。何回も何十回も、何百回も思う。「どうして、こんなに苦しまなきゃいけないんだろう。」
幸せだった。結婚してからも、結婚する前も、ずっと本当に幸せだった。お酒の事を除いては毎日がとても幸せだった。後出しジャンケンみたいに、沢山の人が口を揃えて「ほら、だから言ったでしょ。」って。だから、あの男は駄目だって言ったのにって。幸せが無くなっていく毎日をどう思って、そんな事を言うんだろう。
兄から、彼と連絡を取ったとLINEが入る。
あまりいい内容じゃなかった。大体想像は出来てた。
あと何回、胸が潰されるように苦しんだら、私は普通になるんだろう。彼はきっと、これから鬱に入ると思う。冬にかけて、来年にかけて鬱に入ると思う。その頃には私達はもう他人になってるだろう。こんなに酷い事があっても、私は彼を嫌いになる事は出来ない。むしろ、兄を通してだけど、彼に会えた様な気がして、ほっとした。嫌いたいのに嫌いになれない。
神様という人がもしいるのなら、どうして、彼に病気を授けたんだろう。どうして、彼の様な弱い人間にそんな事をしたんだろう。彼には、直ぐに根をあげてくれて、他の男に飛びつく様な女が似合うのに、どうして私みたいなのが彼の隣にいたんだろう。
もう、本当に厭だ。喉のあたりが、ずっと満タンで、ぎゅっとなってる。哀しみが一気に溜まってしまって、声が出なくなるやつ。