
朝に納品を済ませて、新宿のマップカメラにレンズを返却しに行く。時間が少し空いたので、明治神宮を歩く事にした。
清々しい。涙が出てくる。
伊勢神宮に行ってから、こういう場所が好きになった。祈る事がずっと胡散臭いと思っていたけれど、祈るのは、願い事を叶えるわけでも、信仰の為でもなく、ただ、祈る事で目の前を見る事が出来る。瞑想みたいに、今、ここ。って。病気や災害、自分一人の力では乗り越えられない、どうにもこうにも出来ない時に、人は祈るんだろう。祈る事で救われる。起きてしまった現実は変わらなくても、今、ここにいる事が見える。お腹が鳴ったら食事をし、哀しみが今は襲って来ないのなら、ゆっくりする。そうして今がここにある事を知ると、少し元気になれる。いつだって、今なのだから。
彼の中には二人の彼がいた。
一人は優しくて私や家庭を大切にする、モラルも道徳もある気の弱い彼。もう一人は、酒を浴びるように呑み、女と遊び、汚い言葉を喚き脅し、人を傷つける事を厭わない彼。
私の心は両方を行ったり来たりした。全て現実だから、そうするしか無かった。本当に疲れてる。彼がお酒の時期に入ってしまってから、もう8ヶ月。あの頃に戻れそうな気がしてならない。もう一人の彼が帰ってくるのを、どこかで待ってる私がいる。
新しい家が決まった。私は今を生きなきゃいけない。