出張先での撮影が終わって、ホテルに帰る。心が切れそう。これはいつまで続くんだろう。セミダブルのベッドに横になる。こういう時は頭が全く動かない。辛い、哀しい、辛い、哀しいの繰り返し。感情が思考を支配する。
疲れた。
朝から開けなかった兄からのLINEを読む。「彼との話し合いが上手くいかない、よしみに怒りを露わにしているよ。調停をしよう。」
私の怒りなんて、とっくに失せてる。もう救いたいとも思わない。ただ、救われて欲しい。誰でもいいから、少しでもいいから、彼の側で彼の話を聞いてあげる人がいて欲しい。今、現実を見ないと、戻って来れなくなる。それは私も同じ、今から逃げちゃいけない。ここにあるものが苦しくて苦しくて堪らなくても、誰かのせいにしちゃいけない。自分で選んで歩いてきた筈。どっちが悪いじゃなくて、自分が前に進む為に痛みを飲み込む。
あかりちゃんに伝えたくなって、メールを送ると、直ぐに電話が鳴った。20分くらい話をして、気持ちが追いついてくる。
私は、調停も裁判もしたく無い。
「これはモラハラ問題です。酷いですね。裁判をやれば勝てます。」弁護士さんの言葉に心は全く響かなかった。裁判してどうするの?兄はここ最近ずっと怒ってる。「こんな酷い事をされて、相手は逃げ得になるんだよ?それでもいいの?」
酷い事をして、俺は知らないと声を荒げて言うのは認める事が出来ないだけだと思う。自分を守る為には、もう怒るしか無い。それは、決して得なんかじゃない。何があったのか知ってるのは彼自身なのだから、自分に嘘をつくのは自ら泥沼にはまっていくようなものじゃないかな。哀しい事だよ、だから、どうかもうやめて。