芋煮

和食 20.11,2020

心が元気になればなるほどに、頭の中にやるべき事がわんさかと降ってくる。
仕事が出来なくなってしまった頃、今まで一度だって溜めた事が無い請求書が気づいたらあっという間に溜まっていた。酷い時は、1時間も吐き気で外出が出来なかった。電車に乗るのも精一杯。ほんの数ヶ月前の話。ようやく、私は私を取り戻してきた。生きる事って、こんなに楽だったんだって事を今、毎日を思い出してる。この半年以上の出来事が、まるで夢みたい。来る日も来る日も、胸が潰れる様な出来事が重なっていくと、人間は正気を失っていく。最期はずっと消えたいと願ってた。消えなくて良かった。

今日は久しぶりに穏やかな夜。コロナの前みたい。その時は、私の夫という人がこの家にいた。

にーちゃんからLINE。
「なんか人が変わったみたいに、電話が来た。今日は敬語だった。全部、終わらすって言ってるけど、未だ納得がいかないみたい、。俺は悪く無い、追い出されたんだとか、関係の無い事を主張してた。酷かったから少し言ったら、黙ってた。」

情けない。

妻である以上、彼の病気を救うと必死に頑張ってきた私の傲慢さは、私の罪だと思ってる。一度でも殴られた時に、一度でも大声で喚き散らされた時に、一度でもテコを蹴飛ばされた時に、荷物をまとめて、ここから逃げ出す事が出来た。それが愛かどうかなんて、わからない。ただ、反省してる。

病院の先生にどうして逃げなかったんですか?って、何度も聞かれた。
「犬がいるし、両親には心配をかけるから実家には帰れなかったんです。」私の答えは答えになってなかった。私が逃げない事を選択した。

離婚を選んだのは、怖かったからじゃない。苦しかったからじゃない。出て行ったからでも無い。病気でもいい、逃げてもいい、裏切っても、弱くても良かった。そういう彼を私は好きになったから。全部知って、悪い所もいい所も含めて彼を愛して結婚した。「もうお酒で傷つけないから一緒にいて欲しい。」彼の言葉を信じて、未来に希望を持って一緒に生きていく事を決めた。

「俺は今年1000万稼ぐから、お前とは違うんだよ!俺に構うな。」
一緒にいた8年間の殆どを無職で過ごした男が、すっかり依存症が始まって、心も身体もおかしくなった時に友達に貰ったお金や何かを手にした。色々なタイミングが揃って彼はおかしくなっていった。彼が荷物を持って出て行った日に私に言った言葉。あの日の顔も、あの日の声もよく覚えてる。何かの糸が切れて、それから私はあっと言う間に身体を壊した。

こんな人といたくない。私が好きだったのは、優しい彼だ。
ただただ情けなかった。人として、男として、ダサくて嫌だった。そんな男を救おうとする私も、もう許せなかった。離婚を決断した理由は多分、一つ。それだけ。

芋煮
ごま油 (肉を焼く時に使うのと、最期に風味付けで入れる)
味噌 二種(焼き付けるのと、最期に入れるよう)
豚肉
きのこ
里芋
人参
こんにゃく
青ネギ