ラザニア

Journal 09.12,2020

「夕飯なんていらねーんだよ!誰が作れなんてお願いしたんだよ。」

お酒が酷くなり始めた時に彼が吐いた言葉を思い出す。
夜中に泥酔する日々の中で私がお酒を止めてとお願いすると、夕飯を作るお前が悪いと怒鳴り散らした。私達のいつもの食卓が一瞬にして壊れていく。もう、私にはどうにも出来なかった。

食卓さえ温かくしておけば帰って来てくれると信じて、信じるしか無くて、いつもの様に好物を作って、冷蔵庫には彼が好きなものを入れておく。夏がくると毎年食べる、桐の箱に入った今にも折れてしまいそうに細い素麺は夏が過ぎる頃には友人にあげた。朝に焼くウィンナーも、食後に食べるアイスクリームも、全て、夏が終わる頃に捨てた。

食卓が好きだった。大切な人と食卓を囲むって最高だと思う。美味しいを一緒に味わえるって、そんな幸せは無いんじゃないか。1日の終わりに、1日の始めに、一緒に食べる。毎日やったって飽きないし、毎日美味しいし、毎日毎日、本当に最高な気分になれる。だって、目の前で熱々のチーズが溶けていくのを一緒に頬張れるなんて、チーズが冷めるまでの、ほんの一瞬の時間を味わえるなんて、最高な出来事だよ。

料理が大好きなのに、誰の為に作っているのかわからない食事を作る事が毎日なんだか辛いし、どこか後ろめたい。手を動かせば紛れる何かがあったけれど、やっぱり寂しい。気持ちの問題だと思うけれど、気持ちの問題だからどうにも出来ない。だけど、やっぱり料理が好きだし、食卓が好き。私の好きを失くしたく無い。

幸せは自分で作るものだと思う。だけど、一人じゃ幸せにはなれない。
大皿で作ったラザニアを一人で平らげるなんて、私は楽しくない。

今夜は後藤さんと家でお祝いをした。一緒にいて、心がほっとする人。美味しくて、とても幸せだった。

ラザニア
ミートソース [豚挽肉、玉ねぎ、セロリ、人参、ケチャップ、砂糖、トマト缶、コンソメ]
ラザニア
ピザ用チーズ