チキンカレー

Journal 27.12,2020

久しぶりのチキンカレー。我ながら絶賛。私のチキンカレーは美味しい。この美味しさを誰かにあげたいって思う。今日は林檎を一個すりおろして入れた。いい感じの甘さ、最高。

全部捨てた筈だったのに、彼の写真が久しぶりに出てきた。見ちゃいけない。見たくない、怖い。とっさに目を伏せる。いや、見よう。もし、怖いと思うなら見た方がいい。今から逃げてても逃げ続けるだけ。ちゃんと見よう。彼のどこが好きで、どこが嫌いだったのか。

一つ一つを思い出す。
アトピーだから、首元はよくただれていたな。髪はいつもボサボサ、フケもすごいから彼用に少し高いオーガニックのシャンプーをネットで買ってた。顔だけはそこそこハンサムだけど、服を脱ぐとこなきじじいにそっくり。表向きは騙せても、身体は真実だなぁと関心した。服はボロボロで、お酒を飲むお金はあるのにいつも服を買ってとせがまれてた。なんでだろう。なんで私が服を買わなきゃいけないんだろう。お酒を呑むと変なテンションになって、お酒が入らないと借りてきた猫みたいで、子供みたいで、だけど、子供みたいっていい表現に聞こえるけど、それっていいのかな。みんなが可愛いと言う彼を私も可愛いと思ってたけど、本当に可愛かったんだろうか。みんなって誰。私の周りの人は誰もそんな事言ってない。

写真を覗けば覗くほどに、わかってくる気がした。人生をいつしか諦めてしまったのは私なんじゃないか。妻になったから、この人の悪い所全てを受け入れる。私が求める事、やりたい事、望む事が叶わないのなら、世界からそれを捨ててた。

前に仲の友人と子供の事について話した事があった。「うちは夫が子供を要らないって言うから、前は欲しかったんだけど今はいいかな。」ちょっと寂しそうに見えた。私より年が1つ上の彼女にとって、今という時間はいつなんだろう。彼女が自分の想いを世界から消失させてる気がした。きっとあの時の彼女と同じだ。私は一体何を望んで彼の妻として私の人生を生きてたんだろう。

彼の病気も、私の諦めも、同じように進んでいった。一緒にいれるだけでいい。本当にそうだったんだろうか。自分の人生の舵を誰かに委ねるような生き方って間違ってる。夫婦でも、相手に委ねるものじゃない。できる方がやればいい、それも間違ってた。世界は出来る出来ないで作られてない。出来る人も出来ない人も同じように今を生きてる。

結婚っていう幸せを手にしたから、私は人生を諦めちゃったのかな。

ああ、今日も最高なカレーだったな。
もう嫌だって、毎日、何度もどこかで人生をやめたくなる。
そうじゃない時間の方がずっとずっと多くなったけれど、そう思った時に全てもういいやってなって、ぶっきらぼうに適当な食事を食べると今日っていう日が何だかつまらなくなる。だから、やっぱり諦めない方がいい。

料理も人生も、今っていう時間を諦めない方がいい。