
久しぶりの我が家。出張続きの泥のように重い身体を引きずって実家に預けていた梃子と帰宅。家のドアを開けるのが何だかとっても嬉しかった。荷物を片付けて、恵比寿に撮影へ向かう。
今日は何だかちょっと気分がいい。身体はへとへとだけど、気持ちがいい。前の取材がおしてて、アーティストの入りが遅れた。ライターの古川さんとたわいもない話をして待つ。撮影が終わったのは8時前。撮影時間は予定よりずっとおしたけど、古川さんとお喋り出来て良かったな。
渋谷からバスで帰る事にする。だけど、これはいつも後悔する。昨年に住んでた駅を通らなきゃ行けないから。いつも乗った後に後悔するけど、今日も後悔したけど、今日はみうらじゅんさんのyoutubeに夢中だった。見たく無い通りはずっとyoutubeの画面を見てた。梃子がお腹を空かせて待ってるから、早く帰らなきゃ!バス停から家は直ぐだけど、小走りで帰る。私、この街が本当に好きだな。家の直ぐ側に路面電車が走っていて、天気のいい日にベランダで植物に水やりをしていると、踏切の音が聞こえてくる。誰かが暮らしている音が聞こえるみたいで、小さな街で生活をしてる事に何だかとっても嬉しくなる。3階にある私の部屋を見上げた。
「梃子ただいまー!」部屋のドアを開けると、リビングでさっきまで寝ていた梃子がしっぽをふってる。暖かい部屋、準備しておいた夕飯も待ってる。梃子が嬉しそうにベッドルームへ走って行った。私も梃子もベッドルームがとにかく好き。ベッドしか無い部屋。お気に入りのコアラマットレスが部屋を占領してる。ワイングラスを置いた直ぐ脇でジャンプしても倒れないCMのマットレス。私はこのベッドに助けられた。このベッドのお陰で世界から消えずに済んだ。重力からも逃れて世界の下へ沈んでいこうとする私の全てを全身全力で受け止めてくれたベッド。真っ白な大小サイズ違いの枕が4つ。真っ白な大きな毛布と羽布団。一人にしては少し大き過ぎるけど、奮発して買った。とにかく生きながらえる為にベッドだけは譲れなかった。梃子とベッドで少し遊んでから、キッチンへ行く。梃子にご飯をあげて、お風呂へ入った。この家のお風呂は少し古いけれど、窓があって、そんなに大きくないバスタブが実家みたいで、とても気に入ってる。今夜は疲労回復ってパッケージに書いてある入浴剤にした。緑色の湯船に浸かって、「最高ー!」って叫んだ。
夕飯は野菜たっぷりの鍋。風呂から上がってビールを飲みながら支度する。外食続きで野菜不足だった干からびた身体に染み渡る野菜。「ああ、最高!」家に帰ってきて、何度、最高ー!って叫んだんだろう。ベッドルームでお風呂でキッチンで、あちこちで「最高!!」と叫んだと思う。この街に引っ越してきて本当に良かった。この家が本当に好き。
「いい事の次は悪い事が来る事は世の中の常なので、先回りして嫌な事があったらラッキー!って言わないと。もの凄くいい目に合いたい人は、もの凄く悪い事に合う事は決定ですから、嫌な事がある人生が嫌だって人はそこそこの人生を努めなきゃですよね。これはルールですからね。なので、自分がどういう風に生きたいか考えないと。」バスの中で聞いてたyoutubeでみうらじゅんさんが話してた事。可笑しかったな。
今夜は久しぶりに私のベッドで寝れる。嬉しい。