晩酌

Journal 19.2,2021

横浜で仕事。ほんの数カット。1時間くらいで終わって、久しぶりに会ったハルさんとお茶をする。たぶん、2年ぶり。前に会ったのは清澄白河のTABF。

新しい名刺を渡して、離婚した事を伝えた。あの苗字が嫌になったから、苗字は捨てる事にしたって事も。今日から直ぐによしみさんって呼んでくれる、ハルさんは台湾人。日本は結婚する時に女性が名前を変えるのが普通。だけど、離婚すると女性は苦労する。その事について、変だよねって。台湾は夫婦別性。子供はどちらかの苗字を名乗る。

それに、自分は結婚するかどうか考えてないとも言ってた。長年付き合ってるパートナーがいる。だけど、大切な人と必ずしも結婚する事が自分にとってメリットだとは思わない。それよりも自立した関係でパートナーといたいし、台湾は2人に1人は離婚してる。結婚も離婚も特別な事だとは思わないって。

台湾人は家族や食卓を大事にするって聞いた事がある。家族が揃って食卓を囲む。私が一番好きな時間。気になってその事についても聞いてみた。だけど、離婚する事と、家族を大事にする事は違うよって。ハルさんの言う通りだな。それは全然違う。

昼頃までお喋りをして、一緒に東京に帰った。

日本の女性の生き方はやっぱり海外に比べて閉鎖的に思う。アメリカの姉と話しても、ヨーロッパの友人と話しても、日本はってなる。東京で沢山の女性に出会ったと思う。日本の中心都市だけど、日本はって言うのによく当てはまる。時代はどんどん変わっているけど、まるで逆光してるみたい。どうしてなんだろう。どうして皆が同じ方向を見て同じ方向へ行こうとするんだろう。本当にそこは明るいのかな。

苗字を捨てた時に自分が誰だかわかんなくなったあの感覚がまだ残ってる。私の育った家族は大好きだけど、明らかに今の私に旧姓はマッチしてない。完全に着せ替え人形みたいで、着せられた紙の服はずれてる。結婚でも無い、家族でも無い、じゃあ私は一体ってなるけど、今を幸せに感じてる。まだ過去を拭い切れはしないけれど、寝不足で真っ黒だった顔はすっかり晴れたし、スーパーに夫の世話にと走り回らないないでいいし、忙しすぎて苛々が爆発するのを抑える事もなくなった。それから強がらないで良くなって、私は妻だからって安堵を掴みながら背筋を伸ばすのもやめた。そう思うと、楽だし、幸せだし、独りになってすごく気持ちがいいと感じる。

それに、夫がいた方が寂しかった。夫が嘘をついて帰らない夜は飛び切り寂しかった。
結婚って一体なんなんだろう。何だか、やみくもに結婚っていいよって言ってきた自分が恥ずかしくなる。結婚は別にしなくてもいいやって思った。