
友達が亡くなった。午後、プリントしてて、不意に最近元気かなって思い出した矢先だった。電話を切ったら、涙がどんどんと溢れて、床に転がって泣いた。このままだと哀しみに喰われちゃいそう、外に出よう。涙を拭って家を飛び出したら、雨が上がったばかりのコンクリートがひんやりしてる。通りを歩いても、歩いても、まるで地に足がついていないみたい。
いつしか彼女と疎遠になっちゃって、その理由も本当にくだらない理由だった。どうしてあの時、私は怒ったんだろう。私が怒らなかったら、彼女が辛い時に私は少しでも支えになれたかもしれなかったのに。私の最低な離婚の話なんかを聞いたら、少しだけ楽になって、時には笑ってくれたかもしれない。どうかお願いだから、失った時間は戻らなくてもいいから、少しでも助けになりたかった。なりたい。
すごくいい子だったのに。いい子過ぎると人に騙されちゃうよって、そんなにいい子にならないで怒っていいんだよって、お母さんみたいに口を酸っぱくして伝えてた。やっぱり、おかしいよ。悪い事をする人は今を飄々と生きてるのに、彼女みたいな人がどうしたら苦しんで死ななきゃいけないんだろう。世界にとっていい子は必要な筈だよ。
帰宅してもずっと慌ててる。3年前にニコちゃんが死んだ時みたい。何をしていいのかわからないし、何もする気になれないけど、何かしなきゃいけないと思って身体がじっと出来ない。とにかく夕飯を作ろう。キッチンに立ったけどわからない。前にたまちゃんに貰った、とり野菜味噌っていう鍋の素を見つける。富山の実家ではよく食べるのだそう。冷蔵庫の野菜と冷凍庫の肉や魚を、とにかく切って鍋に放り込んで、鍋の素を入れてグツグツと煮る。何となくニンニクも沢山放り込んだ。さっきからずっと胃がキュッとする。食べよう。哀しい日はとにかく食べよう。私はどんなに辛くても食べれる女だから。
ビールをあけて、何杯もお代わりした。