豚とニラのワンタン

中華 16.4,2021

三茶におつかいに行ってミスドと花とワンタンの皮を買って帰る。夕飯は久しぶりのワンタンにする。ついつい餃子の皮で水餃子にしてしまうけれど、ワンタンの薄皮ってやっぱり美味しい。何十個食べたんだろう。食べても食べても美味しかった。困ったな、この底なし沼みたいな食欲。毎日が楽しくなってきたら、ご飯が美味しくて仕方ない。姉も最近は元気そうで2日か3日に一度は電話が来る。テンションは勿論、マックス。たいがい、食べ過ぎた話をしてる。BBQ食べ過ぎて気持ち悪かったとか、失敗した大量のクレープがただのパンケーキみたいと不評だし不味くて気持ち悪かったとか。あそこの家族はいつもご飯にファックしてる。

今年が始まって少し経ち、私が少しずつ元気を取り戻してきた頃に、姉はぐんと落ち込んだ。裁判の判決が出たのが年末。安心してクリスマスを送れるねって喜んでいたのは束の間、12月31日にひっくり返すような事件が起きて、日本の元旦に全てが終わった。正月の食事の準備をしながらハンズフリーで姉の話を聞いた。3年間の裁判に耐え、あれだけ心身共にボロボロだったのによくやったと思う。信じられないような話だった。だけど、その1ヶ月後、憔悴しきった姉がいた。

「とにかく何でもいいから、毎日ピアノの曲を作ってLINEして!」何かを彼女に与えないと、このまま落ちていっちゃうと思ってとっさにお願いする。スライムが溶けて入れ物からはみ出していくみたいに姉が暗闇にだらりと落ちていきそうだった。散々に読みふけった鬱の本で学んだ事を思い出した。悪い思考が止まらない時は、手を動かしたり何かを感じる動きをするといい。頭じゃなくって体を使う。毎日、毎日、不安な音の曲が送られてくる。酷い時はフラットを転ばしたような曲がきて、こっちまで不安になった。だけど、どれもいい曲。色々な感情が込み上げて来る。それは姉を想ってだけじゃない。音楽ってやっぱりいい。

毎日じゃなくても何となく数ヶ月と続けていくうちに、ワルツっぽいものとか、リズムが弾くような曲が増えてくる。ある日に、私が遊びで撮ってる映像に姉の曲をはめ込んでみたら、何だか面白くって、今では姉妹のルーティンとなった。

「ちょっとワルツっぽいのやって。」とLINEしたら、電話が鳴る。「今ね、ちょっとワルツで曲を弾き始めたら、部屋にいるヘレナから電話がかかってきて、”それはパクリだから。”って日本語でダメ出しが入ったよ。」どうやら映画の曲に似てたみたいで怒られたのだそう。二人で大笑いした。

ワンタン
豚ひき肉 100g
生姜のみじん切り
ニラ 1束
塩・胡椒
胡麻油
豆豉の入ったラー油