6月30日

『わたしを選んでくれる人』 " 雑誌の企画で綴り始めた日記 ", Journal 30.6,2021

朝からちょっとまた二日酔い。そして、何だかちょっとむしゃくしゃしてる。作品を終えてスッキリしていい筈なのに、急に寂しさがやってきた。何だろうこれ。すごく寂しくて虚しい。何もする気が起こらないし、色々が厭。特に昨日は少し駄目だった。何とか済ませる事だけ済ませて、ベッドで20時くらいから悶えた。本を読むのも億劫。辛うじて出来ることは携帯をオンにしたりオフしたり、その繰り返し。何かを見たいわけじゃ無いけど、ただそれだけをしてた。私の最悪はどんどんライトバージョンな最悪になってきてるし、今までの色々に比べたらこんなのヘッチャラなんだけど、どうにもこうにもペチャンコに潰れたタイヤみたいな感じ。

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『わたしを選んでくれる人』6月30日 ” 雑誌の企画で綴り始めた日記 “

「海いつ行きますか?」NAOさんにLINEした。「就活を始めたので、来週以降でもいいですか?」おいおい、昨日のグイグイは何処へいった?昨日とは打って変わって何だかちょっと素っ気ない。まだ付き合ってもいない男に勝手に一人猛スピードで激しく期待を抱いてしまう私が一人ポツンとしている。

夕方にまたNAOさんからLINE。「やっぱり自分のやりたい事は店だなってわかりました!」???どういう事だろう。「コミュニティーセンターが作りたいんです!」よくよく聞くと、学大の通ってる幾つかのバーの様に、面白い大人が集まって、自分の好きなことを表現できて、地域に根ざしたコミュニティーの場を作りたい!と目をキラキラさせて私に宣言してる。あー。あー。ああ、そうか。非常に残念な思いで私はペッチャンコになった。「未来というものは、不安だけど見えないから未来であって、それは自分の想像を遥かに超えたものになるから安心して。」ちょっと前に将来が不安だと言うNAOさんに送ったLINE。ごめん。あの言葉を撤回するつもりは無いけど、ごめん。

私、あなたと同じ話をする男を100人くらい知ってる。その男達は、何もしないままにおっさんになって、今となっては別の太い理念のある場所に収まっている。男のロマンの一つなんだろう。店づくり。コミュニティーづくり。好きな人や好きな物だけを並べた場所。それを叶えたのが私の元夫で、叶えさせたのは妻である私。「この国は馬鹿なんだよ。だから俺は法律の抜け穴をすり抜けるんだ。」関西人の夫はドヤ顔でズルを重ねた。社会とコミュニケーションを取りたいと豪語する割に非社会的であり、意外と稼いだ小銭は全て自分の財布の中へちゃっかり閉まう。俺様のロマンだけの為に。支え続けた私の所には感謝でさえ返って来なかった。

「よしみさんどう思います?」色々と意見を聞いてきたり、紹介して欲しいとお願いしてくるNAOさん。おいおい就職斡旋所じゃ無いよ。やんわりした答えだけを返答して、携帯を閉じた。あなたの未来を否定したい訳じゃ無い。学大に素敵なバーが幾つかあるんだね。それもわかったよ。だけど、バーっていうのは大概にして地域に根ざしているし、そういう店は五万と世に存在しているもんだよ。変わった場所が作りたいって言うけど、どこもそれなりに個性がある。その中でも秀でた個性のある店にするには貴方が秀で無いと難しいんだよ。それが、店っていう場所なんだよ、それにそれはどんな仕事にだって当てはまると思う。「稼げなくてもいいんです!」なんて甘っちょろい夢は人様に迷惑をかけるだけだからお止し!なんて言わなかった。お金って言うのはただの単位みたいな物であって、実際にお金が回るっていうのは、人の想いや人の力が回るって事だと思ってる。私の人生経験においては。

ああ、悔しい。不覚にも27歳の男に恋に落ちかけた自分が悔しくて堪らない。ああ、もう嫌。NAOさんにとって私は良きアドバイザーだったんだろう。そりゃ親切だよね。だって年上のお姉さんだもんね。彼との未来を一瞬でも考えた私の想像力、怖い。怖すぎる。子供は1歳くらいに育ってた。