晩酌

酒の肴 13.7,2021

午前は瞳ちゃんと久しぶりの撮影。やっぱり撮影は楽しい。世代の近い被写体の女性、とても可愛かったな。自分の心を整える為にカウンセリングに通ってるって話をしてた。私も同意見。占いやスピリチュアルはご飯みたいな感じで、その時の栄養にはなるけど、解決の糸口にはならなかった。

同業の友人が、自分にはヒーラー的な力があって、私も受けてる所があるからと親切に教えてくれた事があった。品川の方まで足を伸ばしたけど、結局、高い値段の費用を払って、何をチャネリングしてくれてるのかよくわからなかった。「あなたは大丈夫だから。」と、そのイタコみたいな人は私の何かを感じ取りゆっくりと話をしてくれたけど、結局一人残されたような感じで寂しかった事を覚えてる。何も解決がしないままにまた、同じ日々が始まった。

夏が終わる頃に目眩と不安と動悸が止まらなくて病院へ行くことに決めたのは懸命だったと思う。彼の為じゃなくて、私の為に行った心療内科の先生とは相性が良くてゆっくりと三ヶ月程の治療で終える。治療といっても、薬を要らないって伝える事と、最近のトピックを伝えるだけ。先生は私と夫との関係に常に注視してた。病を持つ家族とそれがきっかけで病になった家族、難しい問題なんだろう。卒業の合図が出てもしばらくは心が定まらなかった昨年の冬あたり、このトラウマについては長期的に治療する必要があると思って年明けからカウンセリングへ通おうと色々と調べてる内に年を越えた。そして、年末年始、物理的に沢山の整理をして、見たく無いものを沢山見たり、書いたりして、私のトラウマは少しだけ過去においてこれたお陰でカウンセリングの事はいつしか忘れてた。そんな日の事を思い出す。

カウンセリング、私もすごくいいと思う。沢山その子と話したくなったけど、何も言わなかった。この人は素敵なんだろうなっていうのが溢れてるような人で、写真を撮らせて貰えることが嬉しく感じた。

夕方、編集の山若君と写真集の打ち合わせ。打ち合わせといっても、ちょっと話したいことがあるから時間を頂戴とお願いした。16時に山若君の知り合いがやってる神宮前のスペースで待ち合わせ。こないだのご飯の御礼にとコーヒーをご馳走してくれた。カフェインレス生活をしてる私の身体中をギュンギュン回るカフェイン。美味しい。スッキリがすごい事になってる。最近どう?みたいなお喋りしてたたらあっという間に1時間以上経過。週末から山若君はまた出張。いつもどこかに行ってる。今回もビッグクライアントの仕事。彼の敏腕編集者ぶりはいつ聞いても痛快。「煙草を吸うからついてきて。」外に出て煙草に火をつける山若君の横で私が言った。

「あのね、写真集の事なんだけど。その、本当に面白い?本当に美味しい?みたいな事を聞いてるんだけど、これ誰かの為になるのかな。なんか、私は好きで写真を撮って日記を書いてる。だけど、これは誰が喜んでくれるのかな。」

昨晩、友人何人かに聞いた。「変な事を聞いてごめんね。私の得意な事って何だろう。」好きな事はわかってるんだけど、会社に行くわけでもなければ、家族がいるわけでも無い、一人でここにいるのは居心地がいいけど、誰かや何かの役に立ってる感じが全然しなくて、すごく不安になった。何の為に写真を撮ったり、生活をしたり、生きてるんだろうって。話の趣旨は少し異なるけど、わからない時は人に聞くと答えが見つかると、中田敦彦さんのYouTube大学で言ってたのを思い出して、早速聞いてみることにした。返ってきた答えは写真とか料理っていうワードが多かったけれど、驚く言葉もあった。シミルさんが言った、”臆さない”って言葉や、リョーコちゃんの言う ”人と仲良くなるのは天性だと思うよ”って言葉。それは本当に私?って思った。すごく臆病だし、離婚をしてるくらいだもの、どんな形にせよ、人とのリレーションシップに失敗した人という事実が重くのしかかってる。不思議、自分っていうのは自分が思っている以上に知らない。

何度も山若君に言う。
「本当に私が写真集作ることに意味あるのかな。誰が喜ぶ?」

「よしみさんさ、何度も言うけど、これ面白いよ。僕は面白い。だから作ろうって言ってるんだよ。今までのよしみさんの作品の中で一番面白い。これは誰かの為に逆説的に元気になれる作品だよ。たった一人でも面白いって思うなら、本にしていいんだよ。」

うん、としか言えなかった。氷が解けてくみたいに速いスピードで安堵していく自分が何だか恥ずかしくて早口になって構成の話を始めたけど、すごく嬉しかった。本当に嬉しかった。何をしていいのか、どうしたらいいのか、一人勝手に不安の渦に落ち込んでしまったけど、ヒョイっと面白いくらい簡単に友人達が私をすくい上げてしまった。わからない時は側にいる誰かに聞いたらいいんだ。

何だかんだで外はもう夜。二人して「お腹空いたー!」って思い切りに声を上げて帰路につく。帰宅したのは8時半過ぎ。今日はもう何も考え無い。Tverで新しいドラマを見ながらビール片手に数日前のリリさんみたいに思いっきり泣いた。家族をシェアしましょうって話だった。

晩酌セット
水餃子と特製ダレ
セロリの台湾風炒め
胡瓜のキムチ
麦酒