『わたしを選んでくれる人』 " 雑誌の企画で綴り始めた日記 ", エスニック 21.7,2021

朝起きて、昨日の事を考えてた。
写真家は写真を撮るから写真家なんだ。私よりシンプルで上手に生きている写真家を見たら目が覚めたような気分。やっぱりもっと料理写真の事をやろう。支度をして直ぐに代官山蔦谷へ向かう。前の家の時は、歩いて月に何回も通っていた。代官山蔦谷は料理本が沢山あるから、コーヒー片手に朝の7時から数時間、日本だけじゃなくて世界中の料理本を好きだだけ思いっきりに読める。今日もお腹が空くまで読み更けた。

昼食はどうしよう。歩きながら考える。台湾人のハルさんに教えてもらった麺線にしようか、パリのマユミちゃんと食べるボブンにしようか頭の中で台湾とベトナムを行ったり来たり。結局、麺線ボブン的な感じの麺を作った。中々ナイスな味だった。

15時から予約していたカウンセリングが始まる。今日はチャットで30分。複雑な話の事を上手く伝えたかったので、離婚の経緯と悩みを簡単にまとめた。始まって直ぐにカウンセラーさんにそれを送ると、3分くらい経って返答があった。「離婚大変だったのですね。」。細かく今の気持ちを聞いてくれる。話はどんどんと前へ進んで行った。突然カウンセラーさんからの提案。

「頑張るのやめましょう。」
「?? あの、私はまだ心が疲れているのでしょうか。」
「500万%疲れてます。」

思わず笑ってしまった。500万%ってどこまで疲れてるんだろうか。カウンセリングを終えると、改めて今日のカウンセリングのアドバイスをまとめられたものが送られてくる。

” 今日はありがとうございました。離婚から2、3年経っている相談かと思いましたが、内容を詳しく聞いて、鳥肌が立ちました。それくらい深くて難しい事を経験されています。あなたの壮絶な離婚、私なら死んでるかもっていう状況ですよ。あなたはすごく強い。たったの半年でよくここまで一人で立ち直ったと思います。こんな強い人は中々いないです。とても尊敬しました。だけど、少し頑張るのをやめてみましょう。今、気分が落ち込むのは当たり前です。自分へ優しさを持ちながら過ごす日を作って下さい。仕事を辞めるとか、バカンスをとるとかじゃなくって、やらねばと思ってる事を週末だけでもやめるっていう風にちょっとゲーム感覚で取り組んでみて下さい。特別なことはしなくていいです。自分へのコンパッション(労わる心)を日常的に持つ事を意識してください。”

今朝、気持ちはすっかり晴れていたし、カウンセリングはやっぱりキャンセルしようかなって考えてたけど、受けて本当に良かった。私の思考の癖は私一人では中々気づけない。自分で自分を追い込み過ぎたんだ。それに、哀しみや苦しみが出てくれば出てくる程に追い込んでた。もっともっと頑張らなきゃ。だから裏切られるんだって。けど、きっとその逆だ。私が頑張れば頑張るほどに、自体は悪化したのは彼との結婚生活も同じ。写真家にならなかったら離婚はきっとしてなかった。私達は同じ歩幅で歩き、同じ酒場で同じ様に過ぎる毎日を二人で消化出来た。

カウンセラーさんが言った。自分で決めて結婚して、離婚をし、一人で立ち直り、今日ここに来た事。よしみさんは十分に前に進んでいますよって。何だかほっとした。それに、また一人で苦しみを抱えようとしてる事に気付けた。私、同じ事を繰り返してる。

週末の頑張らないゲーム始めてみよう。自分の事を俯瞰して観れたら、あっという間に気分が軽くなる。一つ面白い事を思いついた。私のコンパッションを写真に撮ってみたい。

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『わたしを選んでくれる人』7月21日 ” 雑誌の企画で綴り始めた日記 “

全く持って昨晩のデートは乗り気じゃなかった。
先々週あたりに会った同い年のRYOさん。その後に会った38歳のsousiさん。彼らの感じでわかった。30代後半オーバーの男性は魅力的に見えないかも。何だか世の中が怖くない場所だって信じきってる感が嫌だ。メッセージだと紳士的だけど、会うと懐の小ささを感じてしまう。航海エリアが狭いだけじゃん!って。何とも失礼な話だけど。

フォトグラファーの宮川さん。44歳。乗り気じゃない理由はそういう事。また東京湾の話をするのかなぁと思うと億劫だった。だけど、大豆田とわ子を見てる時に腹を抱えるわけじゃなくて唸り悶え爽快に面白さをジンワリと全身で感じるような、あの面白さを宮川さんとのメッセージの随所に感じていたし、いい人そうだし、微かな希望を持って待ち合わせの下北沢へ向かった。だけど、やっぱり面倒なので、パパッと化粧をし、適当に選んだワンピースを着て電車に飛び乗る。そして、小山田圭吾さんのニュースに夢中になっているうちに代々木上原。「ごめんなさい。乗り過ごしちゃって少し遅れます。」宮川さんは新しくなった下北沢の駅で迷ったらしく、私より遅れて到着。あ、気難しそうな人かも。小綺麗な向井秀徳さんみたいな服装だった。今日は早く帰ろう。予約したカレー屋さんに入る。カレーを食べている最中、写真の話となった。誰もが知ってるスタジオの出身で、経歴が面白かった。数学が好きで何とか曲線の勉強で大学院まで行ったけど、その後に写真の学校に行って、20代後半にスタジオに入社したのだそう。独立が31歳。私も独立は32か33歳くらいの時だった。カレー屋を出て、クラフトビールを飲みに行くことにした。宮川さん、独特ですごく面白い。そうして何だか離婚の話になった。「同じフォトグラファーで、すごく感情がすごい人で当時の日々の事はすっかりもう忘れてますね。」と笑ってた。離婚した人って私の知ってる限りだとみんな同じ事を言う。当時の事を抜け落ちた様にすっぽりと忘れてる。記憶が忘却を選ぶほどに辛い体験だったのかな。なんだか思い出せないっていう話を聞いて親近感が湧いた。だけど、私はどうして忘れない方を選んだんだろう。

ギターが好きな俊彦さん。38歳。営業の仕事をしているのだそう。音楽が好きそうだったので詳しく尋ねてみると、三兄弟みんな音大へ音楽を学びに行ったのだそう。長男に限ってはドイツまで行ってしまったのだそう。私の姉も高校から音大付属へ入学し、芸能から音楽の道へ進んだ。少しだけ音楽話で盛り上がった。「いきなり会うのはあれなので、電話で話しませんか?」とか、「オススメの音楽を教えてあげたいからLINE交換しませんか?」とか、遠回しな発言が続く。この人は一体全体なんだろう、こういう臆病はイラつく。「私は、会って話すのが好きです。」「LINEは会ってから交換しましょう。」と返答した。「どうしてこんな素敵な人が離婚されてるんですか?と聞いてもいいですか?」と、また遠回しのメッセージ。またもやイラつく。本当の話を言ったら失神するだろうと思って、ふんわりと返した。男は女に比べて臆病な生き物だと思うけれど、臆病すぎると腹が立つ。