
今日は作業の合間にずっと電話をしてた。仕事の事で瞳ちゃんから電話があって、そのまま普通に長電話して、直ぐに母から電話。午後は何時間電話してたんだろう。気づいたら夕方。頭がくらくらした。
母がマスクと庭の野菜とパンを送るって話から昨日見たテレビの売れないミュージュシャンの話になって、本当に絵に描いたような駄目な夫だったけれど、私の元夫よりはずっとずっと大丈夫な人間だったけど、あの人に似てるし、それに奥さんが才能に惚れ込んでる所もよしみに似てるってひつこいから、初めて本当の事を言った。
「今だから言うけど、私は夫だから家族に悪口を言わなかっただけで、彼の音楽や才能の話はしてない。ただ、夫は頑張ってると伝えただけ。それに、我慢を選んだのは駄目な人間の所為じゃなくて、私が選んでやった。だから私が悪いんだよ。下らない話、もう止めようよ。」母は未だに私に聞きたい事が沢山あるみたいで、最近になって彼の事を口に出してくる。どうしたって許せないんだろう。姉が私達夫婦の事を知った時、これは家族が知るべき事だからって、私が記してきた数年のアルコールの記録を家族で共有するように言った。母は色々を知ってはいても、私の口から聞きたいんだと思った。
「よく一人であの離婚を終わらせたと思う。」
こないだ急にそんな事を言いだした。母は写真で生計を立てられるようになった時よりも、離婚後、一人の女として、一人の人間として私をリスペクトしてくれるようになった。
父は私を不憫に思って、千葉の家はあげたいとか、一緒に住みたいとか言ってるようだけど、母は好きなように生きなさいと言うようになった。
「携帯がずっと調子悪くて、auに行ったのだけど、今日もすごく親切で感心しちゃって。店を出てからドーナツを買いに行って御礼してきたの。あの人達、タダであんな親切に話を聞いてくれるなんて、本当にすごいよね。」と母。あれは仕事だからタダでは無いって言おうとしたけどやめた。してくれた事が嬉しかったから御礼をした。それは、そうだな。そういう事だよね。
ずっと自分勝手に生きてきたけれど、家族には本当に馬鹿だの幼稚だのって、私が世界のどこかへ旅を出る度に呆れられて、兄に限っては30歳を過ぎて始めた写真の事をとにかく心配されたけれど、もう誰にも我儘を言うつもりはないし、これからはどうしてか、優しく生きたいって思ってる。私もドーナツを配れる女になりたい。