夕飯

夕飯 11.9,2021

今日は藤原さんをADのシミルさんに紹介したくて、うちでご飯しようとなった。藤原さんが高井戸の商店街にある魚屋さんでお刺身を沢山買ってきてくれて、シミルさんはビールと最近近所に出来たパフェ屋のゼリーを買ってきてくれた。

今夜は、刺身とフミエさんに一昨日に戴いた搾りたての醤油、富山の郷土料理の臭木の煮物、万願寺とうがらしとオクラの梅味噌焼き、発酵白菜の餃子、スナップエンドウのナンプラーがけ、切り干し大根ときくらげの中華風。食後に富山と千葉の梨と葡萄に、シメにすだち蕎麦。それから最後にゼリーと麦茶。とにかく食べた。お腹がパンパン。

途中で仕事が早く終わったと、シミルさんの奥さんのタマちゃんがお酒を持って来てくれた。シミルさんはビールを一気に二缶飲んだ所でソファーでイビキをかいて寝てちゃってた。横にはテコがぴったりとくっついてる。気持ちよさそうだから放って置いたけど、タマちゃんに怒られて、のそのそと起きてくるシミルさん。

平和な時間。明るくて温かい感じ。
「いつ引っ越したんだっけ?」そんな話から1年前の池尻の家の話になって一気に胸がざわざわし始める。トラウマってすごいな。まるで瞬間移動したみたい。あの場所に立ってあの場所で感じた、叩いても喚いても誰にも聞こえない様な真っ暗な底みたいな場所で締め付けられる全身の感覚をみるみると思い出していく。ぎりぎりと全身が固く冷たくどうにも出来ないあの感じ。あの男を想うと、家族なのに怖くて堪らなくなる、私でも私の気持ちがわからなくなった日々の事。

だけど、今は違うよ。トラウマが私をまた襲おうとした瞬間に、私自身がさっと払い除けた気がした。目の前には友人達が食卓の光の中で笑ってる。テコはテーブルの下で友人達の足の間で嬉しそうに尻尾を降ってる。もうここにはあの日々は一つだって無い。全然、大丈夫。

この街が本当に好きだし、近所の友人も大好きだ。ここに引っ越して来て10ヶ月が経つけど、あの思い出以外は一度だって怖い思いをした事は無い。嫌なことも不満も何も無い。ただ、穏やかで安心な生活が全身を包んでる。怖くて胸がバクバクする事も足が震える事も無い。また騙されたんだって諦める夜も、男の酒気が充満した朝陽を浴びることも一度も無い。夫の中からエイリアンの様な別のおぞましい何かが出てくるのを傍観することも本当に何も無い。可笑しいくらいに無い。

先輩から朗報が入った。あれだけ恋はしばらくっいいやて言ってたけど、今日のデートが楽しかったって。来週の撮影が楽しみですねってショータさんからのメールも入ってた。うん、本当に楽しみ。可笑しいくらいに、ここは温かい。哀しい話だけど、人生で一番に愛した夫が消えて、私は幸せになった。

今日のお刺身、最高だったな。