寄せ鍋

和食 20.11,2021

午前は編集の野村さんと仕事。帰ってから急いで支度。もうすぐ周三君が来る。周三君は午前の仕事が終わってからこっちへ来るとの事。14時半を過ぎ、急いで納品データーをまとめてると、写真家の広瀬さんから電話が鳴った。

広瀬さんはうちのお兄ちゃんみたい。歳は3つ上で、何だかずっと慕ってる。特に離婚してからは何でも聞いてくれるし、結婚してた時も「暴力とか良くないから、本当に困ったら相談して。」って、中目黒の飲み屋で言ってくれたのをずっと覚えてる。最後に会ったのは夏で蓮井さんの写真展。「なんかあった?」電話での一声。「何もないですよ。」何かあったのかと思って連絡してくれたらしい。私の声が踊ってたみたいで良かったって。たわいもない話を続けてる中で、先週に彼氏が出来て、プロポーズされたことを打ち明けた。「えー!!」電話越しでもびっくり仰天してるのがわかる。そして、否定するわけじゃなくて、まだ早くない?って心配してた。本当にお兄ちゃんみたいな人。「俺の話だけど、俺は家族でも友人でも与えるっていう事をいつも考えてる。だから、彼が結婚したい、欲しいって、何かを望むのが悪いわけじゃないけど、あなたに彼は何を与えてくれてる?お互いに与え合える関係の人ならいいと思うんだよ。」

正直、周三君からのプロポーズは驚き半分、喜び半分、そこに微分の不安がくっついていた。私の馬鹿さ加減といったら、ほとほと悲しくなる。あれだけ苦しい結婚を体験したのに、急なプロポーズに不安よりも興味や喜びが先立っていた。広瀬さんの言葉がずしっとのしかかった。そんなタイミングで周三君が家に来た。広瀬さんとの電話を切って練り物屋さんへ出かけた。

お喋りをしながら頭の中で “与える” が行ったり来たりしてる。携帯のメモにもさっと書いた。与える。彼は私に何を与えてくれるんだろう。そして私は彼の結婚願望を満たしたら、その次は何を与えられる人になるんだろう。

夕飯は寄せ鍋。夜遅くまで沢山話しをした。沢山、沢山した。
それに、急で不安な気持ちがあるとか、どうして結婚したいのとか、メールでも話していたけど、顔を合わせて沢山の話をした。子供が欲しいか、妊活はどうやって進めたいか、どこに将来住みたいか、セックスは好きか、親の介護はどうするか、不倫したことがあるか。そして、女の人に暴力は振るったことがあるか。一緒に生きていく為に私が不安に思ってる事のすべてを聞いた。「何でも聞いて、全部答えるから。」私達は突然に出会ったから、もしかしたら突然にお別れするかもしれない。だから、彼がいいと言うなら、全部聞こう。