夕飯

夕飯 27.11,2021

半同棲開始2日目。ランチは周ちゃんの山形時代の友人が西調布の手紙舎のカフェで今週末だけランチを出してるから食べに行こうとなった。店に着くと、たいちくんという爽やかな男性と隣に小さくて可愛らしい女性が挨拶してくれた。二人は夫婦で少し前に結婚したのだそう。周ちゃんは私の事を婚約者ですと紹介したけど、未だ半生みたいな婚約者なのに周ちゃんの旧友にどんな顔をしたらいいんだろう。ちょっと変な気分。

周ちゃんはたいち君に「結婚の先輩として、色々教えて欲しい!」と言った。たいち君は照れながら奥さんとなりそめを話し始めた。”四国の方に勤務していた時に、仕事先の建築事務所で結婚についての話しになったんです。所長が「寝室は別に作って置くのがいいよ。」と若者達にアドバイスをしたのだけど、尊敬してる所長は奥さんと寝てると言う。どういう事だろう??そこから結婚について深く考えるようになって、自分にとってそれが誰なのかを想像してみたら数日後にぱっと今の奥さんの顔が浮かんだんです。それで、翌週に彼女が住む名古屋まで車を走らせて、結婚したいから付き合って欲しいと告白して、二年半後に結婚しました。彼女はすごいんですよ。デンマークに機織りを学びに行ったり、好きな料理を仕事にしたり、自分にはない色々を持っていて。友達としても憧れていたし、尊敬しています。今、三重の古民家で彼女が料理をするカフェを作ってるんですよ。”

何だか可笑しい。人って面白いよな。似たようなって言ったら失礼だけど、たいち君って人が周ちゃんの友達だってよくわかる。周ちゃんはたいち君の話をする時に「彼って本当にいい人過ぎて心配なんだよ!」と言ってたけど、周ちゃんもきっといい人なんだろうと思った。私達は婚約者となったけれど、周ちゃんの事を全然知らない。話は沢山聞いたけど、未だ何百ってあるパーツの一つに過ぎないんだと思う。そこには良いものだけじゃなくって、私とは合わないものもある。結婚して10年経っても初めて出会うようなものもきっとある。こうやって、彼を知るきっかけを世界に見つけるのは何だか楽しかった。

帰りの電車の中で事実婚と法的結婚についての話をした。ちょっと前に名字が変わってアイデンティティーが崩壊した事を話した時に周ちゃんは驚いていた。「僕が名字を変えてもいいよ。」とその時は言ったけど、そういう話じゃ無い。お互いにとっていい形にしたい。事実婚をネットで調べてるけど、もっともっと多面的に知りたい。沢山話し合って考えて決めたい。よくわからないまま、知らないままに、皆がそうだからっていうだけで法的結婚を選んで苦しんだ過去を今でも後悔してる。

夕方から撮影が一本入ってて、仕事に出かけた。北風が強くて寒い。仕事の時の写真ってどうとるんだっけ?昨日辺りから急に不安になった。緊張とかは無いけど、ただわからなかった。私の色々が今まで通りじゃない。いつもの様に撮ればいいんだけど、そのいつもが今の私から居なくなった。きっと失敗は無い筈。だけど、もう知ってる場所には着地しないよね。何処へ降りるかはわからないけど、多分、大丈夫。

夕飯の前に周ちゃんに、今日の撮影が本当は不安だったけど撮れたって報告すると、すごく喜んでた。家に帰って私の写真を見てくれる人がいる。それだけでこんなに嬉しいんだ。今日は何だかすごく気持ちが良かった。こんな風に飛んだ矢の様に撮ったのは久しぶりだったかもしれない。だけど、怖くなかったな。なんか、これってただの妄想なのか、何なのか。意思に近いのかな。帰る場所がある、私の話を聞いてくれる人がいる。それだけで自由に飛べる気がした。元夫を守る為にそんな苦しさから逃れる為に必死に撮ってきた写真はいつしか私だけの写真になって、もしかしたらこれからは、ただ世界を感じるだけの写真になりそうな気もした。何だか怖く無い。すごく、もう怖く無い。透明人間みたいな感じ。当たっても落ちても飛び降りても、私に牛乳をかけたら真っ白になって、ミルキーな匂いがプンプンするだけみたいな。

夕飯
ご飯
色々野菜の味噌汁
鯖の塩焼き
スペアリブと大根の台湾風
豆苗と挽肉の春巻き
糠漬けと赤蕪の酢漬けのお新香