4月の頭に引っ越す事に決めた。不動産への解約通知の退去理由の箇所に “結婚” と書いた。この部屋を見に来てくれた人に伝えてくれるといいな。結婚を理由に退去することを寿退去と言うらしく縁起が良いのだそう。そして、その部屋に住んだ人もまた婚期が早まるのだとか。独身の友人にうちに住まないかとLINEをしてみたけど、ひとりでこの家に住むのは難しいって。確かに。ベランダが広すぎるかもね。家賃も優しくない。ひとりでこの空間を持て余してしまったら、それは虚しさになる。今となっては大好きな部屋だけど、とにかく私も怖かった。いきなり家族が崩壊したからって、簡単にその場所を捨てられない。8年かけて大事に大事に築いてきたものがあの家にはあった。家中のあちこち、キッチンにもリビングにも首都高が遠くに見えるベランダにだってしっかりとあった。それに、夏の終わりから体調を崩してカメラを持つことも大変になっていたし、そもそもコロナで仕事も殆ど失くなった。私があの家を出なくてもいい理由は十分に揃っていた。こんな自分がテコを育てて、これから本当にここで生きていけるのか。半分ゾンビみたいになってる自分が16万っていう家賃をどう払っていったらいいのか全く検討もつかなかった。ただ、ここで幸せを望むしかなかったんだと思う。
周ちゃんと電話でこれからの色々を決めた。子供はわからないけど、とりあえずブライダルチェックを受ける予約をした。今、私達に共通して言える事は、とにかく新しいそれが楽しい。その先の事はたぶん殆ど考えてない。不妊治療の助成金を調べる事だって楽しい。それに、不妊治療だと申請するだけでブライダルチェック がタダで受けられるのだと言う。世の中知らない事がまだまだ沢山ある。結婚の色々、アメリカでは当たり前のように行われてるプリマリタルカウンセリングについてもお互いに本を読んで勉強して感想会なんてしてる。これは大学院の時によくゼミでやったんだよねって、周ちゃんが楽しそうに話してた。司会進行は周ちゃんで本の時系列に沿って、個人的な意見と一般的な意見を一緒に考えてみる。こんな体験は初めて。元夫の時は結婚をする時にお金の事も、未来の事も、子供の事も、何も話さなかった。何となく同棲をしている時から色々が決まっていって、気づいたら私がひとりで全てをやってた。きっと彼はつまらなかったろう。私がどんどんひとりで色々をやってしまう事が不甲斐なかっただろう。いつも私に甘えてばかりいるのはそんな理由だったのかもしれない。私が一つでも不安を投げ出したら拾ってくれたのかな。今となってはもうわからない。
2回目の結婚。知ってることも沢山あるけど、初めてのことも沢山ある。その初めては、とにかく楽しいって感じていること。こないだ皆んなでキムチを漬けたのだけどそういう楽しさに似てる。同じ場所で一緒に作ってる感じ。