塩豚のポトフ

27.1,2022

向かいあったコーヒー屋のテーブル席で、本当は泣いちゃいそうだった。込み上げてくるものがどんな気持ちだったのか細かい事は今でもわからないけれど、言葉にはならない。だからって写真とか映像で見えるかと言えば、そんなものでもない。ミオちゃんと私と、間に何か。似てると言えば冬の寒い日に温かい鍋を同時に食べた時みたいな。別々の口に入るのだけど、同じ場所にいるような感じ。

ミオちゃんから撮影後に話したい事があると聞いてて、私も彼氏が出来た事と結婚の報告をしたかったからタイミングが良かった。ミオちゃんはカフェラテとバナナケーキを頼んで、私はカフェラテミルク多めにしてもらった。本当は12月の撮影時に話したかったのだけど、その日は次のスケジュールがあったから早々に現場を離れたので、新年明けましておめでとうなミオちゃん。久しぶりで何だかすごく嬉しい。

待ち合わせ場所はビルの前。遠くに派手な白いモフモフのコートを着ているのが見えた。ミオちゃんのファションがいいなといつも思う。メイクもいい。ミオちゃんにはミオちゃんだけにしかないルールがあって、その7割はLONDON由来だけど、後は東京だとか、私も知らない未知の色々が詰まってる。誰が何と言おうとミオちゃんはミオちゃんっていう形をしてる。東京にいる女の子達は大体同じような洋服を好んで着る。それはそれですごく感心してしまうくらいに可愛いのだけど、ミオちゃんは渋谷のスクランブルの中にいたって直ぐにわかる。個性的という意味だけじゃなくて、ただ、ミオちゃんを生きてる。

「私はよしみちゃんが心配だよ。」ミオちゃんらしくハッキリと言った。全然、嫌な気持ちがしなかった。その通りだと思う。ミオちゃんが言う心配は、私がまた誰かの為に頑張ってしまうんじゃないかって。せっかくひとりの人生を立て直して、色々が回ってきたのにって事だったんじゃないかと解釈してる。男の人が大丈夫だったのか、結婚しても大丈夫なのか、どうしてそうなったのか?けげんそうな顔でとにかく心配をしてた。私自身この数カ月で起こったことに驚いてる。ある日突然に恋に落ちたような話でもない。一ページ一ページを隅々までしっかりと読み切った分厚い本がここにあるような感じだ。色々なことをすごく下手くそに説明したと思う。「男の人も結婚も怖かったし、誰かと付き合うことだって無理だったよ。ハグなんてやり方を忘れてたんだよ。だけど、色々沢山を話したり、結婚がパートナーが事実婚が何とか、本当に沢山を考えて話して、この人と結婚してもいいかもって思えた時に、トラウマがあるから怖いから嫌だって思いたくなかったの。進めない理由が怖いのなら、進みたいって。」ミオちゃんはずっと真っ直ぐ目を見て話をして、聞いてくれた。

仕事の事で色々と今は悩んでるんだそう。ミオちゃんらしくていい悩みだと思った。もっともっと新しいことに挑戦したいんだろう。そんな感じが伝わってきた。私の目にうつるミオちゃんって人がどうなのかを話して、応援した。仕事で頂いた5年手帳。「私意外とこういうのちゃんとやるよ!」とミオちゃん、「私は普通にやるよ。」と私。5年後、書き切ったら話そうね!って約束をした。今、抱えてるそれぞれの問題。ミオちゃんはこれからどんな仕事をして、私はどんな結婚生活を送ることになるんだろう。楽しみだな。なんなら先に書いてしまおうかな。

塩豚のポトフ
塩豚 [豚バラを重量の5%の塩に揉み込み一週間冷蔵庫で寝かせたもの]
キャベツ
ごぼう
しいたけ
人参
玉ねぎ