
昨晩は周ちゃんのキュレーター仲間の高橋くんに婚姻届の保証人の欄にサインして貰った。高橋くんが周ちゃんにアプリやってみなよ~って言わなかったら、超硬派な周ちゃんには一生会えなかったと思う。高橋くんに初めて会った時、アプリ市場には中々見ない周ちゃんという男を参入させたと誇らしげに話ていた。高橋くんはバツイチ。離婚の理由を軽く聞いたけど、簡単じゃなかった。多分、私と似たような話だと思う。その悪夢がどこまで進行しているのかは本人にしかわからない。いつか高橋くんが楽になる日が来たら、うちの食卓で高橋くんの好物なんかを食べながら聞かせて欲しいなと思った。
今日は病院の後にもう一つの保証人の欄を埋めて貰う為に後藤さんのお宅にお邪魔する。週末だからなんとなくお土産のチーズケーキは4つにした。もしかしたら、後藤さんの彼氏のまさくんもいるかもしれない。「周ちゃん、後藤さん家は家じゃないからね!プレスルームだから。」家までの道のりで何度も伝えた。
周ちゃんとまさくんは一度ミュージアムで会ってる。今日で2度目だからなのか会うなり色々と話し始めた。私と後藤さんはコーヒーをすすりながらチーズケーキを食べ、その会話の中から抜け出すようにソファーへと向かった。婚姻届を開くといつもの様に後藤さんはニコニコと笑ってる。達筆な字ですらすらとサインして、今朝2時間も探したのだという印鑑を押した。「人生、何が起きるかわからないね。」私だけに聞こえるような小さい声で言った。「ほんとですね。」私も小さな声で返した。17年ぶりくらいに再会した後藤さん。1回目の結婚で私達夫婦がもう手に負えないくらい最悪になってしまった時、直ぐに私の家に駆けつけてくれて、ただそっと寄り添ってくれた。こんなことってあるもんだ。もう二度と会わないかもしれなかった遠いい昔にお世話になった先輩が今の私を救ってくれた。大切なのは勿論今だけれど、人生は今日だけを見なくてもいい気がした。振り返ると、長く果てし無く続いた今日までの道のりには沢山の人の顔が見える。もう会わなくても、会えなくなったとしても、ずっと大切にしよう。今日さえ幸せならいい。今日一緒にいる人が幸せならいい。そんな事でもないのかもしれない。
怒涛の週末だった。結婚の準備、産婦人科、家探し。家に帰って、しばらく周ちゃんとソファーで話をした。ふたりともすごく疲れてる。