夕飯

夕飯 17.2,2022

今日は夕方にロケハンに行くだけ。最高。急ぎの仕事は一つもなし。後は来週にやればいい。いつも通り6時前に起きたけど、ベッドの中でぼーっとした。朝陽が部屋中に入ってきて気持ちがいい。本を読もう。手に取ったのは江國香織さんの本。周ちゃん家の本棚からいつだったかに借りてきた。朝から不倫の話はどうかなと思ったけれど、気持ちよく読んだ。家庭を持つ男の人と不倫する独身女性の話。正直もう好きじゃないし、過去に愛はあったかもしれないけど、もうとっくに呆れていたし、そんな自分が多分好きじゃない。だから、悲しみもなく別れて新しい暮らしを始める。そういう話だった。いい話だった。

何と無く面倒だったり、億劫だったり、初めてで少し怖かったり、そういう事を離婚してからは敢えてやろうとなった。役所に納税証明書を取りに行くのもそのうちの一つ。今日は空が青い。すごく青い。こんな日に籍を入れられたらいいのになって思いながら役所に向かう。税務署か。何も悪いことをしてないけど、何だか怖い。世田谷警察に行った時もそうだった。まるで隠し事でもしているかのような気分になる。あちこちとたらい回しにされながらも無事に納税書を受け取って帰宅。昼食はご飯を炊いて、昨晩の残り物を簡単に食べた。夕方にロケハンが一本入ってる。帰りにワインでも飲んで帰ろうかな。

結局、思ったより帰りが遅くなって家路についた。それにしても今日は寒い。明日の準備をして早々に寝よう。寝る前に周ちゃんに電話した。今朝、見つけた100平米の家のこと。先週見つけた家に決めていた筈だったのだけど、段々と違う気がしてきた。周ちゃんの職場には近いけれど、駅までの道があまり好きじゃない。田舎だから東京の様に歩道が少ないのは仕方ない事だろうけど、あの道を梃子とは歩きたくない。それに、陽当たりは最高だったけれど、北に一つ、南に一つある書斎をどう部屋割りするかでもめた。「全部が南向きの部屋なんて無理でしょうよ!うちみたいなマンションじゃないと難しいよ。」私が文句を言った。私は北向きの部屋なら引っ越したくない。わざわざ田舎へ引っ越して、北向きの部屋になるなんて嫌だ。そして、今週になって思い出した。私100平米の家に住むのが夢だったんだ。引っ越すなら今の家より素敵じゃなきゃ嫌。これが第一条件だった。すっかり、色々な条件に惑わされて大事な事を忘れていた。仕方ないよね。だって、どこかで折り合いつけなきゃ。何度も周ちゃんにそう言ったけれど、周ちゃんにとって、ふたりにとって良かろうと思っていたけど、私ひとりだったら絶対に住まない様な家に住もうとしてた。危ない、危ない。それは折り合いじゃなくて、我慢だ。危うくまたやっちゃうとこだった。

「あの家、すごくない?」「お風呂、お洒落だね。」「そうなんだよー!あの家リフォームした人洒落てるよね。」古い家だけど、所々に洒落っ気が散りばめられてる。部屋の数はちょっと多すぎるけれど、キャッチボール出来そうなくらい広い庭がいい。木々が緑緑しくて、こういう庭の家に住みたかった。だけど、ペットについては申し込み後に交渉なのだそう。なんか面倒。そんな話の流れで、幾つか他の物件も内見へ行こうとなった。「そういえばあの階段が可愛い家にも行こう。」周ちゃんが何度も推していた家があった。駅から徒歩26分。それだけで、恐怖!と思って選択肢から外していた物件。条件を細かく見ると結構いい。夢の100平米。そして、全部屋南向き。家の場所をgooglemapで探してみると、緑がいっぱいの場所で何だかトトロが出てきそう!後ろに森、横に畑。通りにも緑が沢山ある。めいとさつきが歩いていそう。「周ちゃん!ここトトロみたいだね。すっごく素敵。ここがいい!」「そうだよ!!牛沼っていう土地はトトロにも出てくる。トトロの舞台となっている場所なんだよ。」周ちゃんから猫バスの絵が送られてきた。猫バスの額には牛沼と書かれてる。ほんとだ。「ここ、参道だね。」「え?」「古くからある大きな神社があるんだけど、この家は参道にある。」「えー!!」参道に住めるんだ。それに、引っ越すならこれくらいの田舎がいい。「周ちゃんここにしよう!!」家探しをして初めて胸が高鳴ってる。私の第一条件、今の家より素敵な事はこれで完全にパス。周ちゃんの条件で半ば諦めていた川の近くである事もすんなりとパスした。家から歩いてすぐの所にトトロに出てきそうな川がある。春になると桜並木になるのだそう。

「周ちゃん。今度、トトロ一緒に見ようよ!」