
昨日の夕方、三茶で魚屋に寄ったついでにチューリップを2本買って帰った。「こないだ古物市で買った花瓶、難しいんだよね。」「たしかに難しそうだね。あの花瓶自体がチューリップみたいだもんね。」周ちゃんが言った。一昨日に白のチューリップを3本買って活けてみたけど何だか変。う〜ん。あと2本くらい加えたら可愛くなるかな。夜見た時は何だかしっくりこなかったけど、朝になったらいい感じだった。うん。素敵。
今日は所沢へ内見に行く。せっかく所沢まで行くのだし、色々物件見たいねって話ていたけど条件に合う物件がひとつしか無かった。週末に何か見つかるかな。たぶん。所沢に向かう電車で周ちゃんが呑気に「多摩湖でも見に行こうよ。」と言った。行かないって思った。たぶん朝に私がGoogle Mapでたまたま多摩湖を見て大騒ぎしたからだろう。風も強いし、さくっと家を見定めて帰宅したい。私達の条件は段々と固まってきたから話は早い。正確には私の条件。周ちゃん曰く生活を大切にしてみたいからよしみの意向に添いたいのだそう。私の条件、ただの我儘じゃないかな。一軒家、広いキッチン、庭、朝陽の入るベッドルーム、それぞれが南向きの書斎、ウォシュレット、光の入るバスルーム、外見が可愛、駐車場付、自然が近くにある、最寄り駅は大きな駅。そしてペット可。そんな物件どこに?だけど、私の言い分は割と正当だと思う点もある。だってせっかく引っ越すのに好きじゃない場所でなんて暮らしたくない。それに、周ちゃんは大好きだけど、あなたとなら何処でも生きていけるみたいな女にはもうなりたくない。私の好きを私の人生から失いたくない。
内見した家の近くにはヨーロッパのどこかみたいな風景の多摩湖がある。ここは昭和の時代に軽井沢みたいな避暑地にしようとしたのだとか。不動産の方が案内してくれた車の中でも聞いた。「高級住宅街だった名残がこの辺りにはあります。」住宅街のちょっと入ったところ。外観、白くて可愛。吹き抜け良し。リビング広い。システムキッチン良し。風呂暗くて悲しい。部屋は全部明るい。二階の角部屋は最高に可愛。内窓と出窓がバッチシ。昭和モダンな雰囲気が最高に好み。不動産に戻って見積書を頂いて店を出た。遅い朝ごはんからもう5時間は経ってる。さっきからずっと周ちゃんとお腹空いたねって目で話してる。不動産を出て、斜め向かいにあった餃子の王将に駆け込んだ。私は餃子ライスとビールを、周ちゃんはあんかけラーメンと餃子のセットを頼んだ。「とりあえず食べよう!」周ちゃんが言った。お皿の中を綺麗に完食して店を出て不動産で申込書を書いて帰宅した。全部があっという間だった。
結局話し合いは殆どしてない。私なんてビールを意気よい良く呑んじゃってレモンサワーまで頼んだからほろ酔い。そう、キュレーター仲間の高橋くん家も近かった。余りに偶然でちょっと怖いくらい。周ちゃんはそんな偶然も嬉しかったんだろうな。明日から月曜日だから今日はそれぞれの家に帰る事にした。帰宅してご飯にキムチをのせたものと朝の残りのほうれん草の味噌汁を温めて食べてお風呂に入って直ぐに寝ベッドへ。周ちゃんも疲れて早くに寝たのだそう。婚約から結婚、そして引っ越し。とにかく忙しかった。何だかほっとしてる。
行きの電車、あっという間に周ちゃんの肩で寝落ちしてた。気持ちよかった。すごく気持ちよかった。ただ触れてるだけで全身や色々がそこに上手に落ちていくのがわかった。段々とだけど私は梃子みたいに周ちゃんになついてきてる。一度失った背中がある。もうそんなものは私には必要ないと思ったけど同じ様にまた温もりを感じてる。もう二度と失いたくないと恐れちゃいけないんだ、またいつか失くなる日が来るのだから大切にしなきゃと毎日毎日ひつこく言い聞かせよう。大切にしたい。すごく。