スクランブルエッグ

朝食 27.2,2022

「スクランブルエッグ作るよ。」料理が私だけのものじゃなくなる日がくるなんて想像もしてなかった。朝陽の中で周ちゃんがキッチンに立ってる。男の人がキッチンに立つ姿って素敵だな。

「卵は何個?」「3個。」「わかった。」梃子が周ちゃんの足元に座ってる。美味しそうな匂いでもするのかな。私は昨日失敗したカレーの話を打ち明けて、豆乳で割ってスープにする事にした。何だかいい感じのスープが出来た。今日は新しい家の家具を見に行く。嬉しいな。

もう東京を出るまでは引っ越さない。たったの一年前に誓ったこと。東京は出るけど案外簡単に引っ越しを決めた。私は人生で何台ベッドを買ったんだろう。想像するだけでゾッとする。幸いこの家に越してきた時に買ったベッドは新しい家に持って行く事に決めた。後、ソファーも。恵比寿にあるパシフィックファニチャーで買った2シータのソファー。27万くらい。購入したのは8月の暑い日だった。毎日がくたくたで、姉にソファーを買った事を報告して、姉からは”いいじゃん”ってメールが返ってきた。あの頃の姉はいつもなんでも喜んで褒めてくれた。届いたのは11月。まもなく離婚した。どんな生活が待っているのか誰も知らない空白の時間に作られたソファー。今でも何だか宙に浮いてるような気がしていたし、新しい家には入らなそうだったから手放そうかなと考えていたけど持って行く事にした。周ちゃんはソファーが好きみたいだった。正確にはソファーとゆう場所に周ちゃんを囲んで暖を取るように私や梃子が集まるのが好きみたいだった。周ちゃんがソファーでする嬉しそうな顔だとか、そうゆう場所を大切にしたいってゆう気持ちが素敵だなと思う。「とりあえずソファーは持って行こう。」周ちゃんに言った。

誰かと住むっていうのは、こうして自分の意思が働かないものがどんどん家の中に点在していく。だけど、意外と心地よかったり、愛らしい日々を奏でてくれたりする。これは悲しいことだなんてもう思わないけれど、いつか失くなるものをまた私は作ろうとしてる。