3月16日

Journal 16.3,2022

朝からスタジオ撮影。疲れた。顔馴染みのメンバーだけど、疲れた。集中力が途切れるのと同時に自分の中の何かが磨耗していくのがわかる。時間より少し押して撮影が終わると編集の成田さんからの電話。恵比寿駅の前で数分立ち話をした。胃がキリキリする。一昨日くらいから忙しなさが背中に触れてくる度に痛みが増してゆく。嫌だなって思いながら話を続けた。

帰宅してソファーに倒れこむ。ああ、あっという間に今日も終わった。家具のやりとりも、家の契約のやりとりも、納品や仕事のメールも返さなきゃ。頭がぐるぐるとしている中で梃子を抱きしめとりあえず抱擁。「遅くなってゴメンね。散歩へ行こうね。」朝が早かったので今日の散歩は夕方。町内を小さく回って帰宅。夕方、成田さんと話した電話のことを所々思い返しては少し悲しくなる。メールをしようか迷ったけどやめた。

こないだ周ちゃんが寝る前にベッドで話てたことが今でも気になってる。「従兄弟の大学生が大学に行きたくないって、それで部屋に閉じこもってるみたいで。友達が嫌なんだそう。死にたいみたいなことも言ってるみたい。うちの親が色々と相談を受けてるみたいなんだけどさ、世界はもっともっと広いんだよ!って言ってあげたいんだよ。そんなに苦しむことはないよって。俺も大変な時期があったけれど、世界に出たら違かった。それを知って欲しいよ!!」真っ直ぐに私の目を見て語る周ちゃん。言ってる事はよくわかる。だけど、多分、それはもう苦しく無い人が言う言葉な気がする。

誰もが手がつけられないような苦しみってある。未来なんて事は考えられないくらいの地獄へどんどんと堕ちていく。今が苦しすぎて、痛すぎて、自分が持ってる力の全てがそれを救済するために使っているから心はずっと忙しくて、誰も知らない未来のこと、言うなら架空のファンタジーかもしれない何かを信じて大丈夫だなんて気分に浸れる余裕なんて無いくらいに苦しい。その強烈な今の痛みは本人にしかわからないし、その痛みの行く末だって誰にもわからない。人は幸せになるように出来てると信じてるけれど、そうじゃなくなる場合もある。だから、やっぱり今の話がいい。誰かの苦しみを知ることは難しいけど、ただ寄り添って信じてあげるとか、側にいて背中をさすってあげるみたいに、未来の話をするより手の温もりを衰弱していく身体を一瞬でも温めてあげた方がずっと今を幸せに出来るんじゃ無いかな。今の続きが未来なのだから。

心療内科に通ってた時に先生に言われた言葉を疲労が溜まってイライラした時なんかに時々思い出す。今日もちょっと思い出した。「心の水が枯渇してるんですよ。」過度なストレスがかさんでいくと、心の潤いがどんどん失っていく。そりゃ、それだけのストレスがかかっているのだから仕方ないことなのだそう。それで底にある岩が露わになっているようなもので、普段なら我慢できないような事もちょっとした事で何かが岩に当たる度に敏感に反応してしまう。苛々したり泣いたり怒ったり。それは別になんてことはなくて、そうゆうこと。枯渇してるだけ。

苦しいのは嫌だけど、苦しむことは悪く無いんじゃないかな。ああ、今日も果てしなく疲れた。朋子ちゃんがくれたお花が綺麗。ただとにかく綺麗。