焼き筍

夕飯 13.4,2022

朝は少し寝坊した。本当は4時半に起きて仕事をしようと思ってたけど、起きたのは6時過ぎ。少し書斎で片付けごとをしてまたベッドへ戻った。寝起きの周ちゃんとセックスをしてまた普通の私達の朝がやってきた。今日も暑そうだな。ベッドルームや吹き抜けの階段が光で充満してる。一昨日に買ったコッペパンで卵サンドを作って、お茶をポットに入れて周ちゃんと梃子の散歩へ出た。

何であんな事で喧嘩みたいになっちゃったのかわからないけれど、私の言うそれと、周ちゃんの言うそれは交れなかった。だってさ、絶対に。なんて当たり前のような話をしても、それは私だけの世界の見方であって、それが100%正しかったとしても、それは私にとって正しいとしていること。ほんの小さな事でも一瞬で大きな溝なのか壁なのかが私達に果てしなく遠いいような距離を作った。かける言葉ひとつひとつが胡散臭く聞こえてしまったり、どうしたらまた元に戻れるのか途方に暮れていたけど、もしかしたら周ちゃんもそうだったのかもしれない。昨晩の夜中に周ちゃんの背中を見てすごく寂しくなった。少し意地を張っている自分がいそうな気もしていたし、そんなプライドは誰のためにもならないことくらいわかってた。

裏山で気に入っている場所がある。そこは森の中に木のテーブルと椅子があって、小さな広場のようになってる。そこに腰掛けて朝食を始めた。ウグイスだとか鳥の声が気持ちがいい。そのうちに梃子と周ちゃん、私も追いかけっこをして、散々走って、家路に着いた。

“筍、買っていくね。” 仕事に出た周ちゃんから写真と一緒にメールが送られてきた。ミュージアムの近くの畑で採れたのだそう。じゃあ、今日は春キャベツの春巻きにしようかな。19時前、床屋に寄って髪がさっぱりした周ちゃんが帰ってきた。手には菜の花を持ってる。「おみやげだよ。」「どうしたの?」「拾ってきたよ。」そのまま、本棚の隣にある黒い花瓶に花をさして二階に上がった。菜の花、綺麗だな。周ちゃんって可愛いな。筍を切って糠でアク抜きを始めた。「周ちゃん、筍はどうやって食べる?」「刺身もいいし、焼きもいいよね。」

夕飯は春キャベツの春巻き、蕪のサラダ、豚の角煮、葱とワカメの味噌汁、納豆、ご飯。筍は焼き筍にして食べた。周ちゃんが春巻きを美味しい美味しいって何度も言ってた。こっちに引っ越してきて変わった事の一つに、近所で採れる野菜がとにかく美味しい。そして私達はきっと仲直りをした。