赤魚の干物

Journal 25.4,2022

目覚ましと同時くらいに起きたと思う。スッキリと目覚めた。静かにゆっくりと起き上がってみると、腰がすっとベッドから離れた。あ、大分良くなってる。恐る恐る階段を降りて支度を始める。ちょっとまだ痛いけれど、昨日よりはずっといい。窓から登り始めた陽がうっすらとピンクオレンジに廊下を染めている。今日は天気が良さそうだな。

それから30分くらいして周ちゃんが梃子と一緒に起きてたきた。「おはよう。まだ5時だよ。大丈夫?」「うん。パンと卵でいい?」「うん。ありがとう。」周ちゃんのトーストは今日もたっぷりのマーガリンが塗ってある。スクランブルエッグもいつものとおり甘くて美味しい。たっぷり塗るのはバターで、マーガリンは少しでいいんだけどなといつも思うけれど、いつも言わない。私がパリで覚えたパンの食べ方ではバターは食べるものだと教えたから。バターとマーガリンは周ちゃんの中では同じみたいだった。

「遅くなってすみません。」「いえいえ、道路混んでましたから。それに8時に着きたかったからピッタリですよ!」新宿から乗ったタクシー。メーター横にある時計を見たドライバーさんと目を見合わせて笑いあった。時計は8時00分。家を出たのは6時。前だったら考えられないような移動時間。だけど、田舎暮らしの不便にも段々と慣れてきた。世田谷の空は青々しくて綺麗。陽が強くなりそうだな。幸先がいい。とりあえず無事到着したからきっと何とかなる。午前は殆ど屋外での撮影。帽子、持って来れば良かった。クラクラしてくる。腰の事を朝に相談しておいたので、編集の本郷さんも野崎さんも気を使ってくれた。腰のことを考えて、とにかく調子に乗らないようにと途中途中で言い聞かせた。撮影は順調に進んで、さっと片付けてタクシーに乗った。特急列車にたまたま乗れてあっという間に駅に到着。予定よりも1時間早く帰ってきた。なんだか今日は面白いくらい移動がスムーズ。駅ビルで赤魚の干物とホタルイカの刺身を買ってタクシーに乗った。腰の様子は思いの外順調。どうしちゃったんだろう。帰れなくなったらどうしよう。そんな心配までしてたのに。夕飯は周ちゃんが買っておいてくれたインドなんとかっていうIPAのビールを飲んだ。本郷さんが帰り際に「よしみさん忘れ物!」とスタジオの外まで走って持ってきてくれたお土産のビールは明日の楽しみにした。本当はこっちが飲みたい気分だった。だけど周ちゃんが体調が悪いみたいで元気が無かったからそうした。「なにか嫌なことがあった?」何度か聞いたけど、お腹と頭が痛いのだそう。何でもないといい。