手巻き寿司

夕飯 19.5,2022

今日は周ちゃんの誕生日。朝は久しぶりに山へ行った。ここ数日の晴れでぬかっていた足場も良くなって、緑もまたぐんと伸びた。午前は青山の美容院へ行って、そのあとに渋谷に新しく出来たショータさんのお店、麻婆豆腐のかかんでみんなでランチ。久しぶりのフジモン、瞳ちゃん、じゅりえちゃん。フジモンにはなんだかんだとずっと会えてなくて、年賀状に “話したいことがあるよ!”と書いたけれど、ようやく報告出来た。「よしみさんどうやって結婚したんですか?」じゅりえちゃんが言った。「2回目のデートで付き合って、それから3日後に結婚して欲しいとなって、それで、まだまだ離婚へのトラウマがあったし、結婚とかよくわからなかったんだけど、2週間後くらいにたまたま大好きなNYのジュエリーデザイナーのポップアップをしてて、それでマリッジリングをオーダーしたの。それから親にあったりして3ヶ月くらいで籍を入れたよ。」「えー?!」「けど、色々な話、二人の話だけじゃなくて、人生とか結婚とか、結婚制度とか、本当に色々な話をしたのだけど、私はこう生きたいとか。色々な話を沢山したんだよ。」簡単に端折って話したけど、あの時のスピードはどうにもこうにも誰にも上手く話せない。想いとか願いだけが毎日を勝手に突き動かして行った。もう傷つきたくない、だから幸せになろう。それだけ。結婚したいとか、この人を手に入れたいみたいな気持ちは一切無かった。

新しいお店はヨーロッパにあるオシャレなチャイニーズレストランを連想させるお店で、東京にはあまりない感じのセンスがいい内装だった。フジモンもショータさんも独特のセンスがある。二人が夫婦になった理由は、二人と別々にいてもわかる。人はたまたまに出会うんじゃなくて、選んで出会ってる。それは惹かれ合う理由の一つと言っても過言じゃないと思う。だって、同じ世界を見るために似たレンズを持っていた方が楽しいから。人間って楽しいことが楽しむことが好きな生き物だから。二人が似ているのは独特のセンスと誰にでもオープンなマインド。それはとても広域にわたるものだから、他の友人を探しても二人にとても共通してるもの。フジモンが結婚のお祝いにスープカップをくれて、ショータさんは帰りに麻婆豆腐をくれた。二人らしい軽やかな愛情。ショータさんと仕事の話をするといつも周りがちゃんと楽しめてるかっていう話になるし、フジモンは何てことのない日に小さなプレゼントをくれる。二人は夫婦だけど、私にとっては別々の人で、だけど似てる。同じ家から来たんじゃなくて、同じ家に帰ることがわかる。

「誕生日は何が食べたい?」付き合った当初に周ちゃんに聞いたのは昨年の11月。半年後の今日が本当に訪れるのかも知らなかったのに、当たり前のように手巻き寿司を食べてる。帰りに新宿の高野フルーツパーラーで買った苺のケーキの上に綺麗に5本のローソクを並べて、当たり前のように、まるでシナリオをなぞるようにふっと一息で周ちゃんが消した。41歳の抱負を聞くと感慨深く答えていたけれど、殆どがあまり聞こえてこなかった。古市で買った赤い花瓶にピンク色の薔薇が煌々と光に照らされてる。ただただ、やっぱり当たり前のような顔して照らされてる。夕方帰宅すると玄関に大きな花束。宛名は周ちゃんのお母さん。「今日は周ちゃんが活けたら。」「大丈夫?変になるかもよ。」「いいよ。好きなように活けて。」大きな花束は大小さまざまな形の花瓶に少しずつ活けられていく。帰宅したばかりで白いシャツにパンツ一丁の周ちゃんが一生懸命に活けてる。どれも少し長すぎる背丈で花瓶からニョキっと突き出していて、それはすごく不格好で愛らしくて可笑しかった。家のあちこちに置かれた花は明日からまた当たり前のように咲き続けて、そして終わるんだと思うとすごく何だか幸せだなと思った。