
朝から雨。午後はスノーショベリングの中村さんにちょっとタトゥーの取材したい子がいるんだけど、よしみちゃんいい?って紹介を受けた子に会う筈だったけれど、中村さんが午後から地方へ行くらしくてリスケとなった。夕方からはナナと渋谷で待ち合わせしてる。2年ぶりのナナ。午後過ぎまで仕事をして電車で向かった。途中、池袋の花屋で紫陽花の花束を買った。ナナみたいな色の花。
お店には少しだけ遅れて着いて、ナナはやっぱり先に着いてた。生ビールと鯛の刺身とホタルイカの沖漬けを頼んで、まず離婚をした事を簡単に話した。「うん。別れた方がいいって思ってたし、言おうと思ってたよ。」「え?そうなの?!」「うん。だって暴力とか良くないじゃん。」「え?私そんな事言ってた??」「うん。少しだけど言ってた。」「へぇー。」なんか他人事みたいに聞こえたけど、心配してくれてた事がすごく嬉しかった。それから、ナナが彼女と養子縁組で結婚する話を詳しくきいた。あとは犬の話とか、ナナの作品の話とか。ナナはナナだったけれど、ナナじゃないみたいに、犬の真似をして戯けたり、彼女の話を嬉しそうにしたり、左手薬指にあるシルバーの指輪がなんだかすごく、なんだかとても幸せな気分にしてくれた。こんなに笑う子だったっけ。
それから、ナナの彼女は壮絶な過去の出来事があって、心の病があることも聞いた。「そういうとこ、行った?」「うん。」ナナは私の足らない言葉を汲み取るが上手くて、周ちゃんに似てる。人が何を言おうとしているのか、言葉だけじゃなくて感覚的に直ぐに相手の言葉を見つけてくる。「コントロールできてるうちは大丈夫だと思う。ナナの問題ではないのだけど、傷ついちゃうよね。少しずつ、少しずつだよ。」「うん。後から彼女は謝ってくるよ。」「うん。えらいね。二人で話し合う時間を毎月大事にしてるなら、少しずつ。」「うん。だけど、毎月が怖いよ。」「うん。そうだよね。だけど、そんなに苦しい事過去があったのに、少しずつ前に進んでいるのはすごいことだよ。」PMSや低気圧でホルモンバランスが崩れると病気が発症するらしい。だけど、いつ、どんな状況で悪魔がやってくるのかがわかってれば、それは悪魔だってわかる。彼女の全てじゃない。本人が前を向いているならば、隣で一緒に前を見れるのならば、辛抱してみるのもいいと思う。今のナナならきっと、あの子と別れたナナなら大丈夫。もう全てを背負うのをやめて、彼女に出会って結婚を決めたナナだから。
今日のナナはすごく無邪気だった。年下なのに大人みたいなナナじゃない。今度、家へ遊びに行くねって約束して渋谷駅で別れたと思う。ナナの彼女に会いたいし、周ちゃんの事も紹介したい。酷く飲みすぎて、帰宅したのは夜中。どうやって帰ったのか覚えてないけど、酷い吐き気だけが今も残ってる。周ちゃんは夜中の間ずっと「大丈夫?」を繰り返して、リビングで蹲る私は「大丈夫だから、ごめんね。」を何度も何度も返した。私もナナと同じだ。背負うのをやめたら、頑張るのをやめたら、周ちゃんに出逢った。多分呑みすぎたのは、新しいナナの笑顔をずっと見てたかったから。周ちゃんごめんね。