6月22日

Journal 22.6,2022

3時半に起床。歳をとるたびに心の棘が私の眠りを妨げるようになっていくように思う。大したことじゃないのになと頭ではわかってるけど、今日もそう。白湯を入れてもう一度ベッドへ横たわった。目をつぶってるだけでもきっといい。それに、今夜は世田谷の家の近所の友人とご飯の約束をしてる。夜は私をしっかりと癒してくれることはもうわかってる。

撮影が終わったのは早い夕方。予定よりもずっと早く終わった。外苑前のホテルに戻ってバスタブに湯を張っている間、ポテトチップスの封を開けてビールを一気に飲んだ。待ち合わせよりも少し早くホテルを出てZARAへ寄ってからレストランへ向かった。表参道。この道を歩くのに何かを感じたことなんて一度も無かったのに、子供の頃も、大人になる途中も、大人になってからも、ただの通りだったのに、ここは表参道なんだって。2日目の東京の夜、いつか東京へ帰りたいと心のどこかで感じていた気持ちはもう殆どないみたいだった。ここは、東京は、これ以上は私を満たしてくれなそう。楽だけど、稼いで買って、稼いで食べてのサイクルをぐるぐると回るだけの東京にはずっと昔に飽き飽きしてたんだった。東京が気に食わないのはいつだって浮ついてるから。どうしてそんなにみんなが騒いでるのか全くわからなかったから。私の心は全然弾んでなくて寂しかったから。東京は寂しくないけど、寂しかった気もする。

店の少し前でいまむと合流。いつもの通りでいまむは全身真っ黒の服。店に入るとしみるさんはビールを、たまちゃんは何味がわからないというビビッドなピンク色の酵素ジュースを飲んでいた。私といまむはワインをオーダー。この4人で囲む食卓は久しぶり。正月以来かな。お皿に盛られた美しい料理は少し塩気が多くて、話す度にワインで流し込んだ。薄暗い店内をローソクが灯す夜はそこにある全てが綺麗に輪郭をなしていくみたい。たまちゃんは来月で妊娠8ヶ月になる。ずっと気持ち悪いと笑ってたけど、たまちゃんの笑顔を久しぶりに見た気がする。時間はあっという間だ。春はいつしか終わってもう夏がくるんだった。そして秋が来る頃にふたりの赤ちゃんが産まれる。いまむはみどり荘でやった個展のあとからずっと元気がないと言ってた。もう4ヶ月も経つのに、私が引っ越してからも4ヶ月。それぞれの時間がそれぞれでそれぞれだ。帰り道の表参道。コロナの前みたいに沢山の人がいて、通りにあるブランドのショップでパーティをしているのか、アップテンポの大きな音がいつかの東京のようだった。