2泊3日の出張。キックオフミーティングと土地のリサーチを兼ねて。周ちゃんと梃子、家族を連れての仕事旅行。結局、私は免許が予定通り取れなくて、周ちゃんが運転をしてくれた。なんだかすごく穏やかな3日間で、穏やかすぎて私は何かを勘違いしてしまいそうなくらいだった。そうして、私はまた一気に怖がりに戻った。ひとりの時は強くなれるのに、誰かがいると思うと気を抜いてしまうらしい。怖いことを怖いと声にだしたら怖くなるし、嫌なことを嫌だと言ったらもうしたくなくなる。周ちゃんは私のことを自立してると言うけど、全くだ。十分過ぎるくらいに周ちゃんに甘えているし、甘えてばかりいる私にもういい加減にしてよと思う。
打ち合わせに5分くらい遅れて会議室に入ると、丁度なっちゃんが自己紹介をしている時だった。2年ぶりのなっちゃん。最後に会ったときは私はきくちよしみという名前で、そういう人をやってた。だけど、なっちゃんはやっぱりなっちゃんで、大勢の前で話すなっちゃんはなっちゃんだった。ゆっくりと探るように声を出す話し方や、すらっとして背が高くて線が細い感じとか、柔らかそうだけど芯のある感じや、一気になっちゃんの輪郭がしっかりと見えてくるようだった。打ち合わせが終わり、なっちゃんはそのまま次の打ち合わせに入って、私は周ちゃんと近くの店でランチをしながら待って合流。それから、新しく出来たGood newsとか、タミゼに行った。「よしみちゃん〜。元気そうで良かったよ。」「なっちゃんのお陰だよ。あの時、私の周りには離婚した人がいなかったから。すごく勇気を貰ったんだよ。」周ちゃんとなっちゃんはアート関連の仕事で共通の色々があるみたいで話が盛り上がってた。それから、あの時はそんな話を聞かなかったけど、なっちゃんが東京と田舎の2拠点暮らしをしていたことや、超東京のど真ん中に住んでるのに、自然が無いと生きていけないとか、車が好きだから時々一人でドライブしてるとか、知らないなっちゃんの話を沢山聞いた。
「よしみとなっちゃんて中学の同級生だったみたいだね。昔からの友達みたいって思ったよ。」「え。違うよ。大人になってからだし、なっちゃんは友達の紹介で出会ってさ。そもそも、その友達も、しみるさんの同僚だし。だけど、なっちゃんって素敵だよね。所謂、東京の綺麗なお姉さんなのに、仕事も立派だし。なのにというか、あの独特な空気感。」「そうだね。バランス感が絶妙だよね。」「そう。色々な意味ですごくフラットなんだよね。」
新しい仕事のメンバーで偶然また再開したなっちゃん。次の打ち合わせの時は、車で温泉を巡ろうねって話をした。思い出の中にいたなっちゃんも好きだったけれど、ずっとずっとまたなっちゃんが好きになった。