カレー

カレー 01.9,2022

今日も朝から体調がいい。午後、書道家に転身した山田さんが遊びに来た。3週間後にパリで展示があるらしく、パリのまゆみちゃんの事をLINEのビデオ通話で紹介した。「ハロ〜ちゃみちゃん。」「ちゃみ〜!」半年とか1年ぶりのまゆみちゃんはすっかりパリの女。小花柄の黒いワンピースに眉毛よりずっと短い前髪。ビデオに映る白い壁の部屋はヨーロッパそのもので、いつもの様に子供っぽく笑うまゆみちゃんじゃないし、簡単に結いた髪もその首元もやっぱりパリ。文通で色々は聞いてるけど、私が知っているよりもずっと素敵な恋をしてるんだろう。山田さん交えて色々な話をした。それから、私達の愛称が互いにちゃみだって事も後に付け加えて説明した。ややこしい話だけど、愛称でもあり、lovelyとかHi!!みたいな挨拶にも使う。何かに由来してる訳でもないし、全く謎めいた言葉だけど、ここ何年も二人とも気に入っているし、やめる気もない。「へぇ。面白いですねぇ。」真面目な顔をして山田さんが言った。

山田さんは一緒に仕事をしていた時とは別人みたい。昔、大学生バイトでIDEEで働いてた時に10くらい年が離れた白井ちゃんの事を思い出した。いつも声が小さくて、「ねぇ、よしみ。どうしよう。もう嫌だ〜。」って仕事中に半べそかいてたのに、バイトをやめて数カ月後にパリで会った時はまるで別人だった。「白井ちゃん、なんだか人が変わったみたいだね!」「私ね、なんでだか、パリにいると生き生きするの。」パリのあちこちのチーズ屋さんに連れていってくれて、流暢に楽しそうに話すフランス語。見てるこっちまでわくわくした。そして、二十歳そこそこの私にチーズとバターというのはただの添え物ではなくて、メインディッシュになることも教えてくれた。

パリのまゆみちゃんとバイバイして、夕立が終わり夜になった所で山田さんも帰宅。時間は18時過ぎ。急いで夕飯の支度を始めた。山田さんのお母さんが育てたとゆうジャガイモを貰ったので昼に火にかけておいたチキンスープに入れてカレーを作って、ゴーヤのサラダ、茹でておいたビーツをスライスしてビネガーをかけた。

「今日ね、山田さんってゆうお姉さんが来たんだけど、書道家に転身してさ。」「へぇ。下の名前は?」「山田しおりさん。」「これ?」携帯でささっと検索して画面を見せてくれた。「素敵だねぇ。」周ちゃんは学芸員だからか、山田さんの作品にとても関心を持ってるようだった。「家に一枚欲しいね。」「そうだね。すごくいいね。」「ヨーロッパでうける理由がわかるよね。」「うん。炭の濃淡がいい。」山田さんはこのままヨーロッパでの活動が盛んになって、白井ちゃんや、まゆみちゃんみたいにパリに行ってしまう気がした。そしたら、まゆみちゃんに会いに行くときに山田さんにも会って、三人でお洒落なレストランでワインでも飲みたいなと思った。