
遅く起きてきた周ちゃんに「紅茶のむ?」って聞いたら、「ねぇ。これ見て。」携帯の画面にあるグーグルカレンダーを指した。”何もしない日” って書いてある。書いたのは私。食べるも寝るも別、と加えてある。周ちゃんはやっぱり結婚がしたかったんだと思う。初めての結婚である周ちゃんに、私に構わないでとか、別々でいたいとか、そんな事を望む私の方が我儘だ。きっとお揃いのパジャマを着て、熱々のパンケーキの上を溶けるバターをカフェオレと一緒に流し込みながら朝を迎え、昼はぶらぶら買い物したり食事したりと手を繋いでデートをして、夜は部屋で映画なんかを見たいんだと思う。「今、紅茶を淹れてたから、いるかなと思って。」「うん。じゃあ、いる。」周ちゃんが一昨日に買ってきてくれたケーキを紅茶と一緒に食べた。
昨日は松陰神社に住んでた時に通っていた梃子の病院へ行った。セカンドオピニオンの為。前の家の直ぐそばにあるカンノンコーヒーで珈琲とスコーンとチョコクッキーを買い、角の寿司屋でお稲荷さんを、インド人の肉屋でサモサを買った。そしてThisという雑貨屋をぐるりと見て、下北沢の発酵デパートメントへ向かった。よく買っていた五味醤油さんの甲州味噌と醤油と変わったバルサミコ酢を買った。まるで半年前の生活みたい。
運転はずっと私。初めて東京まで運転したけど思っていたより怖くなかった。それに、道も街も、知っている場所を通るのはなんだか嬉しかった。「あ、あのローソンの上に二十歳くらいに好きだった子が住んでたよ。」環七の信号を止まった時に丁度そんな場所だった。「ここを曲がるとミッチャン家。」「そこを曲がるとこないだうちに遊びに来てくれた子の家だよ。」世田谷、大好きな街。私だけすっぽりとどこかへいなくなってしまったけれど、ここは今も変わらない。
今日はキッチンの大掃除をして、昨日の夕方に買った葉牡丹を鉢に植え替えた。なんだか昨日の世田谷はすごく楽しかった。だけど、私の家はここ。ここを離れる時は淋しいと思うくらいに素敵な場所にできたらいい。