
朝からゆっくりと過ごした。ここ数日、梃子の看病でずっと一緒にいる気がする。合間を見て互いに仕事へ出かけたり、デスクに向かったりはしたけれど、殆んどが一緒だ。小さな灯火をずっと守り続けてるみたいにそっと寄り添ってる。梃子は昨晩からまた少し元気になった。多分、傷口が塞がって痛みも弱くなってきたんだろう。明朝にまた病院なので少しホッとしてる。
午後は2ヶ月ぶりに家族会議をした。結婚記念に写真をいつ撮るか、お墓参りのこと、それから、先日にうちの母が言ってた、二人の目標を作りなさいって話。「家はどうするの?」「どうするって、なにが?欲しいなんて思ったことはないよ。嫌だよ、同じ場所にずっと住むなんて。」「けど、資産にだってなるし。」「ママ、今の時代何が起こるかわからないでしょ。そもそも家なんて欲しくないんだから。」母は季節に一度は何かのCMかのように家を買った方がいいと言い出す。だけど、私にきっぱりと断られるのもいつものオチだ。結局、家を買わなくても、結婚して二人の目標みたいなものを持った方がいいと話は変わった。「お母さんが言ってた目標の話、考えてみようか。それいいなと思って。」周ちゃんが言った。「短期、中期、長期。それから40代、50代、60代で設定してみない?」「それ、なんとか本みたいだね。」私が笑って言うと、周ちゃんが言った。「自己啓発ね。」
じゃあメモ程度にノートに書いてみるね。私が自分が考えてる事を書き始めて、周ちゃんのも聞きながら書いた。面白いものだなと思う。周ちゃんが望むものと、私が望むものはやっぱり違う。ふたりの目標であっても、私達それぞれが異なるように、しっかりと異なってる。例えば、私は海が好きだから泳いでいきたい、だけど周ちゃんは本を読みながら向かいたいから船に乗っていきたい。みたいに。けど、目指す島は同じ。そこでしたい事も同じ。
それに、周ちゃんは子供がいるパターンと、子供がいないパターンとで分けて考えていたのも新鮮だった。逆に私は全くボーダーラインを引かなかった。前の私ならしっかりと引いていたと思う。それよりも、子供が出来たらサポートして欲しいとお願いした。私がやりたい事を諦めるという選択肢はし無かった。それから、来年の事も少しだけ話した。先ずは新婚旅行がしたい。周ちゃんは「北欧もいいな。」と言ってたけど、流石に2度目の新婚旅行も北欧だなんて酷すぎる。「アイスランドいいよ。すっごくいい。けど、砂漠で結婚写真を撮るのもよくない?」こういう時の私って天才って思う。さっと次の展開に持っていける。周ちゃんはニンマリ、きっと頭の中でモロッコを想像して嬉しそうにしていた。「モロッコ。サハラ砂漠。スーク。ベルベル人。タジン鍋も買いたいよね!砂漠で写真、いいでしょ、めっちゃよくない?」「うん。いいね!」
夕飯は周ちゃんが作ってくれた。自然薯のすりおろしたもの、鮭のちゃんちゃん焼き、納豆、昨日のサラダ、ご飯。ちゃんちゃん焼きは料理家の角田さんのレシピ。私が作ろうと本に付箋をしていたのを作ってくれた。周ちゃんは少し汁気が足らなくなったと言ってたけど、十分に美味しかった。それに、最近時々作ってくれる生姜の味噌汁。これはもう周ちゃんの18番と言ってもいい。今日も最高だった。