パンケーキ

朝食 26.1,2023


男の人は褒めるとずっと同じことを繰り返す生き物だと思う。周ちゃんが作るパンケーキはいつしか朝食のスタメンになった。とても有難い話だけど、気分屋の私にとってルーティンほど怖いものはない。こんなにパンケーキミックスを買ったのは人生で初めてだと思う。これから味でも色でもなんでもいいから変化してくれることを願うしかない。とりあえず今日も焼き加減は最高だった。ふたりで暮らすのは楽しい事も沢山あるけど、自由がきかないことも増えていく。出来るだけ互いが互いに編み込まれてしまわないようにしたいのだけど、日々の暮らしは思ってる以上にスムーズに浸透していく。結婚当初から口を酸っぱくして言っていた結婚のルール。今じゃ殆どが何処かへ行ってしまった。

ここ数日、料理家の角田さんとメールでやりとりしてる。前にゲイの友人と文通のようなメールをしていた事を思い出した。言葉だけど言葉じゃないような感じのやりとり。角田さんは、とても忙しい方だと思うし、遊び半分のような事は言ってはいけないと丁寧によく考えながらメールを返答してる。数日前のこと、私が前に撮った映像をどうやら気に入ってくれたらしく、角田さんの心を強く動かしたみたいなことが書いてあった。本当は飛び上がってしまうくらいに嬉しかったけど、あまり調子に乗らないようにと言い聞かせた。けど、やっぱり嬉しい。

角田さんは料理家だけど、アーティストみたいな感じだったり、経営者のようだったり、とても不思議な方だ。周ちゃんはうちの姉に似てると言ってた。「どこが?全然似てないよ。」「懐が深い所。」姉はとんでもない性格だ。だから、アメリカに行っちゃったし、ギリシャ人と結婚したし、未亡人になり裁判3つやっつけて、今では自分の音楽の会社を作り女でひとり子供達を育ててる。私とは真逆だ。あの強さは一体何なんだろうかと思う。だけど、強く生きているのと同じくらいに、辛い事もしっかりと受けとめてきてる。口先だけの優しい人は沢山いるけど、それが悪い人だとも思わないけど、姉は心底優しい。私を助けると言ったら、世界中の全てを敵に回したとしても絶対に助けにきてくれる。周ちゃんの言ってる事が少しわかる気がした。角田さんが作る料理をまた撮りたい。