
何だか忙しない数日。朝から少し苛々してる。理由は朝から周ちゃんが餅なんて焼くからだ。どうして忙しい最中に餅焼いたりするものかと腹が立った。ひっくり返したように汚れたキッチン。餅がこびりついた流しを誰が綺麗にすると思っているんだろう。けど、周ちゃんが焼く餅は美味しいし、嫌な顔一つせずに食べた。何とも私の心と心に板挟みで苦しい朝。一人暮らしはあんなに快適だったのに、男と住むというのはどうしてこんなにも大変なのか。私の人生の半分は多分、同棲とか結婚に費やしてきた為に一人暮らしの経験は賞味2年。あの時間が今でも恋しい。終日が王様。好きな時に起きて好きな時に寝て食べて。脱いだものも散らかしたものも、自分のタイミングで片付けるし、誰かの何かをやってあげなくていい。無いものねだりなんて事はわかってる。時々こういう日がやってくる事も。
朝は撮影の準備をして、午後は大学の成績表と卒業証明書の取り寄せをし、急いで歯医者に向かった。今日で最後らしい。先週の麻酔が酷くてもう行きたくないと思ってたので良かった。帰宅すると直ぐにりょーこちゃんから小包が届いた。同封されていた手紙を開けると綺麗な字で結婚おめでとうって書いてある。それから、食卓はよしみちゃんが好きな場所だからって。小さな桐箱を開けると水引のように結われた銀の箸置きがライトの光に反射してキラキラと光っていた。全てがそれぞれに違う形。なんて綺麗なんだろう。思わずため息がでた。富山県の伝統工芸品らしい。
りょーこちゃんに会いたいな。くだらない事で笑いあいながら麦酒をガブガブ呑みたい。りょーこちゃんはよく笑う。だから嬉しくなってつい調子に乗ってもっと笑わせたくなってしまう。そうして楽しいのループが始まる。ずっと前に一緒にベトナムに行きたいねって話していた。ネオンが光る街を酔っ払い女二人でじゃれ合いながら歩きたいな。二人して何を撮ったんだかわからないような写真を撮り、後から上がった写真を見返してケタケタ笑いたい。