2月1日

Journal 01.2,2023


周ちゃんは確か先週も忙しかったけど、今週はもっと忙しいらしい。週末から始まる新しい企画展の準備で帰宅は昨日も深夜だった。周ちゃんと仕事をしたらすごくいいと思う。私達が一緒に仕事をする日が来るかわからないけれど、あんなに丁寧な人としたら安心しかないし、我儘を言いすぎてしまいそうで想像するだけで怖い。偉めな上司の娘と見合いさせられたとか、既婚者のチームを組んでいた同僚から休日まで一緒に仕事したいと言い寄られたとか、女ってのはわかりやすいというか残酷な生き物だなとも思うけれど、そんな事をしてしまうのもわかる気がする。出会った時に私の働き方を聞いて周ちゃんはすごく驚いてた。仕事の人は基本信用しないし、プライベートは一切話さないよって。「好きじゃない人、信頼できない人とどうやって仕事をするの?」私の質問に対して周ちゃんの回答は無かった。仕事ってそんなに修行みたいなものだっけ。ただでさえ、写真を撮るのに緊張したり、怖く思うことだってあるのに、せめて側にいてくれる人とは楽しくやりたい。安心したいし、安心して仕事に向かいたい。なんなら背中をさすっていて欲しいくらい。じゃあ、周ちゃんはどうやって仕事をしてるんだろう。忙しくて痩せるってどれほど苦いんだろうか。それは一体誰が喜ぶ為にやってるんだろう。

午前はフミエさんのアトリエで撮影のテストをした。どう撮るべきかわからなくて迷ってる。よしみちゃんはよしみちゃんっぽくていいよね。とか、よしみちゃんの世界観があるとか。そう言われる度に褒められて嬉しい反面、何だか駄目な人みたいにも聞こえてどうしていいのかわからなくなる時がある。写真作家になれなくて仕事の写真を撮る人になった私のただのコンプレックスだけど、勝手にやるせない気持ちになったりしてる。コマーシャルの写真が写真として良くないってわけじゃないし、仕事だって大好きだけど、作家には叶わないんじゃないかと決めつけてしまう自分が時々現れる。写真の質が違うのだから良し悪しなんて無い筈なのに。

テスト撮影を終えて、バインミー屋でバインミーが出来上がるのを待ちながらフミエさんに聞いた。「フミエさんは写真、どう思いますか?」私は今回、フミエさんの料理をどう撮ったらいいのか迷ってる。明るく綺麗にストロボをたいて撮るべきか、それとも自然光を活かして暗くてもイメージを重視したらいいのか。フミエさんのアトリエはあまり明るくない。この状況下で光に頼るのは正直辛い。偶然を狙うのも難しい。どうしよう。

編集の若名さんに相談すると、意外な答えだった。「よしみさんとフミエさんがやってきた事を写真にしてください。」真っ直ぐに目を見ながら話してくれた。不安がる私にライターの岩越さんは写真を撮る人みたいに教えてくれた。季節の光だとか、朝や晩の光を考えてみるのもいいんじゃないか。今回の仕事が決まった時、とにかく若名さんっていう大船に乗ろう。若名さんみたいな方とお仕事出来る機会はないのだし、私達って本当にラッキーだねって浮かれていた。だけど、若名さんが伝えてくれた話は私もだけど、フミエさんの心も打ったと思う。夜にフミエさんとLINEをしていて、とにかく頑張りましょうってメールをしあった。それに、岩瀬さんがいてくれて良かったし、フミエさんの友達の赤松さんもそう。

まだ少し時間がある。ゆっくりと考えてみよう。来週から大学の講義が始まる。