カテゴリー: 『わたしを選んでくれる人』 ” 雑誌の企画で綴り始めた日記 “

7月23日

『わたしを選んでくれる人』 " 雑誌の企画で綴り始めた日記 ", Journal 23.7,2021

夕方、長野のカナちゃんからダンボール一杯の野菜が届いた。嬉しい。嬉しくて、ちょっと泣いた。嬉しい。昨日もだけど、何だか誰かの優しさに生かされてるって感じる。嬉しい、ありがとう。

早々にベッドに入ると、うとうとしてた。パッと目が覚める。完全に夢の中でフラッシュバッグした。心臓がバクバクして、あの日なのかいつなのか今日だけど時空の狭間みたいになる。携帯の着信が鳴った。どうしよう。慌てて、携帯を開いても着信履歴がない。もしかして。助けなきゃ。

慌てて姉に電話した。ヤバイ。お願いだから出て。頭がパニックになって携帯を上手に操作できない。次の行動にうつりたいのにアプリがどこにあるのか全くわからない。落ち着こう。キッチンに行って水を飲もう。

“グーグルで着信音鳴るけど、履歴がない。” を調べる。うん、携帯の誤作動だよね。次にフラッシュバッグと一瞬、パニックになったのは、昨日までの22日までの緊張感が理由だろう。怖いことは一つもない。全部、一人劇場だよ。姉から電話が鳴った。「どうした?」話をすると、笑ってた。大丈夫。何も怖い事はないよって。「それに、私もニコが死んだ時は誰も居ない家で誰かに大声で叫んでてさ、今思うと完全にありゃ病院行きだね。確実に。」二人でキャーキャー言って笑った。ただ、感情が哀しみや恐怖にコントロールされてるだけ。それだけだよねって。

私、いまだに自分が犠牲になってでも、あの男を助けようとする思考が残ってる。電話が鳴った瞬間「何とかしなきゃ。」と、咄嗟に思った。なんて事だろう。22日は昨日に終わった、一年前の22日も終わった。もう、大丈夫。心臓をバクバクさせる理由なんて、怖い事だって現実には一つも無い。

翌朝、姉からLINE. 英語で書いてあった。訳すと、来年の今日はもう昨日みたいな日は来ない。あなたに違う生活がある事を私はわかってるから。って。

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『わたしを選んでくれる人』7月23日 ” 雑誌の企画で綴り始めた日記 “

ギターが好きな俊彦さんと等々力渓谷で朝一番の散歩をする約束をした。南口に9時集合。写真とは180度逆の、ワイルドではなく、真っ白のマショマロみたいな男の子だった。ボンボンだなぁと、しみじみ。

うちも負けず劣らず、箱入りの箱入りの、マトリョーシカくらい大事に育てられた。今となっては、その育て方どうかしてるよって思う。いい大人になるまで母は一切お金の話はしなかったし、愛と勇気を持ち女性らしく凛として生きなさいとだけ教えてくれた。けど、そのお陰で姉と私は、大層な世間知らずになった。そうして悪い男の言葉を本気で信じる馬鹿娘達は人生の中盤に大ゴケした。母の所為じゃ無いと、姉妹で口を揃えて言う様にしてるけど、あの育て方は、ねぇと愚痴る日もある。

ボンボン俊彦を見て思った。この子もマトリョーシカかもな。母からの愛情が溢れてる感じがした。渓谷を歩きながら、ボンボンが別れた彼女の愚痴をこぼし始めた。「半年で別れました。仕事が忙しくて一ヶ月も連絡しないって、人としてこの人ダメだなって。連絡ってどんなに忙しくたって出来る訳ですし、あり得ない女ですよ。」理由が本当に仕事なら、今も二人は愛し合ってるんじゃ無いかな。そこに愛が無くなっただけの話で、あなたが心から彼女を好きなら、今でも不服なら、話し合えば良かったのにって思った。それにしても等々力渓谷の素晴らしさたるや。東京とは思えない。なんて気持ちがいいんだろう。自由が丘に移動してカフェでお茶をしてから、カジュアルなイタリアンでランチをした。ボンボンが二軒目に行きたいと会計を始め、早々に店を出て鰻屋さんへ。忙しない男だなと思った。よしみさんは素敵だ。肌が綺麗だ。落ち着いてていい。腕が細い。どんな男がタイプ?僕の家でカレーを作って欲しい。一緒に動物園へ行きたい。彼の話はマショマロみたいに中身の無い話ばっかりで面白く無かった。ただ、渓谷もイタリアンも鰻も最高だった。

週末に会おうとメッセージを頂いてた方が何人かいたけど、やっぱり断った。気軽に返事をするのはやめよう。当たり前の話だけど、興味を持ってから会った方がいい。帰り道の電車の中でフォトグラファーの宮川さんから「ヤム邸、行きましょう!」と、LINEが入った。「めちゃくちゃ行きます!日曜日どうでしょうヤム?」と返答。「日曜日行けますヤム!」と宮川さん。「ヤム!」と私が返すと、「邸!」と宮川さん。この人、本当に賢いんだよなぁとつくづく。私のおふざけへのレスポンスが抜群だ。日曜日、下北沢の旧ヤム邸。楽しみだな。

『わたしを選んでくれる人』 " 雑誌の企画で綴り始めた日記 ", エスニック 21.7,2021

朝起きて、昨日の事を考えてた。
写真家は写真を撮るから写真家なんだ。私よりシンプルで上手に生きている写真家を見たら目が覚めたような気分。やっぱりもっと料理写真の事をやろう。支度をして直ぐに代官山蔦谷へ向かう。前の家の時は、歩いて月に何回も通っていた。代官山蔦谷は料理本が沢山あるから、コーヒー片手に朝の7時から数時間、日本だけじゃなくて世界中の料理本を好きだだけ思いっきりに読める。今日もお腹が空くまで読み更けた。

昼食はどうしよう。歩きながら考える。台湾人のハルさんに教えてもらった麺線にしようか、パリのマユミちゃんと食べるボブンにしようか頭の中で台湾とベトナムを行ったり来たり。結局、麺線ボブン的な感じの麺を作った。中々ナイスな味だった。

15時から予約していたカウンセリングが始まる。今日はチャットで30分。複雑な話の事を上手く伝えたかったので、離婚の経緯と悩みを簡単にまとめた。始まって直ぐにカウンセラーさんにそれを送ると、3分くらい経って返答があった。「離婚大変だったのですね。」。細かく今の気持ちを聞いてくれる。話はどんどんと前へ進んで行った。突然カウンセラーさんからの提案。

「頑張るのやめましょう。」
「?? あの、私はまだ心が疲れているのでしょうか。」
「500万%疲れてます。」

思わず笑ってしまった。500万%ってどこまで疲れてるんだろうか。カウンセリングを終えると、改めて今日のカウンセリングのアドバイスをまとめられたものが送られてくる。

” 今日はありがとうございました。離婚から2、3年経っている相談かと思いましたが、内容を詳しく聞いて、鳥肌が立ちました。それくらい深くて難しい事を経験されています。あなたの壮絶な離婚、私なら死んでるかもっていう状況ですよ。あなたはすごく強い。たったの半年でよくここまで一人で立ち直ったと思います。こんな強い人は中々いないです。とても尊敬しました。だけど、少し頑張るのをやめてみましょう。今、気分が落ち込むのは当たり前です。自分へ優しさを持ちながら過ごす日を作って下さい。仕事を辞めるとか、バカンスをとるとかじゃなくって、やらねばと思ってる事を週末だけでもやめるっていう風にちょっとゲーム感覚で取り組んでみて下さい。特別なことはしなくていいです。自分へのコンパッション(労わる心)を日常的に持つ事を意識してください。”

今朝、気持ちはすっかり晴れていたし、カウンセリングはやっぱりキャンセルしようかなって考えてたけど、受けて本当に良かった。私の思考の癖は私一人では中々気づけない。自分で自分を追い込み過ぎたんだ。それに、哀しみや苦しみが出てくれば出てくる程に追い込んでた。もっともっと頑張らなきゃ。だから裏切られるんだって。けど、きっとその逆だ。私が頑張れば頑張るほどに、自体は悪化したのは彼との結婚生活も同じ。写真家にならなかったら離婚はきっとしてなかった。私達は同じ歩幅で歩き、同じ酒場で同じ様に過ぎる毎日を二人で消化出来た。

カウンセラーさんが言った。自分で決めて結婚して、離婚をし、一人で立ち直り、今日ここに来た事。よしみさんは十分に前に進んでいますよって。何だかほっとした。それに、また一人で苦しみを抱えようとしてる事に気付けた。私、同じ事を繰り返してる。

週末の頑張らないゲーム始めてみよう。自分の事を俯瞰して観れたら、あっという間に気分が軽くなる。一つ面白い事を思いついた。私のコンパッションを写真に撮ってみたい。

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『わたしを選んでくれる人』7月21日 ” 雑誌の企画で綴り始めた日記 “

全く持って昨晩のデートは乗り気じゃなかった。
先々週あたりに会った同い年のRYOさん。その後に会った38歳のsousiさん。彼らの感じでわかった。30代後半オーバーの男性は魅力的に見えないかも。何だか世の中が怖くない場所だって信じきってる感が嫌だ。メッセージだと紳士的だけど、会うと懐の小ささを感じてしまう。航海エリアが狭いだけじゃん!って。何とも失礼な話だけど。

フォトグラファーの宮川さん。44歳。乗り気じゃない理由はそういう事。また東京湾の話をするのかなぁと思うと億劫だった。だけど、大豆田とわ子を見てる時に腹を抱えるわけじゃなくて唸り悶え爽快に面白さをジンワリと全身で感じるような、あの面白さを宮川さんとのメッセージの随所に感じていたし、いい人そうだし、微かな希望を持って待ち合わせの下北沢へ向かった。だけど、やっぱり面倒なので、パパッと化粧をし、適当に選んだワンピースを着て電車に飛び乗る。そして、小山田圭吾さんのニュースに夢中になっているうちに代々木上原。「ごめんなさい。乗り過ごしちゃって少し遅れます。」宮川さんは新しくなった下北沢の駅で迷ったらしく、私より遅れて到着。あ、気難しそうな人かも。小綺麗な向井秀徳さんみたいな服装だった。今日は早く帰ろう。予約したカレー屋さんに入る。カレーを食べている最中、写真の話となった。誰もが知ってるスタジオの出身で、経歴が面白かった。数学が好きで何とか曲線の勉強で大学院まで行ったけど、その後に写真の学校に行って、20代後半にスタジオに入社したのだそう。独立が31歳。私も独立は32か33歳くらいの時だった。カレー屋を出て、クラフトビールを飲みに行くことにした。宮川さん、独特ですごく面白い。そうして何だか離婚の話になった。「同じフォトグラファーで、すごく感情がすごい人で当時の日々の事はすっかりもう忘れてますね。」と笑ってた。離婚した人って私の知ってる限りだとみんな同じ事を言う。当時の事を抜け落ちた様にすっぽりと忘れてる。記憶が忘却を選ぶほどに辛い体験だったのかな。なんだか思い出せないっていう話を聞いて親近感が湧いた。だけど、私はどうして忘れない方を選んだんだろう。

ギターが好きな俊彦さん。38歳。営業の仕事をしているのだそう。音楽が好きそうだったので詳しく尋ねてみると、三兄弟みんな音大へ音楽を学びに行ったのだそう。長男に限ってはドイツまで行ってしまったのだそう。私の姉も高校から音大付属へ入学し、芸能から音楽の道へ進んだ。少しだけ音楽話で盛り上がった。「いきなり会うのはあれなので、電話で話しませんか?」とか、「オススメの音楽を教えてあげたいからLINE交換しませんか?」とか、遠回しな発言が続く。この人は一体全体なんだろう、こういう臆病はイラつく。「私は、会って話すのが好きです。」「LINEは会ってから交換しましょう。」と返答した。「どうしてこんな素敵な人が離婚されてるんですか?と聞いてもいいですか?」と、また遠回しのメッセージ。またもやイラつく。本当の話を言ったら失神するだろうと思って、ふんわりと返した。男は女に比べて臆病な生き物だと思うけれど、臆病すぎると腹が立つ。

6月30日

『わたしを選んでくれる人』 " 雑誌の企画で綴り始めた日記 ", Journal 30.6,2021

朝からちょっとまた二日酔い。そして、何だかちょっとむしゃくしゃしてる。作品を終えてスッキリしていい筈なのに、急に寂しさがやってきた。何だろうこれ。すごく寂しくて虚しい。何もする気が起こらないし、色々が厭。特に昨日は少し駄目だった。何とか済ませる事だけ済ませて、ベッドで20時くらいから悶えた。本を読むのも億劫。辛うじて出来ることは携帯をオンにしたりオフしたり、その繰り返し。何かを見たいわけじゃ無いけど、ただそれだけをしてた。私の最悪はどんどんライトバージョンな最悪になってきてるし、今までの色々に比べたらこんなのヘッチャラなんだけど、どうにもこうにもペチャンコに潰れたタイヤみたいな感じ。

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『わたしを選んでくれる人』6月30日 ” 雑誌の企画で綴り始めた日記 “

「海いつ行きますか?」NAOさんにLINEした。「就活を始めたので、来週以降でもいいですか?」おいおい、昨日のグイグイは何処へいった?昨日とは打って変わって何だかちょっと素っ気ない。まだ付き合ってもいない男に勝手に一人猛スピードで激しく期待を抱いてしまう私が一人ポツンとしている。

夕方にまたNAOさんからLINE。「やっぱり自分のやりたい事は店だなってわかりました!」???どういう事だろう。「コミュニティーセンターが作りたいんです!」よくよく聞くと、学大の通ってる幾つかのバーの様に、面白い大人が集まって、自分の好きなことを表現できて、地域に根ざしたコミュニティーの場を作りたい!と目をキラキラさせて私に宣言してる。あー。あー。ああ、そうか。非常に残念な思いで私はペッチャンコになった。「未来というものは、不安だけど見えないから未来であって、それは自分の想像を遥かに超えたものになるから安心して。」ちょっと前に将来が不安だと言うNAOさんに送ったLINE。ごめん。あの言葉を撤回するつもりは無いけど、ごめん。

私、あなたと同じ話をする男を100人くらい知ってる。その男達は、何もしないままにおっさんになって、今となっては別の太い理念のある場所に収まっている。男のロマンの一つなんだろう。店づくり。コミュニティーづくり。好きな人や好きな物だけを並べた場所。それを叶えたのが私の元夫で、叶えさせたのは妻である私。「この国は馬鹿なんだよ。だから俺は法律の抜け穴をすり抜けるんだ。」関西人の夫はドヤ顔でズルを重ねた。社会とコミュニケーションを取りたいと豪語する割に非社会的であり、意外と稼いだ小銭は全て自分の財布の中へちゃっかり閉まう。俺様のロマンだけの為に。支え続けた私の所には感謝でさえ返って来なかった。

「よしみさんどう思います?」色々と意見を聞いてきたり、紹介して欲しいとお願いしてくるNAOさん。おいおい就職斡旋所じゃ無いよ。やんわりした答えだけを返答して、携帯を閉じた。あなたの未来を否定したい訳じゃ無い。学大に素敵なバーが幾つかあるんだね。それもわかったよ。だけど、バーっていうのは大概にして地域に根ざしているし、そういう店は五万と世に存在しているもんだよ。変わった場所が作りたいって言うけど、どこもそれなりに個性がある。その中でも秀でた個性のある店にするには貴方が秀で無いと難しいんだよ。それが、店っていう場所なんだよ、それにそれはどんな仕事にだって当てはまると思う。「稼げなくてもいいんです!」なんて甘っちょろい夢は人様に迷惑をかけるだけだからお止し!なんて言わなかった。お金って言うのはただの単位みたいな物であって、実際にお金が回るっていうのは、人の想いや人の力が回るって事だと思ってる。私の人生経験においては。

ああ、悔しい。不覚にも27歳の男に恋に落ちかけた自分が悔しくて堪らない。ああ、もう嫌。NAOさんにとって私は良きアドバイザーだったんだろう。そりゃ親切だよね。だって年上のお姉さんだもんね。彼との未来を一瞬でも考えた私の想像力、怖い。怖すぎる。子供は1歳くらいに育ってた。

揚げ浸しと冷やし饂飩

『わたしを選んでくれる人』 " 雑誌の企画で綴り始めた日記 ", 和食 25.6,2021

二日酔い。久しぶりに飲みすぎた。
とても楽しい1日だったな。昼は楽しく料理の撮影をして、夜はデート。久しぶりの外食。どれだけ久しぶりの外食だったんだろう。外でお酒を飲むのもそう。とにかく楽しかったな。お陰で今日はしっかりと二日酔い。午前に少しだけ仕事をして、午後はベッドに倒れた。目が覚めると部屋はもう暗い。梃子が顔をペロペロ舐めてくる。今日は朝に梅干し饂飩。昼に素麺。うーん。夜もつるっと麺がいいな。野菜が食べたいから揚げ浸しでも作って冷やし饂飩にしよう。

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『わたしを選んでくれる人』6月25日 ” 雑誌の企画で綴り始めた日記 “

27歳、学大、広告代理店NAOさんと来週に行こうと言ってた三茶の町中華。3日前にやっぱり木曜日に行こうとなった。仕事から帰って急いで支度。NAOさんが営業の確認を電話でしてくれる。どうやら19時からはお酒が呑めないのだそう。せっかくだし、お酒も呑みたいので、魚しんに変更となった。魚しんは元夫に寿司を投げられた沖縄料理と寿司屋の店。NAOさんは少し早く着いたようで公園で時間を潰してた。あ、ちょっと写真とは違うかも。少しだけぽっちゃりした男性だった。まぁ、楽しく寿司を食べよう。

お刺身の5点盛り、ネギトロこぼし、イワシの握り、島らっきょう、ゴーヤチャンプル。どれを食べても美味しい。彼が先々週に辞めたという仕事の話を聞いたり、私の腕の内側にあるタトゥーの話をしたり、たわいも無い話をしてお店が閉店の20時で店を出る。もうちょっと話たいし、三角地帯に行こうとなった。立ち飲みのお店に入る。少し混み合ってて、マスクをしながらお酒を飲んだ。多分、お互いにちょっと酔っ払ってた。話が徐々に砕けてくる。彼は学生の時から都市論に興味があるそうで、公園という場所は誰にでも平等に与えられた公園の原義であるユートピアでなくてはならないのに、日本の公園では浮浪者が横にならないようにベンチは仕切りをつけたデザインが施され公園という場所の意味合いが異なってきているのだそう。私の知らない話が沢山そこにはあってとにかく楽しかった。そして、「どうして離婚したんですか?」って。余計な事は言いたくなかったから、身近な人に病を患った人がいるかどうか、そう言う経験をしたことがあるか確認してから手短に説明した。「わからないのに聞いてすみません。」と言ってた。この人は素直で賢い。そんな気がした。

お酒も話も止まらない。夜だけがどんどんと更けていく。小腹が空いたねってなって、立ち飲みを出て、商店街の途中にある修羅場に行く事にした。ここも若者でいっぱい。声がぎゅうぎゅう。「僕、声が通らないんですよ。」「私も。」少しだけ顔を近づけて話をした。焼き鳥。揚げ浸し。チーズマカロニ。オーダーしたつまみがテーブルに並んでいく。魚しんでもそうだったけど、料理を食べる度に目をまん丸くして「これ、一番美味しい!」って言ってる。全部、一番じゃんって思った。幸せな人だな。揚げ浸しが大好物だと言ってた。私の作る揚げ浸しは美味しいよって言おうとしたけどやめた。気づけばぎゅうぎゅうの声はいつしか無くなって、客はぽつりとぽつりとテーブルの所々に散らばってる。「あ、終電そろそろですね。」店を出てバイバイして、世田谷線に小走りで向かうと電車は丁度行ってしまった。あーあ。歩いて帰るか。世田谷通りを家に向かって歩く。夜道が急に寂しさに包まれていく。大分この感覚は薄れた筈だったけど、何でだろう、私を女として見てくれる男性に会うと感じてしまう。虚しさがじわじわと心を侵食してく。私は8年もの間、いつも夫と住む部屋に帰った。どんな夜も、明るい夜でも、暗い夜でも同じ様にあの場所へ帰ったのにな。私、何やってんだろう。8杯くらい飲んだかな。そこそこに酔っ払ってる。こんな気持ちは厭だ。私に負けたく無い。携帯を開くとNAOさんからLINE。環七の歩道橋でメールを返信した。「今日は本当に楽しかったですね。」

そら豆の揚げ焼き

『わたしを選んでくれる人』 " 雑誌の企画で綴り始めた日記 " 21.6,2021

長尾智子さんのそら豆の揚げ焼きのレシピ。本来なら、黒胡椒と塩で頂くのだけど、ちょっと中華っぽい気分だったから、オイルの中に花椒とアニス、唐辛子を入れてラー油の様なものを作り、そこで揚げ焼きにしてみる。美味しい。余ったオイルはラー油として使う。

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『わたしを選んでくれる人』6月20日 ” 雑誌の企画で綴り始めた日記 “

マジか。”待ち合わせ、13時30分でもいいですか?”
出先で開いたアプリ。モギさんからメッセージが入っていた。この人、何回時間を変更したら気がすむんだろうか。友人だって待ち合わせの直前に1時間遅れるなんて事はまず無い。丁重に断った。”夕方に用事があるので、お互いに時間のある時に会いましょう。” 写真や見た目っていうのは本当にわからない。とても好青年に見える風貌と口ぶりだったけれど、こいつは好青年では無い。ただの、しがない園児だ。顔がいい男っていうのは、確実に女どもからちやほやされて生きてきている。毎月生理があって人生に山と谷がある事を身体で覚えてる現実主義の女のちやほやとは別物。女は計ってちやほやされてるけれど、男のちやほやはただの甘えん坊になる。どうにもこうにも放って貰えないので、いつしか努力する事を忘れてしまった男達が紐となってそこいらにゴロつくのはよくある話。仕方ない。女が自分を生かしてくれる術をよくよく知ちゃっている。元夫みたいに。顔だけは良かった。心と腹は真っ黒だったけれど、どうして何だろう、ピュアに見えてしまうのは、ピュアそうな顔の形状だったり、ピュアそうな発言だったり。とても上手だった。

嫌いです。気持ち悪いです。この園児の未来、明るく無い希望が見えます。心と腹が黒い男は頭頂部からハゲるという自然の摂理になったらいいのに。そんなに人生甘く無いって事を頭頂から感じて、じわじわと上から感じて。世の中の女に見えなくても、お天道様は見てるんだよ。私からの小さなささやかな心の底からの願い。

そら豆

『わたしを選んでくれる人』 " 雑誌の企画で綴り始めた日記 ", 酒の肴 20.6,2021

試しに頼んだ千葉の農家さんから無農薬野菜が届いた。人参、キャベツ、ケール、ブロッコリー、そら豆、玉ねぎ。早速料理を始める。色が鮮やかだし、しなやか。見て触って直ぐにわかる。野菜が元気。だけど、こんな量じゃ直ぐに食べ終わっちゃうよ。思う存分食べたいなぁ。しょうがない、一気に食べないで大切に食べよう。これで3000円、やっぱり高いな。だけど、美味しい。困ったなぁ。

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『わたしを選んでくれる人』6月19日 ” 雑誌の企画で綴り始めた日記 “

隣駅のグラフィックデザイナーのMさん。同い年。質問が多い。色々な事に興味があるのか、日々質問がやってくる。「何階の何向きにお住みですか?」うん。今日も怖い。この質問攻めの体制が一ヶ月のやりとりで段々と整ってきてはいるけれど、この少々の恐怖だけは慣れない。気のせいかもしれないけど、気のせいかな。会う約束をしてたのだけど、丁度仕事が入ったのを理由に、仕事時間は全然違かったけど、断った。

28歳のエンジニア。秋葉原で遊んでそうな男の子を捕まえてしまった。「よしみさん。どうして僕だったんでしょうか。」けげんな顔をしているのが想像出来た。「ゴールデンレトリバーを抱いてるのが可愛くって。」、と姉に最近のマッチング状況について報告すると、「おいおい!お前はクーガーか。(アメリカで年の離れた男の子を食う年増の女の事)」と、電話の向こうで大声で叫んでいた。ああ、なんでもいいよ。クーガーでもウゴウゴルーガでもなんでもいい。ただ可愛かっただけ。犬が。再来週に映画の約束をしているけど、どうかな。行くのかな。もう少しメッセージを重ねてからと思ってる。こないだ、思いやりの話になって「思いやり過ぎてもよくないですよね。」みたいなメッセージがきて。メンドくさいぞ、と心で思った。思いやりなんてのは測るもんじゃない。誰かや何かの為にやりたいからやる。それって人間らしい営みなのだよと思った。例えば、愛みたいなものとか。

よみうりランドに住んでる美容系の経営者のりょうさん。バツイチ。同い年。背丈も同じ。安心の安全な紳士な感じ。メッセージが丁寧。シンプル。軽快。緊急事態宣言が明けたらお茶をしましょうとの事。お誘いも丁寧。大人だなぁとしみじみ。ただしみじみしてる。

27歳、広告、学大在住。NAOさん。うん。若い。どうしようも無く若い。どうしてマッチングしたのか憶えて無い。学大って顔をしてる。もし一駅隣のお住まいだったら、速攻で断ろうと思ったけどギリギリセーフ。隣駅は悪魔の土地だ。実際に祐天寺には悪霊払いの塚がある。兎にも角にも私にとって呪縛スポット。ご飯の話になって、NAOさんが三茶の中華を教えてくれた。完敗、完全にストライク。餃子が出てくるまでの瓶ビールと小皿のつまみと店の雰囲気だけでご機嫌になってしまうやつだ。私が興奮した感じのメッセージを送ると「攻め込みましょう!」との事。お礼にお気に入りの寿司屋兼沖縄料理屋さん(私が元夫に寿司を投げられた店)を教えてあげた。あの日の事は忘れない。呼ばれて出かけたのに、頼んだビールが無くなる前に「お前帰れよ!」と夫に叫ばれ帰った。隣に座ってた友人も夫が私の頭を叩いたり、寿司を投げるのを見て笑ってた。後に、この男が夫にお金をあげて会社を隠れて作った。という散々な思い出もあるけれど、綺麗さっぱりと塗りつぶしていこうと思う。年が離れてるからなのか、気を使わないでメッセージ出来る感じが楽。中華と寿司沖縄を攻めに行く日が楽しみ。

昨日の午後に会う予定だったモギさん。34歳。会社員。仕事がスーパー忙しい、らしい。支度をして家を出ようと思ったところでメッセージ。「夜の19時くらいになりそうです。」えー!この支度バッチリさんの私に19時まで、このまま待てと!5時間。うーん。うーん。きっと前の私なら待っただろう。前の前までの私なら全く待たなかった。うん。断ろう。仕事が大変なのは仕方ないけれど、仕事してるなら仕方ないかぁ(前の私)とも思ったけれど、あ、危ない。時々出てくる前の私の感覚。だから騙されちゃうんだよな。
だけど、よくよく考えてみると、「仕事だから!」と、平気で色々と嘘をつく男に8年間も騙され続けた私は馬鹿だった。だって想像すれば簡単。1時間や2時間、3時間。半日。そんな長い時間、誰かが待ってると思いながら、別の事に集中できるものか。頭の隅に空腹の待ち人を置いて置きながら、誰かと食事をしたり、誰かとお喋りを楽しむなんて非常に難しい。「これはビジネスだから仕方ないんだよ。」なんて、嘘でも言えない。そう、私は嘘が嫌いだ。だって、傷つけるのはわかってる。

「ごめんなさい。今日は仕事が急な対応で終わらなそうなのでやめましょう。今度、ビールをご馳走します!」私なら早々に断る。だって、申し訳ないし可哀想だから。物事というのはとてもシンプル。自分が出来ない事は、他人も出来ないっていう感覚でいい。世界には色々な人がいる、だから私と合う人と一緒にいればいい。嘘つきは嘘つきとどうぞご一緒に。そんな程度の話。というわけで、腹が立ったので会うなら明日の昼にとお願いした。もぎさん、写真の雰囲気はとっても良さそうだったけど、どうかな。私、こう見えて、酸いも甘いもではなくって、500人に1人しか食べたことが無い激辛を堪能している女だもの。(元夫の病。双極性障害は500人に1人が持っていると言われている。)

残り物丼

『わたしを選んでくれる人』 " 雑誌の企画で綴り始めた日記 ", 中華 09.6,2021

暑い。暑くて最高。
だけど日中の部屋の中はヌメッとしてて眠くなる。今日は朝からクーラーを入れてみる。身体が間違って11時になる前にランチを食べ始めた。嗚呼、美味しい。残り物ってなんでこんなに美味しいんだろう。トウモロコシの炊き込みご飯に、揚げ茄子と蛸の和え物、ジャスミン茶の煮卵。温かいご飯に冷たいおかず。しみしみおかず。パクパク食べて、午後はテスト撮影。明日はちょっと遠くにパンを撮りに行く。

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『わたしを選んでくれる人』6月10日 ” 雑誌の企画で綴り始めた日記 “
夕方に恵比寿のクニオさんからLINE。「暑いね。汁だくだよ!」「何がですか?」「汗だくだよ!」「そんな使い方していいの?」「ええよ!」シンプルでいいけど、何が言いたかったんだろう?何も聞かずにスーパーへ買い物に行く事にする。LINEはここで終了。

雅楽の方に思い切って聞いてみる事にした。きっと100万回聞かれてるだろう質問。聞きたかったけど、101万回目を答えさせるのは申し訳ないと思って聞かなかった。けど今日聞いた。「平日は練習ですか?」「はい。練習です。舞の練習もします。練習も仕事の一つで、一応お給料も出ます。伝統文化に守られた仕事なので大変有り難いです。」「舞もするんですね!!」こりゃ本物だ!と想像通りの答えに一人微笑む。もう一人34歳の会社員とやり取りを始める。スケボーに乗ってる。可愛じゃん。何だか年齢が上の方が多かったから新鮮。喫茶店で朝食を食べるのが休みの日の楽しみなんだそう。可愛じゃん。

このアプリを初めたのは確かGWあたり。100人位やりとりした気がする。昨日は二人ほど知人を発見。一人は15年前くらいに職場が一緒だった人。彼は写真が好きだったからか、直ぐに仲良くなった。仕事が広告ってなってる。仕事はいつも曖昧で直ぐにやめちゃう人だったな。彼の撮る写真も曖昧な写真だった。怪しいなぁ。勿論、マッチングはしないでおく。さよなら、過去の友人。
ジャスミン茶の煮卵
半熟に茹でた卵
ジャスミン茶葉
水 1カップ
醤油 1/2カップ
砂糖 大さじ2
お酢 大さじ1
八角 1個
シナモン 1片
ホワジャオ 小さじ1



揚げなすとタコの和え物

『わたしを選んでくれる人』 " 雑誌の企画で綴り始めた日記 ", 魚介, 和食 08.6,2021

ぼんやりと過ごしたまま夜がきて、夕飯を食べて大豆田を見て寝た。
最近、淡々と色々を毎日こなしてる。夕飯に作った蛸があまりに美味しくって箸を置くのに時間がかかった。「ねぇ、蛸、食べ過ぎだよ。」大きな蛸だったのにパクパクの勢いが止まらない。頭の中で「ねぇ」と、こだまする声をようやくキャッチ。エライよ。私。

ラップして冷蔵庫に入れる。明日また食べよう。



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『わたしを選んでくれる人』6月9日 ” 雑誌の企画で綴り始めた日記 “
「週末何してた?俺は暇してたよ。今週は?」
「仕事です。今週は暇してます!」
「じゃあ、土曜日はサッカーだから日曜日にしよう!」

昨日のLINE。それからLINEはしてない。彼への気持ちがどうこうは考えてないし、想像もしない。だって知らないから。一人勝手に恋い焦がれる様なシーズンはもう数十年前にきちんと終えてるし、本当に恋に落ちた時のスピードもよく知ってる。恋に酔いしれる時間なんて要らない。千駄ヶ谷のロンハーマンで普段着に買えない様な夏っぽい素敵なワンピースを数枚試着するだけで気分は落ち着く。それくらいのデートがしたいだけ。「似合うから買ってあげるよ。」と言われても「着たかっただけ。」と断る感じ。

最近、メッセージのやり取りを始めた雅楽奏者の人がいる。名前は、思い出せない。そもそも雅楽がよく知らなくて、高校から音大に通ってた姉に篳篥っていう楽器知ってる?って聞くと「あーそれは雅楽だよ」って。何だか「それは右翼だよ。」みたいに姉は言った。姉曰く、相当に変わってるでしょうとの事だった。変わっている人は慣れてる。1/500人の確率の精神的に大分異常だった人と8年も正常心を装って生活してきた私だ。悪事さえ働かなければいい。とはいえ、姉の右翼が頭を離れなくて、今一つ踏み込めないメッセージを続けてる。旅行でどの国が「一番好きでした?」と言う質問に「チベットは二度と行けないと思うので良かったです。」みたいに言うと、「空が近いそうですね。」と言うので、私がチベットに行くきっかけとなった鳥葬(鳥が天へ魂を連れて行ってくれるとゆう由来)について教えると、「仕事柄、知識としてありましたよ。」との事。鳥葬を知ってるって、どんな仕事だよ。と思った。

来週に会う約束をした雅弘さんはグラフィックデザイナー、40歳、世田谷区在住。彼の地元と私の母が幼少期に過ごした場所で、同じお茶を作ってる場所だった事で好感が持てた。母は東京の端っこで、彼は埼玉の下の方。まるで紅茶みたいにふんわりとした香りがする新茶が採れる。よくフルーティーな香りって?って思うのだけど、これがフルーティーかぁと思う逸品。一ヶ月もなんとなくメッセージを続けてるのに、何も言ってこないので、イラついて「会いませんか?」と聞いた。「臆病で僕から言い出せなくてすみません。」みたいな返答だったと思う。おいおい何歳だよ?と思いつつ、来週に近所でお茶をする約束をした。以前にお酒の話になって、「飲みますか?」「飲みます。」みたいな。そのまま大豆田のカゴメちゃんが死んでしまった回の話になって、「友人が亡くなった事を思い出した。」みたいに言うから、「私も数週間前に友人が死にました。」と伝えると、慌てて謝ってきて、「別に悲しいけど問題ない」と伝えると、「実は父と友人をお酒で亡くしたんです。」って言うから、「私も夫のアルコール依存症等の問題で離婚をした。」と言うと、「色々と辛い体験をされたばかりの時期にすみません。いつか話せる時に聞かせてください。」と言うので、「だから別にどの問題にも蓋をする気は無い。これが私の人生だから。」と、話は噛み合わない。ただ、私は誰かと話が噛み合ってる事が仲良しだとは思わないから悪い気は全くしてない。
藤井先生のレシピより少しアレンジ
茄子を揚げ焼き、タコを軽くボイルする。
ソースで絡める。

茹でタコ 200g
茄子 2個
[ピリ辛ソース]
おろししょうが、おろしにんにく 小さじ1
醤油 小さじ2
お酢 小さじ1
テン菜糖 小さじ1
ごま油 小さじ1/2
すり白ごま 小さじ2
唐辛子 小さじ1/2

晩酌

『わたしを選んでくれる人』 " 雑誌の企画で綴り始めた日記 ", Journal 01.6,2021

午後過ぎに帰宅して、夕方にテコの散歩へ行った。昼食はさっき食べたばかり。ぼんやりしてる。温かい風の中でフジモンとメールしながら歩いた。フジモンは大学でカンセリングを学んでいるから色々と詳しい。今はDV加害者プログラム・マニュアルという信田さよ子さんの本を読んでるのだそう。以前に信田さんの本に救われた事があったのを思い出した。

夫が暴れたり大声で喚いても、それを知ってる夫の友人・知人らは当たり前のように何も言わなかった事にずっと違和感があった。年に一度くらいしか会わない友人が、あなたは共依存なんじゃ無いの?と伝えてきた事があった。色々と何かがしっくりとこない感じの理由は信田さんの本でわかった。

熊田曜子さんの事件をニュースで見た時に思わず「お疲れ様。」と声が出た。問題はそれぞれに全く異なる筈だけど、私もご飯を100回どころじゃ無く捨てていた。つい最近も誕生日を家族で祝ったというインスタの幸せな投稿も不思議じゃない。私も夫が暴れる数ヶ月前に仲良く新婚旅行に行った。帰宅するのが怖いのもよくよくわかる。私は夜中が怖かった。最期は怖くて堪らない家でベッドに潜り、朝まで時計の数字が増えたり減ったりするのを眺めながら、チェーンを閉めて飲酒していない夫の帰りを待った。

元夫がよく通うバーに、彼が喚く時に使う言葉「NIDOTO AERU TO OMOUNAYO」とローマ字で書かれたステッカーが入り口のドアに貼ってある。私も何百回と言われた言葉。変わり果てた男の目を思い出す。そのステッカーを初めて見た時に胸がぎゅっと締め付けられた。

うちは病気からの間接的なDVだったけど、この問題が普通じゃ無い事に気づくのにかかった年月は8年。夫にこんな事は間違ってるからやめてと言い続けても、夫がそれを聞いてお酒をやめても、いつでも戻れる場所が準備されていて、世界は夫を見て何も言わず、世界は私を見て無視をした。

フジモンが女性軽視問題について、ちょっと気になっているって話をした。うん、わかる。そうだよね。私も信田さんの本で自分が共依存ではなかった事がわかって、その時に気づいた。これってもしかして社会問題の一つなんじゃないかって。

男だからお酒を浴びるように飲んで喚いても許された?男だから汚い声で誰かを罵って、偉そうな態度で大きな音を立てたり、何かを殴ってみたり叩いてみたり出来た?

もし、私がやったらどうなっちゃうんだろう。何百回と彼がやった事をたったの一回でも私がやったら、きっと二度とその店には行けない。家で暴れても同じ。きっと誰もが言うと思う。奥さんは一刻も早く病院に行った方がいいよって。

強い力や大声をあげて威嚇するのは、男の特権では無いし、女はそれを我慢する生き物じゃない。酒場でも家でも街でも公園でもどこでも、やっていい場所なんて、どこにも無いんだとわかった。女が専業主婦であった日本の社会背景が、男には権力があるという概念がDVやモラハラに化けた。「奥さんなんだから、彼を立てなよ。」とか、「奥さんなんだから、どんと構えて家で待ってなよ。」と彼らに言われても、疑問が心を突き刺していたのは、私が女だからで、彼といつでも平等でありたいと訴え続けたからだと思う。彼が自分のやった事を当たり前だと確信出来たのは、世界が許容してくれたから。


帰宅して早々にお風呂に入った。晩酌を作ろう。何だか何もしたくない気分。冷蔵庫は空っぽ。ぬか床を回しながら浅漬けの胡瓜とカブと茗荷を出す。残り物の麻婆豆腐と、冷蔵庫の奥にあったトマトを卵と炒めよう。半分残った柔らかいアボガドは、鰹節とマヨネーズで和えてディップにして味付け海苔で食べよう。ビールが無い。うーん困った。そうだ、新生姜の甘酢漬があったな。あれでガリ酎を作ろう。

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『わたしを選んでくれる人』6月1日 ” 雑誌の企画で綴り始めた日記 “
「お付き合いしたいってハッキリ言って欲しい?」
「まだよく知らないから検討させてください。」

一つ上の彼はフランクに私に話しかけてくる。テンポよくアプローチをしてくるけど、親切だから悪い気はしない。お酒が入れば、中学生みたいな話が始まる。「一番最後にキスをしたのはいつ?」この会話楽しいのかな。私は全くつまらないよという顔をした。

誰かに好意を抱かれる事は嬉しい。だけど、今が寂しいから一緒にいたいとは思いたくない。そうゆうのは駄目。冬は人恋しいと言って誰かとセックスばかりする女が友人にいたけど、彼女にはいつも彼氏がいなかった。寂しいを利用すると、女は不味くなるのかもしれない。隣で視ていても、彼女からはいい匂いが一度もしなかった。

ご馳走してもらって悪いなと思ったので、帰りに飲んだ事が無いという、駅前にあるブルーボトルコーヒーをご馳走する事にした。帰宅して、ひとりで麦酒をあける。

翌朝、企画担当の編集の山若君からメッセージ。「どうだった?付き合う?」「3%」。恋に堕ちたい度も3%あたりを行ったり来たり。私の中には未だ突然に消えてしまった夫がいて、彼はもうこの世にはいない事も知ってる。

チーズカレートースト

『わたしを選んでくれる人』 " 雑誌の企画で綴り始めた日記 ", カレー 23.5,2021

昨晩、パリのマユミちゃんから手紙が届いた。鮮やかな青い色の封筒を開けると、青い小鳥が二匹、枝の上で見つめあってるカード。可愛い。カードからはマユミちゃんがきっとお気に入りであろう香水の匂いがする。そろそろ、日本の仕事なのかフランスの仕事なのか、色々を決めなきゃいけない岐路に来てるって。困ったり苦しんだりしてる感じじゃなくって、とても明るい内容に見えた。”私は、さてこれからどこに行くんだろう。だけど、これから郵便局に行くことだけは確かって。” って書いてあった。

今日は久しぶりの太陽。なんて気持ちがいいんだろう。昨晩の何となしに作ったカレーが中々の上出来。分厚いトーストにカレーをのせて、チーズをかけてオーブンで焼く。あー絶対にこれ美味しいやつ。

パンを焼きながら、マユミちゃんに手紙を書き始める。スラスラ言葉が出てくる。
さてさて、私はこれからどこへ行こうかな。

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『わたしを選んでくれる人』5月24日 ” 雑誌の企画で綴り始めた日記 “

先週に気持ち悪くなってアプリを捨てた。本当に人間って勝手な生き物。何となく会う約束をしてた人も、一瞬の決断で携帯のゴミ箱へ消えた。この企画、怠い。怠い怠いと言って、時には楽しいとも言って、数ヶ月。いつまでやるんだろう。今日はもう一つのアプリのサッカーが好きだという一つ年上のクニオさんと会う。昔、好きな人と生活していた部屋の下に中村玄っていうレストランがあって、もう10年くらい前の事。変な名前っていう記憶だけが残ってた。最近では人気のレストランらしい。友人に聞いた時はびっくりした。

写真よりふた回りくらい大きな男が恵比寿駅で声をかけてくる。「こんにちは。」もう慣れた。写真とは違う。これは、標準的な登場。全然、問題なし。坂を歩いて、中村玄へ。あー懐かしい。甘い余韻はやっぱり一人の時の方がいいな。ピンク色のハートで何度も何度も上がった階段をスタコラ上がっていく。お店に入るとガラガラ。時間も早かったからだろう。良かった。人の多い店は入りたくない。

初めはクニオさんの仕事の話を聞いてたけど、いつしかどうしようも無い話のオンパレード。家族の話から、元嫁の話。全く可愛くなかったけどノリで押されて付き合ってしまった女が既婚者で散々だった話から、私の元旦那も大阪人で最低だった事から、大阪人は下品で嫌だっていう偏見の話から、クニオさんが大きい方を漏らした話から、私もお酒で部屋でそそをする夫の大きい方や小さい方をよく片付けていて、小さい方についてはペットシートがよく吸い取っていいよっていう話から、とにかくしょうもない話でノンアルコールで大笑いした。

二軒目にいく途中に近所に住むタマちゃんのサロンの前を通りかかる。ハローって挨拶をして、バイバイした。二軒目に入ると、急に距離を縮めてくるクニオさん。この年になると、まぁそこそこ皆さん恋も愛も、場合によっては結婚も経験してたりする。いつまでもピュアでいたいけど、そうはいかない。ピューんと触覚が感づいてしまう悲しさ。そう、彼は男で、私は女だった。誰かの嫁になった途端に、悪魔との契約みたいに女をパッと捨てたけど、久しぶりに、「女さんですよね!」みたいに言われても、お尻から炎が出てぶっ飛びそうなくらいに驚く。「え!!!私って女だったの!」いきなりオッパイが胸にパコってくっついたみたいな気分。

不思議な気持ちで家路に着いた。私って女だったんだね。
チーズカレートースト
ピザ用チーズ
厚切りトースト
前日のカレー

5月3日

『わたしを選んでくれる人』 " 雑誌の企画で綴り始めた日記 " 03.5,2021

『わたしを選んでくれる人』5月3日 ” 雑誌の企画で綴り始めた日記 “

家の近くで料理家のダイスケさんと待ち合わせ。天気は晴れたり曇ったり変な感じ。写真とはちょっと違う。出会って直ぐ、昔からの知り合いのような感じで話始めた。逆にすごく違和感。この人、人として感情が下手くそだな。これが第一印象だった。

三茶で苗を買いたいという話をアプリで伝えていたので、花屋でゴーヤの苗を買い、ダイスケさんがよく行くという300円均一に行った。穴場だと言うけど、欲しいものは一つもない。私は使い回しのきく割れない皿より割れても好きな皿が欲しい。もしかしたら料理の話も合わないかもって思った。オブスキュラが行きつけだからと商店街の先にあるカフェにコーヒーを飲みに行く。話が好きな人なんだろうな。自己紹介から30分以上、ここに来るまでの経緯が続いた。それから、離婚を終えての4年間の苦しみと、離婚で癒えない傷は精神を害し、昨年の今日は精神病棟を出た日だと言ってる。あの頃は鞄の中に毎日首を括る為の紐が入ってたって。うん。そうか。話を聞いて欲しかったんだね。

4年間の苦しみ、想像しただけで吐きそう。かくいえ、私は離婚後の渦中だけど、ここで清々しい顔をして「離婚してから半年ですよ。」とは言えなかった。彼は女性を信じられなくなって、ようやく最近になって女性と会えるようになったのだそう。気持ちはわかる。裏切られた人の気持ちもわかるよ。異性が怖いのもわかる。彼は嫁からのモラハラが原因で離婚をした。うちもモラハラがあったから、うんわかる。怖いよね。世界が怖くて、異性が怖くて堪らないよね。

辛かったねぇと声をかけてあげる事は出来ても、共感は難しいし、本音で言うとみっともないと思ってしまった。女の前で4年前の事で堂々と弱音を吐く男。家に帰ろう。

チキンのトマト煮のグラタン

『わたしを選んでくれる人』 " 雑誌の企画で綴り始めた日記 ", Journal 29.4,2021

朝から体調が悪い。カフェインレスのコーヒーを淹れて、気合いを入れてみるけど、やっぱり体調が悪くてベッドに入った。早い夕方にお風呂に入り、コーラを一気飲みする。夕飯は昨晩仕込んでおいたチキンのトマト煮にしよう。夜に友人が来るはずだったから作っておいたもの。今日は体調が悪くて断った。トマトのチキン煮込みに、グラタン用のパスタとチーズを入れて少しゆっくりグツグツさせて、お皿に盛って終わり。何だか体調が悪い日は甘えたいから。一つのお皿を抱えてスプーンですくい続けるだけ。そういう感じがいい。ぐちゃぐちゃになったパスタに、とろとろのチーズ。力まなくても私の中に優しく入って身体を温めてくれる。そうやってグラタンに甘える。

なんだかよくわからないけれど昨日から言葉が出てこない。体調はやや悪いけれど、心が空のペットボトルみたいに笑っちゃうくらいに軽い。なんだろうこの感じ。すーっごく楽。嬉しいもなければ悲しいも無い。こんなフラットな状態って変なの。シーソーならどっちにも傾いて無い真ん中。変なの。

今朝の夢も変だった。だけど覚えてない。ただ、シーソーの真ん中にいる感じ。


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『わたしを選んでくれる人』4月29日 ” 雑誌の企画で綴り始めた日記 “

来週にサウナに行く約束をした。名前は忘れた人。けど、楽しみ!昨日、瞳ちゃんに教えてもらったウィズっていうアプリに登録。少々、晩酌が過ぎてよっぱらっての事。朝、ベッドの中で思い出す。あ、アプリ登録したんだった。開いて見るとメッセージがいくつか。朝から返信するのは申し訳ないかなって思ったけど、まぁいいやって思って返す。

メッセージが二人くらい返ってきた。一人はなんだっけ、よくわかんないけどプロフィールの文章が素敵だから弟子になりたいって。どうぞって返す。

一人は近所に住んでる笑顔が素敵だった料理家。バツイチで、犬好き、好きな映画はシェフっていうアメリカ映画。シェフで好きなシーンがいくつかあるから、嬉しくなってその事を伝えたらトントンと話が続いた。離婚の話になって「地獄だった。」とのこと。

私の苦い話はあまりしないと決めてたけど、彼も自分の面白くない話はあまりしたくないと言ってたけど、言葉がスルスルと聞こえてくる。だよねぇって思った。それ以上は、話さないで聞かないで頷いた。

刺された傷が治ったとしても、刺された傷跡は消えないみたいに「未来は自分次第だよ」なんて羽ほどに軽い言葉を離婚を知らない人は言いたがるけれど、悪い言葉じゃ無いのは知ってるけれど、その言葉はあまりに軽くってふわりと飛んでゆく。これからこの傷跡は刺された事を服を脱ぐ度に思い出すんだよって喉まで言葉は出かけて、止める。

彼のプロフィールに書いてあった「一人でも楽しいから、結婚願望が強いわけじゃないです。」ごもっともですって思った。もし、私がまだ離婚未経験だったら、なんて身勝手な男だ!と思っただろうけど、そういう事じゃない。これ以上、自分は傷を負いたくないし、見知らぬあなたにも負わせたくは無いんです。だって痛いから。そんな風に聞こえる。だってバツイチだから。本当に一人でいたかったら、傷を負った時点で人間やめて山なんかに閉じこもって、アプリなんてやらないよ。仕方ないよ、生きいなきゃいけないんだもん。だから誰かを愛したくなる。それが人間ですよねって思った。来週に気分が良かったらお茶でもしようって約束をした。

チキンのトマト煮のグラタン
鶏の手羽元
玉ねぎ
ほうれん草
トマト缶
ナンプラー
ニンニク
オリーブオイル
チーズ
グラタン用パスタ

塩豚スペアリブのカレー

『わたしを選んでくれる人』 " 雑誌の企画で綴り始めた日記 ", カレー 19.4,2021

皮付き人参美味しい。口の中で皮を置いて実の部分がするりとする瞬間が楽しくて美味しくて仕方ない。何となく面倒くさくて、皮のまま乱切りにして鍋に放り込んだ。大事だよな。こういう事って。

昼にカレーを作って、夕方はイマムと三茶でお茶をした。セブンっていう昔からある喫茶店。ちょっと仕事の事で話したい事があったから、せっかくだしカレーでもあげようとタッパに一人前のカレーのルーを入れて持って行った。イマムはウェブのフリーのディレクションをしてる。細かい事はよく知らないけど、ナショナルクライアントと色々な仕事をしてるのだそう。知らない単語を色々と教えてもらった。LPとか、与件とか、色々たくさん。それから、提案書っていうのも見せて貰った。全く知らない世界の話を当たり前の様に話すイマム。こないだスノーショベリングの中村さんと、人間は一体に一人しか入れないから寂しくなる。だからこの中に何人かいたら楽なのにっていう話で盛り上がった。よしみちゃんはエヴァンゲリオンを一度みた方がいいって言ってたっけ。そう、だから、人っていうのは世界が本当に狭いものだとやっぱり思う。

同じ頭で一生いかないと行けないから、同じ考えでループするのは想像出来てる。成人を迎えたあたりに、何となくだけどその現実を受け止めたように思う。言い訳をするつもりは無いけど、とにかく狭くて窮屈なのだ。それが自分っていう事になるんだろうけれど、わざわざ窮屈にしてるようにも思う。

どんどん失敗したり、どんどんよくわからない事をやってみたり、急に逆走してみたりとか、流れを流さない事って大事な気がした。当たり前の様に剥いていた人参の皮。剥かないで良かった。

夜、友人が亡くなった事でやりとりをしてた野村さんからメールが入る。野村さんのこの感じ、久しぶりだな。何十通と日記なんだか、メールなんだかのやりとりを過去にしてた。彼は私の知らない事ばかりを教えてくれる友人。男を捨てて男をやってる。そして、長年務めたライターっていう顔を30代も半ば過ぎにぱっと捨て、絵描きになった。自分を捨てて自分を手に入れた愉快な人。久しぶりに会いたいな。彼氏のミッチーにも。


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『わたしを選んでくれる人』4月20日 ” 雑誌の企画で綴り始めた日記 “

もう誰が誰だかわからない。何人とやりとりしてるかも不明。うげ、って思うメッセージが来たら返さない。例えば、容姿に関する事を言ってくるとか。相手が褒めようと放った言葉も、何だかマナー違反な気がして気持ち悪いとなる。自分がどんな人に興味を持つのかよくわかってる。たとえば、イタリア人と結婚して離婚してメキシコ人のパートナーがいたけど今は日本でシングル。実家でバーニーズ・マウンテンドッグを飼ってるというエンジニアの男性。名前は不明。興味津々で話がわりと尽きない。だけど、こういう方はもう止めて置きたい。私を安心な気持ちでいさせてくれる人がいい。

小田原に住んでて、元々世田谷や中目に住んでたという男性も話がわりと合う。生活や文化圏が近そう。センスがいい人が好きだと言ってたけど、一体センスって、て思った。話題のレストランを知ってて、話題の服を来たり、そうゆう事に浸れる人は、センスのいい人ではなくて、ただのユーザーであるよ。なーんて意地悪な事を思ったり。彼のいい所は離婚が大変だった話。微妙なラインの話を出来るのは経験者じゃないと、且つちゃんと苦しんでないと言葉に出来ない。前向きな話などしても仕方ない事などわかってるから、結婚とはお互いを尊重しあってみたいな、教会でバイトの牧師さんが話すような事は人生において重要じゃないってよくよく知ってる。

森下の婦人雑貨デザイナーの方は、メールが直ぐ戻ってくるのが怖くなり会うのを事実上延期。寿司を食べ損ねた事は後悔してる。ここ数日「今日も気持ちがいいね!」とか、急にフランクな感じになったので、ちゃんと敬語で返信。あとは、ドラマ作ってる同い年の人が一人。殆どやりとりもしないままに、とりあえず食事行きましょうと誘われた。背が私と同じくらい。一般的に言えば、超モテなそう。絶対に男臭そう。だけど、そんな所は関係ない。なぜなら、私は今ドラマが見たい。ドラマというものに一切の関心がない私が、連続してみて見たいと第2回目の放送を待望してる。 “大豆田とわ子と三人の元夫”。パリにいるマユミちゃんから、” 面白いよ!” いつもの様にメッセージが入りゾッコンとなった。スポティファイもマユミちゃんのお陰で先日にめでたくデビュー。ありがたくハマってる。私の情報源はパリらしい。タイプで言えば逆輸入型。というわけで、ドラマを作ってる彼に会ってみたい。

塩豚スペアリブのカレー
塩漬けにしておいたスペアリブ
人参
玉ねぎ
玉ねぎを炒める用のテン菜糖
トマト缶
蜂蜜
カレールー
カレー粉
ケチャップ
ソース
シナモン
ローリエ

豚の粕汁

『わたしを選んでくれる人』 " 雑誌の企画で綴り始めた日記 ", 和食 14.4,2021

何だか無性にコーヒーが飲みたい。昨年の秋からカフェインレス生活を始めた。きっかけは自律神経の乱れと鬱。元夫からのバイオレンスな仕打ちに耐え続けた私は私を鬱にした。我慢の限界が来ても身を滅ぼす寸前まで我慢したから。真面目っていうのはどうやら不幸を生むらしい。親に、病院の先生に、友人にどうしてこんな事になってしまうまで我慢したの?って聞かれた。忍耐は美徳だと生まれた時から言い聞かされてきたし、当時の私の生きてる世界では定説だったから。私が世界に言ったら、それは裏切り行為になる。想ってるから自分を破滅させた。

幸せそうな家庭をやめたら、知りたい事が溢れてきて最近は本を読み漁ってる。昨晩は佐久間裕美子さんの ”ピンヒールははかない”、平行して湯山玲子さんや他にも女性著書の生きる疑問?みたいな本を何冊もベッドルームに散らかしてる。ジェーンスーさんのラジオもよく聞いている。女性ばっかりの声を毎日聞いてる。どうして出来る女は苦しむのか。勝手にだけど、そんな風に聞こえてる。私は彼女達みたいに出来る女じゃないけど、こんなに活躍してる彼女達の声がまるで自分の苦しみのように聞こえてきて、安心して床に就く。

佐久間さんは1973年生まれ、湯山さんは1960年生まれ。他にも90才くらいの方の女性の本も読んでる。世代が違うのに女性が生きる事を訴えてる。母は1953年生まれ。母と彼女達も全然違う。今の私は母とは友達にならないなって思った。沢山の女性に会ってみたい。知りたい。

どうしてなのか、家庭をやめたら世界が一気に広がった。外壁を作って家を守ろうと必死になってたけれど、今となってはそれが世界を閉ざしてたように感じてる。暖はとれていたけれど生ぬるい風が浮遊してた。一旦、更地になったら、見通しがよくて、最初は寒かった風も今は心地がいい。それにいい香りを運んでくれる。そうなると知りたい、見たい、食べたいとなる。

とにかくやっぱり今日はコーヒーが飲みたい。穏やかな生活が続く中で、知りたい事がむくむくと綿あめみたいに膨らんでいく反面、それを一気に溶かしてみたい衝動にも駆られれてる。コーヒーが飲みたい。

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『わたしを選んでくれる人』4月15日 ” 雑誌の企画で綴り始めた日記 “

「うんざりしてる。」これが最近の口癖。姉や友人に言い続けてる。マッチングアプリがだるくてだるくて仕方が無い。もう、とっとと終わらせたい。そんなやる気の無い女になった私は絵文字を入れるのをやめた。めんどくさい。聞かれた話題を返却し、気になった話題をお貸しする。そんな端的なオートマティックなやりとり。そうこうしてるうちに、3人の男性とのやりとりがぼんやりと続いてる。

一人は36才、福岡出身の四人兄弟の三男坊。二人目は30才、名前がサウナ好きというのが気に入って、いいねを押した。サウナが好きすぎてサウナの会社を作り、最近は潜入サウナアルバイトをしてるのだそう。三人目は43才、婦人雑貨のデザイナーで森下在住、バツイチ。個人的にはサウナさんがダントツで好物。だけど四人兄弟の三男坊も悪く無い。きっと優柔不断で優しい男だと読んでる。中立的に現場を判断しさっと身を隠せるタイプ。社会性にそこそこ富んでいるだろうから、楽しい話も聞けるかもしれない。婦人雑貨のデザイナーはよくわからないけれど、プロフィールに離婚して大分落ち込みましたと書いてあったので、どんな離婚をしたのか聞いてみたいという興味。すみません。

段々とわかってきた事がある。これは企画でパートナーを見つけるというのが目的だけど、正直欲して無い。だけど見つけなきゃいけないような雰囲気になってしまって、自分でもそんな気分で会うものだから、結局、会った後は敗退のような気持ちで家路につく。待ち合わせの場所もたいがい相手に委ねて、相手が好きな場所?オススメの場所?に行くことが多いけど、正直そこは彼らの文化圏となる。そして、そうか。って気持ちになる。だってパンケーキ好きじゃ無いしとか。なので、今後は自分が行きたい所に行こう。そして、男ではなくって、一人の人間と会うって思ったら楽しめるかもって思った。興味を思うままに開け放してくればいいんじゃないか。ちょっとその作戦でやってみよう。
豚の粕汁
豚バラ 100g
大根 10cm
玉ねぎ 半分
こんにゃく 1枚
小松菜 2束
味噌 大さじ3
酒粕 100g
サラダ油

炒り卵と味噌汁

『わたしを選んでくれる人』 " 雑誌の企画で綴り始めた日記 ", 朝食 04.4,2021

二日酔いで遅めの朝食。
厚焼き玉子を作ろうとフライパンに卵液を入れたけど失敗して炒り卵に、昨日の残りの味噌汁、アボガドと醤油麹とオリーブオイルをあえたもの、納豆、ぬか漬け。お茶。ぬか漬けが酸っぱくて沁みます。

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『わたしを選んでくれる人』4月4日 ” 雑誌の企画で綴り始めた日記 “

目黒のユタカさんっていうデザイナーをしてる方と五反田で会った。行きつけらしい赤提灯に連れて行ってくれた。自転車、デザイナー、丸い眼鏡、黒いTシャツにキャップ。勝手に彼のキーワードを読み取り、友達の彼氏や旦那さんのような柔らかくて今っぽいシティボーイを想像してた。私が好きになるタイプでは無いけど、きっと安全だろうと確信。登場したのは、革靴に革ジャン、TOKIOが履いてそうな擦れたデニムにパールのウォレットチェーン。何故かガックリとなる。私は一体、何やってんだろう。マッチングに期待するなってあれだけ山若君に言われてたのに、小さなオアシスで小鳥が水浴びさえ出来たらいいなんて淡い期待を抱いてた。

ユタカさんは席につき、グラスに注がれた麦酒をぐっと飲むやいなや、急にニット帽を玉手箱を開くみたいにパカーンってお披露目した。「僕、こんなんなんです!」ツルツルの真っ青の真っ白で、そこにはやっぱりシティボーイじゃなくて、小学校の時にTVで見たクリリンがいた。完全にタイミングを間違えたよね?私が口をあんぐりしてる間に彼はじゃんじゃん酒を呑み始めてる。開放感って感じ。スッキリしたのかな。私の無言の問に返信する気配すら無く一人勝手に陽気になっていった。

そうこうして1軒目を2時間程で出て、五反田いち人気だと言うの赤提灯へと向かった。レモンサワーセットを頼み、さぁと呑み始めたた矢先。「よしみさんは、結婚したいですか?」思わず吹きそうになる。だけど、結婚については言いたいことがあるからハッキリと伝える。「結婚が全てだとは思わないです。」って。返答は勿論無し。聞こえて無かったのかな。陽気に酒をじゃんじゃん呑んで、呑んでる。「よしみさんといると、僕はとても落ち着くなぁ。」まるで湯船に浸かってるみたいに気持ち良さそうなユタカさん。しきりに店員さんに「Yes!」と英語で返答してる。Yes以外は勿論日本語。Why?? 「もう帰りましょう!!」急にお会計をお願いして早々に帰宅。きっともう呑めなかったんだろう。翌朝、悪い酒が身体中を犯している最中、携帯を開くと、夜中の3時にユタカさんからメッセージが入ってた。「僕のLINEのIDです。検索して!」数日放置していたら、アプリから退会した様子だった。どんな関係でも、友情でも、仕事仲間でも、恋人でも、何でも、まずは対話、だよねって改めて思った今日。

カレーとぬか漬け

『わたしを選んでくれる人』 " 雑誌の企画で綴り始めた日記 ", カレー 30.3,2021

PMSが終わった筈なのに、寂しさが全身にまだ少し残ってる。先月は抜けたらスッキリしてたのにな。どうしてだろう。目が覚めて、ベッドで梃子をさする。気持ち良さそうにもっとやってと手を動かしてる。写真の仕事、何歳までやれるかな。50、60歳になったら今の様には働けない。ぼんやりと考える。携帯を開くと、メッセンジャーにパリのまゆみちゃんからメール。ドイツ人の記事の話が面白いから読んでって。どうして日本人女性は夫のお金に頼ろうとするのか?っていう話だった。白湯を入れて、ダイニングテーブルに座って、これからの事を考える。これからをどう生きていくか、新しい事を考える事はすごく楽しい。一年前くらい、80歳になっても写真の仕事をしたいと友人に言ってた。馬鹿だな。あの頃の私は、本当に無知で幼稚で無謀。だから、こんな事になっちゃったんだよ。なーんも考えなかったな。愛さえあれば乗り越えられるって信じてた。愛は大事だけど、愛だけでは食べれないし、愛があっても現実を変える事は出来ない。世界は私のものじゃないのに。

午前は写真を納品したり、ちょっと片付けをした。何だか色々が回ってる。占いは、オーラも守護霊も、出来れば信じたいけど、本当に大変な時に鼻をかむティッシュより役に立たなかったから信じない。だけど、目に見えない何かは感じる。世界を回してるのを全身で感じる時がある。リズムみたいにトントンと何かが運ぶように回っていく。今日はそういう日だった。そして、寂しさが横にじっと座ってた。もしかしてずっと居るつもりなのかな。

昼食は冷凍してたチキンカレーにチーズを乗せてレンジで温めて、炊きたてのご飯にかけた。ぬか漬けの古漬を薄くスライスして茶碗の端にのせる。カレーとぬか漬けって、想像以上に美味しい。

夜はみつみちゃんと近所でもんじゃを食べた。美味しいって楽しい。

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『わたしを選んでくれる人』3月30日 ” 雑誌の企画で綴り始めた日記 “

夜にタカシさんからLINE。「恋愛も婚活もする気になれないような事があって、もうアプリもやめます。週末も会わない方がいいと思います。ごめんなさい。」なんていい人なんだろう。私は友達になりたかったんだけどな、だからやっぱり友達になりたかった。私が思ってる以上に世界は怖い場所じゃないのかもしれない。また騙されたらどうしよう。友達じゃなくって、男性と深い関係になるのが怖い。全力で支えても、一瞬で気分が変わった様にいなくなった夫。どれだけ彼の為に時間を使ったんだろう。やらなくていい事ばっかりだったように思う。私が尽くした全ては彼の世界に飲み込まれて、彼の周りや彼のファンへと貢献されたのだろう。本当のところ、当時はそれでもよかったし、それが本望とさえ信じようとしたけど、今となっては全くもって笑えない。一体全体あの時間やあの努めやあの想いは、純粋に支えてきた8年間や、私の存在って一体なんだったんだろう。

ジェーンスーさんのラジオで尊重の話をしてた。優しさと尊重の違い。夫は優しかった。優しい言葉を使うのが上手だった。よくわからない女と仲良くするのを何度も見た。優しい言葉でもかけられたんだろう。とにかく私を隠してた夫。手伝ってた店も、自分がやってると自慢するのをよく見た。実際には彼はバイトみたいに立ってるだけで、私が経営者の様に働いた。

私は全く尊重されてなかったんだよなって今更気付いても遅いのだけど「僕は君が好きだから、そばにいて。」と、何百回と泣きつかれ、ふるい払え無かった自分を呪うしかない。タカシさんとはやっぱり友達になりたかった。そんな真面目にならないでいいのにって思ったけど、尊重ってそういう事なんだろう。交換したLINEを削除した。
カレーとぬか漬け
チキンカレー
ピザ用チーズ
ごはん
糠漬の古漬けを薄く切ったもの


麻婆豆腐

『わたしを選んでくれる人』 " 雑誌の企画で綴り始めた日記 ", 中華 27.3,2021

午前は料理家のエダさんの写真を撮りに渋谷へ行く。いつも明るくて素敵な人。それに聡明。一緒にいて楽しい人って、ホッとするな。エダさんとはもっともっと色々とお喋りしてみたい。会うたびに思う。帰宅してポストを開けると、ビビッドピンクの封筒を見つけた。マユミちゃんからだ。一ヶ月前にパリから送られた一通の手紙。一ヶ月どこにいってたんだろう。時間の間に落ちたね、なんて話てたけど、ようやく来てくれた。手紙とカードとペンを持って近所の喫茶店に行く。窓辺の陽の当たる席が空いてた。嬉しい、ひとり特等席。白ワインを頼んで何度も手紙を読んだ。いつの日か私が言った言葉が中々いいって書いてある。”ネガティブであっていい、ネガティブも抱きしめて、無理にポジティブでいる必要はない”って。マユミちゃんが元気がない時にかけた言葉なのかな。覚えてなかった。

昨日、友人に紹介して貰った方に写真を見て頂いた。正直とても落ち込んでる。多分、今の私にとってはちょっと辛かったんだろう。剥き出しな状態だから、刺激に弱い。最期の希望がまるで失くなったような気持ちになってる。元気な時なら受け入れられるような言葉も、未だ痛かった。あーあ、調子に乗ってたな。この新しい世界と私は仮縫いみたいな状態で繋がり始めたばかり。堂々と世界を歩くのはきっと早かったのかもしれない。

何度も手紙を静かに読む。手紙って本当に不思議。メールだとさっと終わってしまう言葉を何度も読み返し想像する。きちんと手の中に言葉が入るように感じる。最期の方、”あなたは遠くない未来に幸せに暮らすって、予言してる”って書いてあった。何だかな、可愛い人。人には役割がきっとあるんだろう。その人なりのやり方で世界と関わってる。まゆみちゃんはいつもこういう感じ。くすっと感じるような小さいサプライズをくれる。

私は私が言ったように、ネガティブのままでいいんだ。きっとマユミちゃんの預言が当たる日はくる。焦らない。直ぐに幸せに直ぐに元気になりたいけど、そんなに次へ次へ行こうと頑張らなくっていいんだよな。心がずっと激しくボールみたいにどこかに当たっては跳ね続けてる。疲れたな。

マユミちゃんに手紙を書いた。確か、20代前半にベルリンで買ったと思うポストカードに小さい字で、今感じてる事を丁寧に書く。今日が辛い事、手紙に救われた事、気づいたら桜が咲いていた事。2週間後のパリに、時空を超えて今日がどんな風に届くんだろう。

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『わたしを選んでくれる人』3月28日 ” 雑誌の企画で綴り始めた日記 “

あれから友達の友人の夫とマッチングしたアプリはヤメた。そこで会った書く仕事をしてるタカシさんとLINEを交換したけど、LINEはあまりしてない。なんかメッセージを頑張るのが怠い。それに夜にただいま、朝におはようなんて、見知らぬ男から四六時中アラームのようにLINEを鳴らされても困る。もう一つのアプリは何となく稼働中。山若くんの「自由にやって」という言葉を十分にはきちがえて、ただただ失礼な女になってしまった様にも思う。男の人ってロマンな生き物だから、犬を抱き抱えて微笑む女の写真にこっぱ微塵に、ざくざくと微塵切りにされたらさぞホラーだろう。今更ちょっと心が痛む。何となく既読スルーにしてる人が数人。今日まで何となくメッセージしてる人が一人。ユタカさんっていう広告関連の人。デザイナーだろうと風貌から推測。フツーのやり取りをしてる。

粕汁の作り方とか、酒を飲むかとか、お酒が不味くなる様な酒場が私は嫌いだとか、ユタカさんが自転車で飲酒運転をして転んで顔面を擦りむけたとか、そもそも飲酒運転は良くないとか、適当に気張らないメッセージをしてる。良かったらお茶かお酒でもって数日前に連絡が来て、友達に返信するみたいにOKって返した。酒場が嫌いな事に関して理由を聞かれたので、隠すのも面倒だし、元夫との離婚の原因が酒だと伝えると、自然にメッセージはいつもの様に続いた。この人は何かを経験してる人な気がする。余計な事は聞かないし言わない。こういうバランス感覚って経験して無いとわからない。子供みたいに「何でどうして?」と聞いたり、昼過ぎの主婦の様に「可哀想〜」と空の同情をかけたり、付き合いたての男が直ぐに結婚を口にする様に「俺なら君を守る」みたいな綿飴くらいやわい言葉も言わない。

麻婆豆腐
豆腐 1丁
豚こま肉 粗くみじん切り
ニンニクの芽 3本
ピーマン 2個
にんにく・生姜 1片
豆板醤 小さじ2
醤油 小さじ1
ナンプラー 大さじ1
片栗粉
鶏ガラスープ カップ1
塩・胡椒
胡麻油

キムチ鍋とひじきご飯

『わたしを選んでくれる人』 " 雑誌の企画で綴り始めた日記 ", エスニック 17.3,2021

今日は久しぶりに営業に行った。
コロナになってから、3、4本続けてた連載は全て打ち切りになって、定期的に撮ってた媒体もストップ。仕事は半分以上失くなった。コロナだから仕方無いって思ってたけど、何だかちょっと違う気もしてきた。この1年で担当者が辞めたり、移動したりする事も多くあったように思う。だけど、そのせいでも無い気がしてる。前に師匠が「どうしてこんなに自分はいい音楽の写真を撮ってるのに、自分よりずっと下手くそな人がそれを撮ってるんだろう。自分ならもっといいのが撮れるのに」っていう話をADの人と話してたのを聞いた事があった。当時は何を言っちゃってるんだよって思ったけど、最近同じ事を思った。料理が好きだから、料理が好きじゃない人よりずっとずっといい写真が撮れる自信があるし、どうしてこの料理を見てない写真が選ばれてるんだろう。どうかしてるよって。料理を見てる人と、見てない人と、すぐにわかる。ファッション的に撮ろうとする人も多い。料理を見てって思う。雰囲気を撮るのはいいけど、料理は食べる物だから。食べる雰囲気を撮らないと。偉そうにいいたく無いけど、好きだからそう思っちゃう。

編集の方と話してて、見えてくる事があった。料理写真を始めてから数年。コロナ前はとにかく忙しくて来る日も来る日も料理を撮りまくる毎日だった。それがもうゴールな気がしてた。今までの写真を見返すと、よく撮れてるのもあるし、まだまだ素人っぽいのも沢山あった。少し世界が広くなったように見える。料理写真はこれからなんだって。

人に写真を見せるって本当にいい。見せないとわからないし、見せて初めて写真になっていく気がしてる。何だか今日の私は偉そうだな。何なんだろう。会う人や起こる出来事でどんどん気持ちよく回転していける。夜は近所のみっちゃんと、三茶に住んでる編集の金さんが遊びに来てくれた。三人でキムチ鍋。キムチは先週に漬けた物を全部使った。

夕飯
キムチ鍋
ゆりねとひじきのご飯
カブとピンクグレープフルーツのサラダ
カボチャと手羽先のアニスの煮物
みっちゃんのお土産のジーマミ豆腐、イカ焼き、おやつ
金さんのお土産の大量のビール

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『わたしを選んでくれる人』3月17日 ” 雑誌の企画で綴り始めた日記 “

山若君が進行中にしたやりとりをまたことごとくストップさせた。だけど、装わないでいいっていうのは遂行してる。一つショッキングな事があった。ここ数日やりとりしてる人が、友人の友人の夫だった事がわかった。たまたま、マッチングアプリの話をしてて、この人だよって写真を見せたら固まる友人。「この人、友達の旦那さん… 」こんな事ってあるもんだ。目を見合わせてギョッとして、笑った。その奥さんには本当に申し訳無いけど、笑ってしまった。ダサい男だなとは思ってたけど、まさか既婚者とは。なんだか私が情けない気持ちになる。歳は私と同じくらい。「これは、きっと神様のお告げだよ。」チャンスだと思うって事を友人に言った。きっとその男は永遠にそんな事を続けるんだろう。だから、きっと今回の機会はその夫婦にとってチャンス。だと、いいな。

浅草でパン屋を営んでいて週末は山梨に農業の研修に行ってるという男がいた。「どんなパンを作ってるんですか?」って聞いたら、もう一年前に辞めて今はレンタカー屋で働いているとの事。なんで、しょっぱなで嘘ついたんだろう。同い年で音楽のSNSを作ってるっていう男がいて、饂飩の話をしてて楽しかった。一人っ子のAB型。姉にマッチングの事を報告すると「一人っ子は絶対にNG。わかってるよね?」うん。一つ返事で削除した。私の知ってる一人っ子の男、元夫は殴り方を知らなかった。戦う術を一つも持っていない。「俺の言う通りにして」の一択で、後は怒る、喚く、叩く。とにかく戦えなかった。愛はどこまでいっても愛でしかない。大切なのは愛よりも、戦う智慧。楽しく戦う智慧だと思う。

誰かと出会う日は遠いいな。だって探し人がいないもの。それに、馬鹿な男や悪い男に興味が無くなった分、より一層に見つからない。ひと昔の私なら未知の世界にずぶずぶと足を泥だらけにして入っていけた底なし沼だけど、今となっては沼をチラッと覗こうとしただけでも安全装置が鳴り響く。

何となくわかってきてる。安全装置が鳴り響くのは安全そうじゃ無い人が現れた時。自分に優しくない人は、他人にも優しくない。ケチな人は自分にもケチ。自分に嘘をつく人は他人にも嘘をつく。だから、安全っていうのは、平和ですか?って事。あなたはあなたでいて、平和ですか?っていう。

もやしご飯

『わたしを選んでくれる人』 " 雑誌の企画で綴り始めた日記 ", エスニック 16.3,2021

編集の山若くんが打ち合わせとランチをしに家に来た。残り物のチキンカレーと、豆もやしご飯、先週に漬けたキムチ、スペアリブと大根の花椒煮、ぬか漬け、大根の皮と人参の金平。家にあるもので準備した。山若くんはヴィロンのパンを買ってきてくれて、偶然にも私の好物、パンオショコラが入ってた。嬉しい。

ご飯を食べて珈琲を入れた。本の話や、今進めてるマッチングアプリの話をする。出版の事をちゃんと知った方がいいと思って流通の話を教えてもらった。出版社に就職すると、新入社員は本屋での研修があるんだそう。そこで、本がどう売られていくかっていうのを現場で見る。その時に感じた事を教えてくれた。取次っていう役目の人から本が本屋に送られてきて、そのダンボールを開けて、コーナーに置いていく。どさっと来て、本棚に置いていく。とにかく忙しいから、その本の中身を見る時間も無いし、その本がどんな人が書いてるのかもわからない。どさっと来て、どんどん置かれてゆく本は、本当にその場所でお客さんに出会えるかわからない。残念な事だと思うって。面白いな。初めて知った。

それから、どんな本にしようって本棚にある本を触りながら、紙の事や、お互いに思ってる事を話す。私はここ数日に考えてた事を言った。アートな本にしたくない、今まで話してた様な写真の間に文があるような本は何だか違くて、もしかしたらエッセーの様な形でいいんじゃないかって、写真を見せたいし、写真集が作りたかったけど、この本には合わない気がしてる。写真はそんなに要らないかも。それくらいの気持ちでいいのかもって。うーん、難しいって言った。とは言ったって、やっぱり写真を見せたい気持ちがどこかにあるから。

「エッセーいいじゃん!!!」ニヤニヤして嬉しそうに山若くんが言った。実はエッセーがいいんじゃないかって思ってたんだよ、って。写真は数枚だけ、本の最初か最後とかにまとめて。裁ち落としじゃなくって、ちゃんとエッセーと同じテンションになるよう余白を入れて見せる感じがいいと思う。イメージが湧いたみたいで、メモ帳とペンを取って、スラスラ何かを描き始めた。楽しそうだな。こういう時間がいいなって思う。やっぱり、楽しい時間が好き。

次にマッチングの話をする。もうどうにもこうにも、自分の素性を明かさずに誰かと知り合うって難しい。それに、もう一つのアプリで素性を明かして始めた事を話した。「そもそも、出会えないよ。いい人には。」山若くんが言った言葉に驚く。だって、私が自分の世界を失くして、私を知らない誰かと出会って、自分の持ってる世界じゃない場所で短くてもいいから恋に落ちて欲しいっていうのが企画の希望なのに、出会えない?何だか、わかった気がした。自分を隠して装って誰かと会っても、お互いにそんな事をやっても出会えるわけが無い。それをどんどん壊していってとの事。どうせ一生会わないんだしさ、気持ち悪い事言われたり、変な人がいたらどんどん、嫌だって言っていこう。たいがい、いい人なんてそこにはいないんだから。アプリへの偏見じゃなくって、自分にとってのいい人っていう意味だと思う。自分をよく見せたいより、相手を知りたい、そういう勇気が新しい世界を作る。そういう事を言ってる気がした。それにしたって、私の携帯を渡してからもう2時間は経ってる。ソファーに座って、何の駄菓子が好き?とか、おすすめのつまみを教えて!とかメッセージのネタを聞きながら、楽しそうに沢山の男とやりとりしてた。山若くんが帰ったのは18時過ぎ。疲れたー!って言ってた。そりゃそうだよ。ビールを飲みながら、バトンタッチしたメッセージを続けたけど、ビールを飲み終わる頃には面倒になって止めた。

明るい毎日が続いてる。友達が楽しい事を運んで来てくれる様に思う。私が明るくなるだけじゃない。恋が始まりそうでワクワクしてる友達がいたり、ずっと音楽を頑張ってた子がビッグカンパニーの仕事をゲットしたり、嬉しいニュースも入ってくる。心の裏側に黒い物がまだ隠れてるけど、私は明るく行こうと思う。

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『わたしを選んでくれる人』3月16日 ” 雑誌の企画で綴り始めた日記 “

先週の土曜日、雨はザーザーぶりだった。喫茶店でKさんと待ち合わせして、1時間くらい話したと思う。率直な感想。写真やメッセージと全然違う。穏やかなイメージは一瞬で消えた。お喋り爆弾だ。ずっと爆弾を投下してる。私はあまり自分の話をしない方だと思うけど、それにしたって、とにかく永遠に聞いた。穏やかな純喫茶でぐったりとした1時間。

新しくメッセージのやりとりを始めた人で同世代のカメラマンがいる。何でも撮るって聞いて、その言葉が気になった。仕事上、色々な物を撮る機会っていうのはあるだろうけど、好きで押すシャッターなのに好きを委ねてしまってもいいの?

何だってそう、何が好き?って聞かれて、何でも好きとか、何でも食べますって言ったら、本当に食べたい物を誰かに食べられちゃうよ。それに、好きだからこそ一番美味しい所を知ってるのにな。

家に遊びに来た山若くんが猛烈に沢山の男とマッチングして、私が返していないメッセージをじゃんじゃん返して、膨大なメッセージを進行中にした。「こいつは日本語下手だからダメ!」その男は、僕は群馬出身で、群馬在住ですって書いてあった。思わず吹いた。新しい人で面白い人がいる。趣味がラテンダンス。その人は南米を放浪してて、その時にラテンダンスを覚えて、今でも嫌な事があった時とか朝起きた時にラテンダンスを踊っちゃうんだそう。最高じゃん!って二人で大笑いした。それから、前にメッセージしてた編集の人。料理が趣味で話が合いそうって思ったけど、何だか面倒になって放置してた人。これも山若くんが、むちゃくちゃなメッセージをしてやりとりが復活。よくもまぁ、その男も返信したよって思う。その勇気に賞賛。ミオちゃんに教えて貰った昆布を週末に買いに行こうと思うので誘ってみた。
もやしご飯

豆もやし
鶏ガラスープの元

もやしご飯のタレ
にんにく 1片
醤油 大さじ2
砂糖 大さじ1
すりごま 小さじ1
ごま油 小さじ1

青菜と柚子胡椒の焼きそば

『わたしを選んでくれる人』 " 雑誌の企画で綴り始めた日記 " 09.3,2021

姉の鬱が酷い。
本人は気づいてない。自分はプチ鬱だと言ってたけど、完全に鬱状態だと思う。病院で鬱を診断されて、鬱の本を読んだり色々を知る事になって、鬱の人と接しても「鬱なんだ、可哀想だね。大変だね。」っていう風にはならなくなった。今まで持ってた印象とは全然変わった。寧ろ、身の回りに鬱症状だと思う人が沢山いる事に気づいた。だけど、私も含めてだけど鬱は風邪の様にいつしか自然に治る。人それぞれの症状だけど、定期的に鬱っぽくなる子を思い出してみると、例えるなら左利きみたいに、ただの身体の癖の様にも思う。それが何かの歪みで深い所まで行く事もきっとある。もしくは、私や姉の様に強烈なストレスが短期間でかかった時に起こる鬱。どちらにせよ、風邪と同じ。身体からのSOSみたいに、熱を出して身体を冷やそうとするみたいに、思考過ぎる身体を全力で止めてあげる。止まってしまうのは生きる為だと思う。毎日のその先、道端にそっと置いてあるみたいなのが鬱なんじゃないかな。誰でも人である限り、思考して感じる限りなる気がする。よく真面目で几帳面な人がなりやすいと言われる理由もわかる。思考する自分から寄り道出来ない人。回転をバラしてあげればきっと抜けられる。

だけど、姉はよく生きてると思う程に苦労をしてるし、頑張ったと思う。強いし、決して逃げたりしなかった。こんなに苦労しても腐らない人はまずいないと思う。ちっちゃいって言ったら失礼だけど、些細な悩みで腐ってる人なんて山ほどいるのに。だけど、別に人生、腐ったっていいとも思う。自由だから。選べるから。その代わり、私に愚痴らないでねって。愚痴は悪臭だから厭。いい香りのする人といたいから。

美味しい物を食べよう。美味しい物を食べてたら、美味しい香りがしてくる。育ちや教養、持ってる物が全てじゃない。だけど、自分を腐らせるような人は不味くなるに決まってる。

病気は恥ずかしい事では無いし、生きてるから病気になる。自然な事。それよりも、腐らない事の方がずっと大事に思うな。

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『わたしを選んでくれる人』3月8日 ” 雑誌の企画で綴り始めた日記 “

土曜日に会う予定のKさんからメッセージがきた。時々しかメッセージのやりとりをしないKさん。やっぱり好印象だ。絵の展示に行って、とても面白い内容だったのでリンクを貼ってくれて是非という事だった。私は今夜は早々にベッドに入って読書をしています。みたいな返答をしたと思う。

丁度、ミツミちゃんとアプリの事でLINEしてた。やっぱり写真は真だなって話とか、メッセージのやりとりがおかしな奴は会ってみたら、必ずヤバイとか。マッチング初心者としては、中々、学びとなる話を色々とご教授頂く。それから、「そもそも、見ず知らずの人に何をメッセージしていいのかわからないんだけど?」って尋ねてみると、「会うまでの信頼感」と返答がきた。なるほど。確かに、人として関係性を上手に運べるかっていう事だ。納得した。

それにしたって、写真やメッセージだけでその人のなりがそこそこ想像出来てしまうっていうのはスゴイ。身体っていう形や言葉っていうコミュニケーションツールがどれだけその人を表現してるのかがよくわかる。後は空気。空気をどう扱うか。気が合う人っていうのは一緒に同じ空気を感じれる。恋をしてきた人はいつもそうだったと思う。多分。だけど、だからって、それが何ってわけじゃない。恋だとしても、空気が一緒でも違くても、結局は終わっちゃうから。

発酵白菜と塩豚の鍋

『わたしを選んでくれる人』 " 雑誌の企画で綴り始めた日記 ", Journal 06.3,2021

サミットでビールを買って帰った。
冷蔵庫を開けるけど、なんだかな。とりあえずお風呂。昨日茹でたブロッコリーをマヨネーズにつけて、かじりながら冷蔵庫を眺める。先週に常温で漬けておいた発酵白菜。少し黄身がかかっていい色してる。一口食べてみると、最高に酸っぱい!今日は鍋だな。何日か塩漬けにしておいた塩豚が冷蔵庫の奥にある。一緒に発酵鍋にしよう。ビールを飲みながら、鉄鍋に塩豚を放置。一時間くらい煮込みながら、メールをする。2本目は酎ハイ。水が減ったところで、発酵白菜とその汁を鍋に入れる。あー勿体無いって思いながら入れた。本当はそのまま全部食べてしまいたい。今はちょっと酎ハイを飲みたいから、グツグツさせておく。もう少ししたら春雨を入れて、美味しい煮汁を吸わせよう。

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『わたしを選んでくれる人』3月6日 ” 雑誌の企画で綴り始めた日記 “

来週にKさんっていう男性と本屋に行く約束をした。何か動き出さねばと思って、何となく誘ってみたら数日を置いて、行きましょうってなった。何だかとても好感が持てる。今日はインテリアコンサルのYSさんと表参道でお茶をした。朝、姉に今日はデートをしてみると電話で伝えると、姉は異常に楽しそうだった。「私もするから、そのアプリ教えて!楽しそうじゃん!」だって。

若い時は早くに死にたいと思ってたけど、最近は出来るだけ長く生きながらえたい。おばあちゃんになったら、姉と一緒に住みたいと思う。お茶とか饅頭片手に、最高に楽しい時間が想像出来る。史上最悪に苦しかった事をお腹を抱えながら話すんだろうな。YSさんは写真通りの人だった。目の前でパンケーキを頬張りながら楽しそうに話してる。だけど、私の目の前に座っているのは彼じゃない。窓の外の空を何度も見た。見知らぬ男といる度に私の目の前に座る夫。まだまだ私は囚われてる。あの窓から地面に向かって飛び降りてしまいたい。

3月5日

『わたしを選んでくれる人』 " 雑誌の企画で綴り始めた日記 ", Journal 05.3,2021

午後から市川で撮影。楽しかったな。
本当に写真があって良かった。写真は楽しい。それに写真の仕事で会う人も、仕事も。何だかとても穏やかになる。

姉から今朝LINEが入ってた。一昨日の夜中に離婚を後悔してる事を吐露した。「まだ彼の事、想ってるんだ。だけどリレーションシップがなかったよね。大事な事だよ。」姉からの返答。わかってる。私もそう思う。

今、まだ彼を想ってるのか、ただ今が苦しいから過去に戻りたくなるのか、正直どっちなのかわからない。企画で始めたマッチングでさえ、何だか後ろめたい気持ちになってしまう。もう誰とどうなろうが自由なのに。

姉は彼が結婚式直前に気分で会社を辞めてきた事を嫌がっていた。私は仕事なんて重要じゃないよって伝えたけど、姉が嫌がってたのはそういう事じゃない。今になってわかる。家族の約束を平気で破るのも、嘘をつくのも、夜中飲み歩くのも、定職につかないのもそう。他にも沢山沢山あった。地方ツアーだという旅行も赤にならなきゃいい方だと言ってた。飲み友達に貰ったお金で隠れて作った会社や店の事も。保健所に通さない飲食店をやってるのもそう。家出してからは、CEOと名乗ってると聞いたけど所得税だって払った事がない。どうやったらCEOなんて言えるんだろう。とにかく夫婦で一緒に幸せになる話をしたかった。何度お願いしたんだろう。PMSからすっぽり抜けた私は、姉の一言でスルスルとまた色々がわかってくる。リレーションシップか。どんなに信じても、どんなに希望を持っても、そんな物は結局意味を成さなかったって事。

記憶を勝手に書き換えようとする私がいる。良く無いな。この事はきちんと清書してでも取っておこう。こないだ春名さんも言ってくれた。「私は覚えてるよ。」あの言葉も心にとても響いた。真剣に話を聞いてくれた人達が、今、私にくれる言葉はいい。

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『わたしを選んでくれる人』3月5日 ” 雑誌の企画で綴り始めた日記 “

企画で始めたマッチングアプリは相変わらずサボってる。無理してまでメッセージを送る事に、げんなりして、げんなりしてる自分がまた嫌になった。先日に友人が数人遊びに来た時に、話の流れで友人がマッチングアプリに登録し始めた。

ひと昔前まではちょっと卑猥なイメージがあったけれど、今では隣にいる友人が普通に始める。そんな時代みたい。私も二つ目のアプリを始めて見る事にした。

それから数日、メッセージをやりとりし始めた人が何人かいる。インテリアのコンサルをしてるYSさんって人に「よしみさんは優しいね。」と言われた。それは、不倫や浮気は好きじゃ無いっていう事を伝えた時の返答だった。誰でも、知らない人だとしても、悲しい世界を見たく無いって感じの事を書いたと思う。私がトラウマだと思って苦しんできた事が何だか肌に定着してきてる。私は別に優しい人ではなくて、ただ、本当にイヤ。死んでも見たく無い。胸が痛くなって傷が疼くから。自分だけが幸せになれる世界なんて無いって思うから、私がいたいのは陽が当たる場所。

バナナチーズトースト

『わたしを選んでくれる人』 " 雑誌の企画で綴り始めた日記 ", パン 24.2,2021

午前から神保町で編集の高木さんと取材。それは聞いたある事があるけど、口にはどうにも出て来ないゲームの有名な女性の方を撮った。ライターの男の子が「こういう取材は慣れませんか?」みたいな事を聞いてた気がするけど、明らかにその子の方が緊張してた。やっぱり、人に話をする時はPCとか紙じゃなくって、ちゃんと見た方がいい気がする。たまに思う。有名な女性の方は、最初から最後まで男の子を見て話していた。

世界大会の話とか、どうやってメンタルを保つかとか、海外での身体やマインドのコンディションの整え方とか、とても面白かった。途中に自分が身体が弱い事、実は癌だった事、抗がん剤を飲みながら大会に挑んだ話を聞いた。もっとそこ、男の子、聞いたらいいのにって思ったけど怖かったのかなって思った。男の子は大変だった時期はなんちゃらって早々に終えて次へと進めた。そういう時期に抗がん剤を飲みながら大会に出る。どうかしてると思うその話を私は聞きたかった。いつ死ぬかどうかわからない状態で試合に挑む。だけど、脳がアウトになったら勝てない。だけど身体の話でもある。だけど心にもそれは繋がって負けてしまう。わからなくなった自分の身体と戦う時間の話をもっともっと聞きたかった。

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『わたしを選んでくれる人』2月25日 ” 雑誌の企画で綴り始めた日記 “

なんとなく返信だけは続けてる。和食の料理人のマサさんは、相変わらず毎日メールをくれる。基本的には挨拶のみ。何をやってるかわからない会社員のKさんはメーカーの広報だった。話はそこそこ続いてるし、興味を持てる話題が続いてる。昨日、メッセージが来たタカシさんはプロフィールの文章が面白かった。冒頭から、なんだろうこれ?で始まって、読み進めていくうちにこの人は言葉の仕事をしてる人なんだろうって直ぐにわかった。思わずくすっと笑ってしまったので、一歩取られた!と思って直ぐにメッセージした。
私のプロフィール写真に一緒に載ってるテコの話になって、名前が変わってて気になるっていうので教える。東北地震が起きて色々が不安だった時、ちっちゃな子犬をある日に譲り受ける事になった。こんなに小さいのにまるで大きな愛みたいにホッとして温かい気持ちになった。何だか梃子の原理みたい!って。それでテコは梃子になった。たかしさんは、それを聞いて大層に喜んでた。楽しい人。
バナナチーズトースト
食パン
バナナ
チェダーチーズ

豚キムチ

『わたしを選んでくれる人』 " 雑誌の企画で綴り始めた日記 ", エスニック 18.2,2021

やっぱり嫌な夢でうなされて朝が来た。昨晩に聞いた話でまた過去にトリップする。映画みたい、同じシーンが巻き戻されて何回も何回も流れてる。

誰かに聞いて欲しかったけど、友人にメールしようって思って携帯を開いたけど止めた。不幸を撒き散らしても誰も、私だって幸せにならない。代わりに姉におはようと一緒に、ささっと昨晩に起きた事と、気にしないで今日も頑張るって伝えた。

今日は集英社のスタジオ。初めてだから楽しみ。私はライティングが組めないけど、スタジオにはスタジオさんがいるから大丈夫。立派に組んでくれたセッティングで気持ちよく撮れる。それに写真をしてる人とお喋り出来る事が嬉しい。

撮影の合間にスタジオさんに聞く。何のカメラ使ってるの?とか、何撮ってるの?とか、誰の写真が好き?とか。

それから、「多感な年齢の中にいて、こういうよくわからない時代に生きる事になって、今を過ごす事や、それで写真を撮るって、何を撮るの?」そんな感じの下手くそな質問を聞いたと思う。返答はすごく良かった。

色々と感じて、自分でもよくわからない。周りには想わない人も多いけど、自分は想う事が何だかある。今しか無い事は感じてます。色々と撮ってます。みたいな回答だった。スタジオさんだからきっと20代だと思う。話してる全てが溢れてて気持ちがいい。

撮影の帰り、携帯を見ると姉からのLINE。「大丈夫?」って。姉は私より感情的になる所がある。色々を知ってるから、姉もきっと過去にトリップしちゃったんだろう。少し怒って、そして悲しそうだった。追いかけてくるように未だに私に降りかかる何かがあっても、あっても、走って逃げればいい。離れればいい。厭だから避ければいいだけ。「大丈夫だよ。私は自分で今を選べるから。それから即興で何か曲を作って送って。」とメールを返信した。

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『わたしを選んでくれる人』2月18日 ” 雑誌の企画で綴り始めた日記 “

和食の料理人のマサさんに「どこかの月曜日に、イタリアンを食べませんか。」と誘われた。朝に夕方に晩にメッセージをくれるけど、一体いつ仕事はしてるのだろうかとやや心配になる。返信はあまりしない。会社員のKさんはなんの仕事をしてるんだろう。まだメッセージ数回だけど、話が合いそう。好きなものや見て来たものが近いのかも。年齢は2,3才下だった気がする。過去に同じ趣味を持つ恋人を持った事がない。いつも180度世界の違う人。宗教家、僧侶、病気、ミュージュシャンwith依存症。ミュージュシャンまでは、わりと良い人達だった。宗教家については最高な人格者でディズニー映画のシンデレラみたいに、森に入った途端に動物が寄ってくるみたいに心優しい人だった。きっと幸せに暮らしてるんだろう。自分がどんな人を好きになるのか全く検討もつかない。ただ、世界が違う人を好きになりたいのかも。そう思うと、AIでマッチングされた人とはいい友人になれそう。
豚キムチ
豚肉
にんにく すりおろし
豆もやし
よく発酵が進んだ酸っぱいキムチ
ごま油
魚醤
みりん

2月17日

『わたしを選んでくれる人』 " 雑誌の企画で綴り始めた日記 " 17.2,2021

たまちゃんが作ってくれた鍋を食べてる途中だった。一瞬で全身が硬直した。心臓が今にも破れそう。夫と関わる全てから離れた筈なのにどうして。

夫の友人に会ったんだそう。私を心配してるだの、なんだのって。そのまま、夫についての話は続いていたけど後はあまり覚えて無い。とにかく器の中の何かを口に運んで、運んで、「その人は嫌いな人だから。」と伝えた。

その友人は暴力の事はずっと知ってた。だけど、それ以上は何も考えたくない。

今までの人生で酷く傷つく事は沢山あっても、人を信じたく無いと思ったのは初めてだと思う。

平穏な毎日が一瞬でまた真っ黒に襲われる。二度と関わりたくないし名前を出すだけで吐きそう。あの世界には二度と関わりたく無い。

共依存の本をぽつりぽつりと読んでる。夫婦や親子関係における共依存は、日本の文化背景がある事。それは生きる為に必要だったから備わった感覚なんだと。

いつも夫の名前や、子供の話ばかりを続ける友人達の顔が数人思い浮かんだ。中には私に共依存を教えてくれた子もいる。母であり妻であるから耐える事が、家族の幸せになる。女性がそうしないと生きられない時代があって、そうゆう親を見て育った女の子達は自ら我慢とゆう選択を選ぶようになるのだそう。

「病気だから仕方ない。」「子供の為だから仕方ない。」「私は妻だから。」それが共依存の答え。その言葉の上澄みからは平和な音が聞こえる。

父親に殴られて育った男の子は、暴力を権力として、自己表現の一つとして、親から学んだ生き方を自分もやる。弱者を殴る。女や子供を。

彼もそうだった。お酒が入った深夜、強そうな人には悪態でさえつかなかったけど、タクシーを乗ると直ぐに運転手に激憤した。家につくまで私は通りに光る街灯を見ながらじっと黙った。翌朝に話せば、空のごめんねだけ。いつも。

私は自分の世界を捨てたんだ。
依存したくなかったから、捨てた。本を読んでわかった。それに共依存は生きる術だって事も。決して非難するような事じゃない。世界は、生のある全ての物は、明日を生きるために今がある。病気でもそうじゃなくても、それは問題じゃない。その人にとって生きやすい方を選んだって事。お酒を飲み続けて死んじゃったら、そう生きたかったから。可哀想なんじゃない。やめられないのも生きる為。そしてそれを支えるのが役目だと信じるのも生きる為。

よく誰かが、私は夫の世話を焼いてばかりいると言ったけど、本当はそうじゃない。私は、フェアになりたくて、自立して欲しくて、彼を放った。その度に彼は私に助けてとお願いしてきた。子供みたいに立ち上がる私の裾にしがみつく。何度も何度も、断った。誰も知らない事。どうして助けたの?と聞かれるけど、べったりと助けてきたわけじゃない。何百回と悩んで突き放した。

明日は朝が早いからと家路についたけど、帰り道は寒くて真っ暗だった。すごく厭な夜。お風呂に入って、髪を乾かしてる時に思い出す。「よーよは、幸せな家庭に育った人なのだから、幸せになって。」雑誌の編集長をやってる兄の親友、栗さんが言った言葉。うちの家族の事をよく知ってる。全てじゃないけど私が苦しんでた日々を知ってる。離婚する前はこの言葉に後ろめたさがあったけど、今は私に勇気をくれる。

朝になったらきっとこの暗闇は明ける。

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『わたしを選んでくれる人』2月17日 ” 雑誌の企画で綴り始めた日記 “

すっかり嫌気が指してたマッチングアプリ。
メッセージだけを交わす実存してるのかしてないのかわからない自分に嫌気がさしてきた。企画の趣旨「自分の世界を捨てて誰かと出会って。」と言われても、難しい。だって、私はもう世界を捨てたばかりで、写真と梃子だけ連れて来たここが新しい世界だ。大事だった友達は消えて、新しい友達が増えた。住む場所も変わって、名前も変わって、クレジットカードもマイナンバーカードも名刺も家族も変わった。一瞬で変わっちゃった。だから、わからない。最近は和食の料理人と何やってるかわからない会社員の人とメッセージを時々やりとりしてる。本当に誰が誰なのか、私の今もわからない。

キャベツの春巻き

『わたしを選んでくれる人』 " 雑誌の企画で綴り始めた日記 ", 和食 08.2,2021

私の記憶が忘れたくないって言ってるようにしか聞こえない。まただ。どうして、こういうニュースを目にしちゃうんだろう。マックの元会長の暴力事件。暴行を受けた奥さん自ら警察に通報をした。

彼の周りの人は誰もが彼を好きで、誰もが彼を慕って、誰もが彼は優しいと言った。彼は可愛い、彼は素敵。いいアーティストで才能があるからって。私だけが知ってる彼を、彼じゃない彼を、誰かや世界に言う隙なんてこれっぽちも無かった。それに、言いたくなかった。妻だから、想ってるから、世界に言えない日々だけが積み重なっていった。

人に相談し始めた時に、誰もが我慢する事無いとか、あなたの人生を考えてとか言ってくれたけど、24時間我慢してたわけじゃない。24時間平和な日も、普通の夫婦だった日も沢山あった。

ニュースの奥さんは今どういう気持ちでいるんだろう。私みたいに、後悔と不安と安心の中にいるのかな。

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『わたしを選んでくれる人』2月8日 ” 雑誌の企画で綴り始めた日記 “

ichiroさんから深夜に「一緒にいたかったな」ってメッセージが入ってた。男の人っていうのは、深夜にこういう言葉を言いたがる。私は彼の事を殆ど知らなければ、まだ実物にも会ってない。アプリを閉じた。

何だか、出張あたりからまた調子があまり良く無い。思考が思い出や苦しみに侵略されっぱなし。今日のしいたけさんの占いに、” 今週は今までずっと頑張ってやってきたんだけど、急にぎゅっと苦しくなるかもしれないけど、気にしないでください。” って書いてあった。苦しくてもいいんだ。何だか、たかが占い、されど占いだけど、少し楽になる。こんな事、おかしいのはわかってるけど、ここ最近は本当に疲れちゃって、頑張るのも疲れちゃって、「死にたい」が口癖になってた。絶対に死ねないのはわかってるし、結局頑張らなきゃいけないんだけど、ため息が出る度に心の中で言った。犬の遠吠えみたいなものかもしれない。吠えてないと落ち着かないみたいな。

撮影の帰り道、youtubeでカネコアヤノちゃんを聞いた。シマさんにはあれからメールは返してない。シマさんを思い出して、カネコアヤノちゃんを聞いたのかな。よくわからないけど、聞いた。マンションに入る時、いい夜だなって。イヤホンからはカネコアヤノちゃんが何かを吠えてる。すごく気持ちがいい。台所に直行して、朝に作って置いた春巻きを揚げ始めた。ビールを開けて、春巻きをひっくり返す。いい色だな。シマさんに伝えよう。ありがとうって言いたい気分だったけど、急にありがとうも驚くだろうから、「ライブに行きたいですね!」って送った。

菜花と塩豚の水餃子

『わたしを選んでくれる人』 " 雑誌の企画で綴り始めた日記 ", エスニック 06.2,2021

リリさんと成田君が家に遊びに来てくれた。
歳は10以上離れてる友人。2人共編集者。近況報告や、真面目に言葉や編集の話とか、下らない話とかを6時間くらい。気づいたら深夜12時を過ぎてた。夕飯は、塩豚と大根の花椒煮、焼長芋の炊き込みご飯、菜花と豚の水餃子、手羽中と南瓜のアニス風味煮を作った。後は成田さんのお土産の麻婆豆腐とポテサラ、ザーサイに、リリさんが持ってきてくれた微発泡のワインと焼き菓子。

朝が来て少し未だお酒っぽい感じ。最近ちょっと飲み過ぎてて体調が悪い。ミオちゃんと駅前の喫茶店で打ち合わせがある。洗濯をすませて、バナナとベリーと豆乳でジュースを作り、一気に飲み干してから家を出た。

ミオちゃんのお姉ちゃん家がちょっと大変っていう話とか、私が最近企画で始めたマッチングアプリの事とか、価値観とか男の人の年収とか色々な話で盛り上がった。結局、お喋りがつきないまま、コロナだからと店を追い出されて、別のカフェで打ち合わせを始める。帰宅したのは昼頃、疲れたな。天気がとてもいい。このままどこかに消えてしまいたいような気分。誰か困ってる人がいたら私を貸してあげたい、そのまま返さないくてもいい。

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『わたしを選んでくれる人』2月7日 ” 雑誌の企画で綴り始めた日記 “

ichiroさんから、昨晩にコロナの濃厚接触者となったと連絡があった。今日の夕方に会う予定だったけど中止。検査結果は陰性だと報告がある。シマさんから「昨晩は帰ってからズーム飲みして今日は体調が悪いです。」とメッセージが入ってた。シマさんはここ数回、自分の行動をメッセージしてくる。どういう意味なんだろう。別れた彼女にやってた事を癖みたいにやってるのかな。何だか段々と応えるのが億劫。だけど、結局、自分の話ばかりする彼と、それに対して不服な気持ちになる私は同じようなもの。それぞれの事ばかりを考えてる。

今朝、ミオちゃんと話してて何だかわかった。人ってのは、世界において自ら肯定しに行ってるって事。「私は母です。」「私はシングルマザーです。」「私は編集者です。」「私は女です。」何々である。先にアウトラインを引いて、後から中を塗りつぶすみたい。線はどう描いたっていい筈なのに、自らを象ってしまう。アウトラインがあると安心なのかな。確かに役割を決められた方が楽かもしれない。役割の通りに全うすればいいだけだから。マッチングアプリって、アウトラインが重要そうに見えてくる。自分のアウトラインを表明したら、相手も空いたパズルのピースをアウトラインの合う場所を探すゲームみたいとなる。

別れた夫が「俺を自由にさせろ!」とよく家で暴れてた。あんなに自由にやってる夫は、この世の中で寅さんくらいだろうって思ったけれど、彼の中では自由じゃなかったみたい。自分の人生だから好きな事をやってと伝えても、私だけに向かって自由にさせろと怒ってた。自分の顔を自分の拳で殴ってみて欲しかった。殴るのは私じゃない。アウトラインを引くのは自分。

「世界を捨てて、誰かと出会ってみて。」この企画を始める時に山若くんが言った言葉を思い出す。結構いいかも。ここに生まれた以上、世界はいつだって全てを肯定してるのだから、自ら私ってのを肯定しなくていいよね。象らない。線は引かない。私を裏切ったらいいんだ。

アボガドトースト

『わたしを選んでくれる人』 " 雑誌の企画で綴り始めた日記 ", パン 05.2,2021
『わたしを選んでくれる人』2月5日 ” 雑誌の企画で綴り始めた日記 “

下北沢でKWさんに会った。写真とは全然違かった。想像より背が高くて、想像通り丁寧な人。結婚してから4年。男性の友達とは全くと言っていいくらいに疎遠になって、女性とばかり集うようになったから、仕事でも旧友でも無い男性と食事するって久しぶり。特に緊張はしなかったけど、不思議な気持ちで楽しかった。こんなに穏やかで、食事のペースや話だって気を使ってくれて、男性っていうのは優しかったよなって思い出した。そう、男性は女性に優しい生き物。自分だけさっさと食べ店を出て行ってしまうような男性はきっと少ない。よく一人だけ店に残された。陽が明るいうちも、陽が暮れた夜中でも。

私の仕事を知りたいみたいで、クイズとなった。だけど、話しちゃいけないルールだから誤魔化しながらクイズを楽しんだ。男っていうのは可愛い。女にモテたい、カッコよく見せたい、今を楽しみたい。ちょっと褒めると、堂々と鼻の下を伸ばして喜ぶ。いい生き物。

離婚の話を聞きたかったけど我慢した。2時間ちょっと、たわいもない話をしながらビールを飲んで帰宅。LINEを交換した。
アボガドトースト
食パン 6枚切
ピーナッツバター
レモン
ナンプラー
アボガド
イタリアンパセリ

芋煮

『わたしを選んでくれる人』 " 雑誌の企画で綴り始めた日記 ", 和食 04.2,2021

彼の夢を見た。私達はお互いに謝ってた。
今でも、毎日の中にどうして、は転がってる。だけど、ようやく、だんだんと、怒りとか苦しみとか恐怖とか、そういった何か、言葉や誰かや何かでは片付ける事が出来なかったものが取れていってるのかも。花瓶にある枯れた花がぽろっとテーブルに落ちるみたいに、急に姿形を失ってゆく。

どうしてなんだか、最近は出会った頃の事を思い出す。あの時は、双極性障害の躁状態が酷かったんだと思う。今、思うとおかしかった全ての理由がわかる。だけど、あの時の疑問は、最期に心に残った疑問と同じ。人間が人間じゃない形になる事を見た時の戸惑いと不安。これが本当に現実なのかなって、私の目を何度も何度もこすった。

夫だった男には、躁状態の時には沢山の肩書きがあった。ミュージュシャンの他に、デザイナー、プロデューサー、オーナー、ディレクター、クリエイター、バーの経営、他にも沢山あったように思う。俳優もそのうちやりたいって話してた。知らない人に急に話しかけて自分の凄さについて語り出したり、一緒に仕事をしようとか、俺に頼って欲しいとか、とにかくずっと話して忙しくて、変だった。出会ったばかりでよく未だどんな人なのかわからなかったけど、全ては本当だと思ってた。常に苛々と誰かに当ってるのは、ストレスの所為だと聞いてたけど、それもストレスじゃない。病気の症状そのもの。病院の先生と話していた時、どうして先生達はそんなにも簡単に私の夫だった人の事を見捨てるのだろうって思ったけど、先生達が声を揃えて「あなたの人生を考えて下さい。」って言ったのは、この病気の難しさを考えて出た私への言葉だろう。だけど、私は私の事じゃなくて、今直ぐにあなたの夫をここに連れて来て下さいって言って欲しかった。

「この病気は、家族も一緒に病に陥る事があります。だから、よく考えて下さい。最近、死にたいって思う事はありますか?」先生は私に変な質問をする。数ヶ月後、先生が言った通り私も病を患った。心療内科はどの病院も人が思った以上にいたのに、この病気はそんなに珍しい病気じゃないのに、私の周りに誰か、友達の友達だって誰か、この病気の事で苦しんでる人を聞いた事が無い。いつだったか、ネットで調べたら鬱は社会的に認知度が高いけれど、躁は知られていないから難しい病気だって書いてあった。

私が昨年、夏の間に行った病院は3つ。3人の先生は口裏合わせたみたいに同じ話を私にした。滑稽に見える。可哀想に思った。どういう可哀想なのかわからないけど、虚しい。私はまた今日も思い出しても仕方の無い事を思い出してる。

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『わたしを選んでくれる人』2月4日 ” 雑誌の企画で綴り始めた日記 “

何となく1ヶ月くらいって言う話で始まったけど、マッチングアプリに登録してからもう半月は経った。先月は出張が続いてたから、一時あまりやってなかった。少し焦ってる。お願いされたからにはっていう気持ちと、そういうのは良く無いっていう気持ち。明日はKWさんと会う約束をした。正直面倒だ。日曜日は、最近連絡を撮り始めたichiroさんと会う。彼は写真の仕事をしてる。写真の話がしたいけれど自由に出来ないのが苦しい。他にも何人かメッセージしてる人がいる。昨晩はシマさんと一通だけメッセージをした。「朝から撮影で、夜まで忙しかったです、土曜日は昔みてたアーティストの子と昼のみする事になりました。嬉しい。」みたいな内容だった。私は寝ぼけて「楽しそう!こんばんは。」っていう何だかよくわからないメッセージを返信した。会って話をしてみたい。私のリハビリの為にって言ったら何だかちょっと違うけど、シマさんと友達になったら恐怖だった場所が少しだけ世界から消えてくれそうな気がする。
大根の皮と人参の金平
大根の皮 厚く剥いて干しておく
人参
ナンプラー
ごま油 多めに

2月3日

『わたしを選んでくれる人』 " 雑誌の企画で綴り始めた日記 " 03.2,2021
『わたしを選んでくれる人』2月3日 ” 雑誌の企画で綴り始めた日記 “

一昨日の夜にシマさんっていう音楽関係の仕事をしてる人とメッセージを始めた。音楽の仕事をしてるって聞いて、嫌だな、怖いなって、三歩くらい後ずさりしたと思う。近所のドラッグストアでかかってる有線、男性が甘ったるい声でリズミカルに歌う声に毎回吐き気がしてしまう。Jpop、ごめんなさい、あなたは悪くない。だけど、どうかこの世から消えて。耳を塞いで慌てて買い物かごに全てを入れて店をでる。深く潜った海から飛び出た時みたいに、店の前でハァハァと酸素を沢山吸った。

「最近、音楽を好きになりたいんですよ。」シマさんにメッセージした。

シマさんは本当に音楽が好きそう。音楽が好きで好きで、音楽とずっと一緒に生きてる感じだった。ライブとか仕事とかアーティストの話が止まらない。この企画で、私は私の世界を捨てて誰かと出会うっていう趣旨があったから、私は私の話をしないように私の話をした。写真が好きとか写真を撮ってるとか写真の話は一切しない私の話。シマさんと話を進めるうちに、少しだけ音楽が怖くなくなってくる。シマさんの世界は音楽。ちょっとだけ素敵な世界に見えた。