カテゴリー: 夕飯

手巻き寿司

夕飯 19.5,2022

今日は周ちゃんの誕生日。朝は久しぶりに山へ行った。ここ数日の晴れでぬかっていた足場も良くなって、緑もまたぐんと伸びた。午前は青山の美容院へ行って、そのあとに渋谷に新しく出来たショータさんのお店、麻婆豆腐のかかんでみんなでランチ。久しぶりのフジモン、瞳ちゃん、じゅりえちゃん。フジモンにはなんだかんだとずっと会えてなくて、年賀状に “話したいことがあるよ!”と書いたけれど、ようやく報告出来た。「よしみさんどうやって結婚したんですか?」じゅりえちゃんが言った。「2回目のデートで付き合って、それから3日後に結婚して欲しいとなって、それで、まだまだ離婚へのトラウマがあったし、結婚とかよくわからなかったんだけど、2週間後くらいにたまたま大好きなNYのジュエリーデザイナーのポップアップをしてて、それでマリッジリングをオーダーしたの。それから親にあったりして3ヶ月くらいで籍を入れたよ。」「えー?!」「けど、色々な話、二人の話だけじゃなくて、人生とか結婚とか、結婚制度とか、本当に色々な話をしたのだけど、私はこう生きたいとか。色々な話を沢山したんだよ。」簡単に端折って話したけど、あの時のスピードはどうにもこうにも誰にも上手く話せない。想いとか願いだけが毎日を勝手に突き動かして行った。もう傷つきたくない、だから幸せになろう。それだけ。結婚したいとか、この人を手に入れたいみたいな気持ちは一切無かった。

新しいお店はヨーロッパにあるオシャレなチャイニーズレストランを連想させるお店で、東京にはあまりない感じのセンスがいい内装だった。フジモンもショータさんも独特のセンスがある。二人が夫婦になった理由は、二人と別々にいてもわかる。人はたまたまに出会うんじゃなくて、選んで出会ってる。それは惹かれ合う理由の一つと言っても過言じゃないと思う。だって、同じ世界を見るために似たレンズを持っていた方が楽しいから。人間って楽しいことが楽しむことが好きな生き物だから。二人が似ているのは独特のセンスと誰にでもオープンなマインド。それはとても広域にわたるものだから、他の友人を探しても二人にとても共通してるもの。フジモンが結婚のお祝いにスープカップをくれて、ショータさんは帰りに麻婆豆腐をくれた。二人らしい軽やかな愛情。ショータさんと仕事の話をするといつも周りがちゃんと楽しめてるかっていう話になるし、フジモンは何てことのない日に小さなプレゼントをくれる。二人は夫婦だけど、私にとっては別々の人で、だけど似てる。同じ家から来たんじゃなくて、同じ家に帰ることがわかる。

「誕生日は何が食べたい?」付き合った当初に周ちゃんに聞いたのは昨年の11月。半年後の今日が本当に訪れるのかも知らなかったのに、当たり前のように手巻き寿司を食べてる。帰りに新宿の高野フルーツパーラーで買った苺のケーキの上に綺麗に5本のローソクを並べて、当たり前のように、まるでシナリオをなぞるようにふっと一息で周ちゃんが消した。41歳の抱負を聞くと感慨深く答えていたけれど、殆どがあまり聞こえてこなかった。古市で買った赤い花瓶にピンク色の薔薇が煌々と光に照らされてる。ただただ、やっぱり当たり前のような顔して照らされてる。夕方帰宅すると玄関に大きな花束。宛名は周ちゃんのお母さん。「今日は周ちゃんが活けたら。」「大丈夫?変になるかもよ。」「いいよ。好きなように活けて。」大きな花束は大小さまざまな形の花瓶に少しずつ活けられていく。帰宅したばかりで白いシャツにパンツ一丁の周ちゃんが一生懸命に活けてる。どれも少し長すぎる背丈で花瓶からニョキっと突き出していて、それはすごく不格好で愛らしくて可笑しかった。家のあちこちに置かれた花は明日からまた当たり前のように咲き続けて、そして終わるんだと思うとすごく何だか幸せだなと思った。

夕飯

夕飯 29.4,2022

朝はゆっくりと起きてダラダラと過ごした。昼頃、駅前のOKストアに明日の買い出しをしようと外に出ると雨がポツポツ。あーあ。帰りにインドカレーでも食べて帰ろうなんて話してたのにな。「どうする?」「うーん。近所の饂飩屋に電話してみるよ。」こんな事を考えるのは良くないって思うけど、前の旦那さんはそんな事してくれなかった。「行けば何とかなるよ。」とか、「スーちゃん電話してよ。」って言った。私は電話が苦手だからよっぽどじゃないと電話しない方を選んだ。だってずっと頑張るのは疲れるから。家から歩いて5分。店らしからぬ感じの店。こんな場所?住宅街の中に砂利の駐車場、店内は綺麗そうだけど入りたいとはあまり思わないかも。「いらっしゃいませ。さっき電話してくれた方?」年配の女性の方が席へと案内してくれた。隣は60代の夫婦、その隣も同じ世代の夫婦がお酒を飲んでいた。何だかいい感じの店。お昼から日本酒と板わさなんか食べたくなる。

周ちゃんは蕎麦と天丼のセット、私は野菜の天麩羅饂飩にした。天麩羅は長い間苦手な食べ物だったけれど、こないだ周ちゃんと高橋くんとサボテンを買いに行った時にすごい久しぶりに食べたら美味しくて食べれる事がわかった。それにしたってなんて美味しいんだろう。手打ちの形が不揃いの饂飩。つるつると口の中に綺麗に入っていく饂飩も好きだけど、不揃いってどうしてこんなに魅力的なのかな。ざるからどんどん失くなっていく饂飩、少し寂しかった。あっという間に食べ終わって、雨がしとしとと降っている中を傘を並べて歩いて帰った。美味しくて機嫌が良かったのかな、鼻歌を歌う私に周ちゃんが笑いながら言った。「お腹が一杯って歌だね。」「え、うん。そうだよ。」私、そんな鼻歌歌うんだ。歌とか歌うんだ。どっちがどうとかじゃないけど、誰といるかで私って変わるんだ。同じ私なのに私は頑張るのをやめたら変わった。鼻歌を歌うのをいつも聞いている方だったのに。

帰ってお茶をしたらすごく眠くなって、周ちゃんと梃子とみんなでベッドで昼寝をした。雨はどんどん強くなっていく。気持ちがいい。またぐんと気温が下がったけれど、それもいい。ひとりでそっと起きて書斎でお茶をすすりながらマユミちゃんからの手紙をもう一度読み返した。最近、藤井風さんっていうミュージュシャンが気になってるらしく、Taylorのshake it offっていう曲のカバーがすごくいいよって書いてある。youtubeで流しながらまた手紙の続きを読んだ。こんな風に音楽を聴くのはすごく久しぶり。女の子が誰になんて言われようと私は私らしく生きていくっていう曲。音楽ってやっぱりいい。少しだけ泣きそうになった。音楽は離婚してから聞かなくなったけれど、音楽が悪くない事くらいわかってる。嫌なのは元夫が歌を歌ってたっていう私の思い出。音楽の力みたいなのを感じるのが怖かったんだと思う。そしてそれをまた感じてしまったら戻されてしまう気がして避けてた。だけど、聞けた。そして、すごく良かった。

マユミちゃんは離婚の色々が落ち着いてきた頃に少しだけ離婚の事を話して、生活を立て直し始めるのと同時に文通も始まった。だからか一人勝手にこの文通が私の生活をちょっと見守っていてくれてるような感じがしてる。それに、たったの数ヶ月でも、この1年でも、お互いの生活がガラリと変わって、送ってくるポストカードも、送るレターセットも、その時々で色々と思い出が詰まってる。また今年もこれからも文通を続けよう。この文通がやっぱり好き。それから、日記の写真集を作るのをやめようかなって考えていたけど、なんだかもういいやって想う気持ちも考え直そうと思った。本当に作りたいのかどうか、本当が何かわからないけれど少し考えてみよう。パリで生きるマユミちゃんを想うと私も頑張たい。写真集を作ることがそれに値するかはわからないけど、このまま今にお腹を満たすだけで今日が終わるのは何かをやり残してるみたい。苦しかった事は未来になっても苦しいけれど、だからってそれを忘れようとするのも違う。生きることに少し余裕が出てきたらか、今だけじゃなくても、今や過去を行ったり来たりしてみるのもいいのかもしれない。いつか死んじゃうのだし、そうやって色々を忘れちゃうのだから。

鯵の干物

夕飯 19.4,2022

特急列車に乗って東京へ向かった。車中で昨日フミエさんと話してたインスタのリールを早速あげてみた。なるほど。これがリールか。夢中になって携帯をいじっていたら少し電車に酔った。今日は目黒のハウススタジオ。ちょっと駄目なエリア。嫌いというか、あまり立ち入りたくない場所。別にいいけど、すごく厭。中目黒だったらきっと息を止めて歩くけど、目黒の先だし、まぁいっか。好きじゃないだけ。

今日は天気がすごくいい。目黒駅でタクシーに乗った。ああ、やっぱり東京はいい。東京のタクシー最高。本当に好き。ありがとう、タクシーの運転手さん。直ぐに来てくれるし、直ぐに思いの場所へ連れてってくれるし、私が好きなジャパンタクシーがいっぱい走ってる。タクシーはジャパンタクシーしか乗りたくない。じゃんじゃんあちこちを走ってるジャパンタクシーを見るだけで気分がいい。東京暮らしを離れて思うことは、東京は時々くるとすごく楽しい。

スタジオに強い日差しが入ってきてすごく気持ちが良かった。昨日はあんなに寒かったのに嘘みたい。初めましてな人ばかりだったけれど撮影は楽しかった。帰りの電車で読んだ江國香織さんの本 “泳ぐのに、安全でも適切でもありません” の中の”犬小屋” というお話。わからない。不思議な感情になった。多分、初めてかも。読んでるのに、無色透明に伝わってくるわからない。もしくは、もしかしたら、見ない知りたくない事なのかも。

その話は、他人から見ても仲睦まじいカップルが夫婦になっても愛し合っていて、主人公の妻は夫をその夫も妻を愛していたのだけど、そうだった筈なのだけど、いつも「うん。」って何でも聞いてくれる優しくて愛おしい夫が犬を飼いたいと言い出し1ヶ月かけて犬小屋を建て、ちょっと犬小屋で寝てみたいと言い犬小屋で寝出してから出て来なくなったという話。愛ってどこから愛でどこまで愛じゃないのか時々わからなくなる。ましてや夫婦になるとその線引きが毎日にどんどんと溶けていくのを知ってる。正直、今の生活、新しく始めた二度目の結婚生活があと何十年って同じ場所で同じように続く事に恐怖がある。昨日フミエさんと話していた事。「100%信じれるっていう関係にはなれなくて。周ちゃんが悪いとかそういうんじゃないんですけど、だけど、一定の距離は置いて置きたいです。」「よしみちゃん。流石、経験者だねぇ。」何だか、そんな気持ちをもってる自分が周ちゃんに申し訳ないような後ろめたさがどこかにある。全力で私に駆け寄ってくれる周ちゃん。私は両手を広げながら、しっかりと何処かにそれを隠してる。引っ越す前か引っ越して直ぐの時に東京に家が欲しい話を周ちゃんに話した。「機材用の倉庫を借りたら?」って周ちゃんが言った言葉に「そうじゃない。」ってちょっと強い口調で返した。そうじゃないよ。私は怖かったんだと思う。私達はそれぞれなのに、また曖昧になってしまうかもしれない事がきっと怖い。

夕飯を食べ終わって、いつもみたいにソファーで周ちゃんの実家で作ってる健康茶をすすりながら話した。「周ちゃんに借りた江國さんの本でわからなくて。犬小屋って話覚えてる?」「うん。あの江國さんの本は覚えてるよ。だけど、ちょっと忘れてるかも。また読んでみるよ。」「うん。犬小屋から出てこない男の人の気持ちが知りたいんだよね。」「うん。わかった。」この人とはずっと別々でいたい。大切にしたいから私からは離れていてほしい。

筍ご飯

夕飯 18.4,2022

今日は久しぶりにフミエさんのアトリエで写真を撮った。天気はあんまり良くない。だけど、いつも通り元気なフミエさん。毎度、はじめましてのように関心するのだけど、フミエさんって本当に素敵。一緒にいるとぱっと時間が華やかになる。それでもってご飯も美味しいなんて、そんな最高な事はない。今日もすごく美味しかったな。周ちゃんにお土産までいただいてほくほく気分で帰宅した。

駅を降りると今にも雨が降り出しそう。それに東京よりもずっとずっと寒い。なんだか甘いものが食べたい。駅前にあるミスドでドーナツを3つ買って帰った。玄関を開けると早く帰宅した周ちゃん。黒いシャツが素敵。明日は早いから今日はビールはやめて、筍ご飯を一杯食べて早々に寝た。

焼き筍

夕飯 13.4,2022

朝は少し寝坊した。本当は4時半に起きて仕事をしようと思ってたけど、起きたのは6時過ぎ。少し書斎で片付けごとをしてまたベッドへ戻った。寝起きの周ちゃんとセックスをしてまた普通の私達の朝がやってきた。今日も暑そうだな。ベッドルームや吹き抜けの階段が光で充満してる。一昨日に買ったコッペパンで卵サンドを作って、お茶をポットに入れて周ちゃんと梃子の散歩へ出た。

何であんな事で喧嘩みたいになっちゃったのかわからないけれど、私の言うそれと、周ちゃんの言うそれは交れなかった。だってさ、絶対に。なんて当たり前のような話をしても、それは私だけの世界の見方であって、それが100%正しかったとしても、それは私にとって正しいとしていること。ほんの小さな事でも一瞬で大きな溝なのか壁なのかが私達に果てしなく遠いいような距離を作った。かける言葉ひとつひとつが胡散臭く聞こえてしまったり、どうしたらまた元に戻れるのか途方に暮れていたけど、もしかしたら周ちゃんもそうだったのかもしれない。昨晩の夜中に周ちゃんの背中を見てすごく寂しくなった。少し意地を張っている自分がいそうな気もしていたし、そんなプライドは誰のためにもならないことくらいわかってた。

裏山で気に入っている場所がある。そこは森の中に木のテーブルと椅子があって、小さな広場のようになってる。そこに腰掛けて朝食を始めた。ウグイスだとか鳥の声が気持ちがいい。そのうちに梃子と周ちゃん、私も追いかけっこをして、散々走って、家路に着いた。

“筍、買っていくね。” 仕事に出た周ちゃんから写真と一緒にメールが送られてきた。ミュージアムの近くの畑で採れたのだそう。じゃあ、今日は春キャベツの春巻きにしようかな。19時前、床屋に寄って髪がさっぱりした周ちゃんが帰ってきた。手には菜の花を持ってる。「おみやげだよ。」「どうしたの?」「拾ってきたよ。」そのまま、本棚の隣にある黒い花瓶に花をさして二階に上がった。菜の花、綺麗だな。周ちゃんって可愛いな。筍を切って糠でアク抜きを始めた。「周ちゃん、筍はどうやって食べる?」「刺身もいいし、焼きもいいよね。」

夕飯は春キャベツの春巻き、蕪のサラダ、豚の角煮、葱とワカメの味噌汁、納豆、ご飯。筍は焼き筍にして食べた。周ちゃんが春巻きを美味しい美味しいって何度も言ってた。こっちに引っ越してきて変わった事の一つに、近所で採れる野菜がとにかく美味しい。そして私達はきっと仲直りをした。

ハヤシライス

夕飯 11.4,2022

今日は納品作業。夕方早い時間から夕飯の支度を始めた。明日は昼前から撮影、まだ慣れない移動の為にも早く寝たい。今夜は周ちゃんが好きな豆のスープを作った。キャベツ、セロリのみじん切りに手羽元と青大豆をコトコトと煮たスープ。味はコンソメ、塩、ローリエを1枚。

19時にフミエさんと山若君と打ち合わせが入ってる。その前にお風呂に入って、と色々の準備を進める。周ちゃんが18時過ぎに帰宅。「私、明日早いからね。」「ちょっと部屋の片付けをするよ〜。」部屋にこもった周ちゃん。打ち合わせが終わった事を周ちゃんに伝える。「お風呂入ろうかな〜。」なんでわざわざいま?「さっとシャワーに浴びるね〜。」中々出てこない周ちゃん。ざぶんと湯船に浸かる音がした。「周ちゃん、いつでる?」「もう出ます〜」何だかイライラが爆発しそう。明日は11時から都内で撮影だけど、家を出るのは8時半。その前に色々とやりたい事もあるからいつも通り5時には起きたい。早く夕飯だとか色々の準備をしたのにな。それに昨日から早い事は伝えてる。怒らない、怒らない。いや、食事の前に伝えようかな。「お風呂頂きました〜。」一旦、爆発寸前の私をマンホールに閉じ込めて食事だけを済ませた。押し込められた私の心は何も感じないようにと努めてる。だからか言葉は殆ど出てこなかったし、ハヤシライスも殆ど噛まずに平らげた。食事を終えて適当に寂しい会話をしてベッドに横たわった。

読みかけの本を読み切って、部屋の片付けに戻った周ちゃんに声をかけた。周ちゃんは私が怒ってる事も、その理由も、少しの会話で察していた。「ごめん。俺が悪かったよ。」ぎこちないままに、一緒にベッドへ行って寝た。私一人が怒っただけの事だけど、初めての喧嘩かもしれない。周ちゃんはひたすら謝っていた。私は気持を伝えたかっただけで、周ちゃんが悪いとは思ってない。ただ、私の仕事が田舎へ引っ越す事で大変になる事を理解して欲しかっただけ。今までと殆ど変わらない生活をする周ちゃんはいいよ。私は東京の真ん中から埼玉の端っこに引っ越したのだから、ここでの生活が順調そうに見えたとしても、まだ不安は沢山残ってる。

野菜炒め

和食, 夕飯 09.4,2022

私はいつも通り5時頃、周ちゃんは7時前に起きた。今日はキュレーター仲間の高橋君と千葉のサボテンの聖地、グランカクタスという店に行く。そのついでにジョイフル本田で庭の土や植物を色々買おうとなってる。ふたりでパジャマのまま庭に出た。周ちゃんが小さなスコップで土を掘り起こす。テコは朝陽の中で庭のあちこちを徘徊してる。気持ちのいい朝。何処に何を育てようか光の中で話した。

高橋君は周ちゃんより少し年下。毎回思うけれど、少年みたい。昆虫博士みたいな緑色のジャケットに白いパンツ、大きな大きな白いトートバッグを持って現れた。「おはよう〜。」二人はしばらくの間、東北の美術館での仕事の話やキュレーターの誰かの話をしてた。まったくちんぷんかんぷんな話。時々、アーティストの奈良美智さんとか、建築家の青木淳さんとか、私でも知ってるような単語が聞こえた。毎日の中にいると忘れてしまうけれど、周ちゃんは学芸員だったんだ。芸術に関する膨大な知識とそれと出会ってきた沢山の経験や世界。私が知ってる周ちゃんの一体どこにそれが隠れているんだろう。私達は同じくらいの年数を生きてきてるのに。何だか少し情けなくなった。私は今まで一体なにをやってたんだろう。恋だとか旅だとか写真、そんな事しかやってない。いや、それしかやってない。

千葉あたりを走る頃には高橋君と私の離婚の話になった。高橋くんは結末みたいなものから話始めた。「あの傷はずっと塞がらなくて、体の一部が失くなったみたいな感じなんだよ。」高橋君の言葉にうんうんと何度も何度も頷く。それぞれの別々の結婚や離婚があったとしても、その痛みはもう私を突き刺したりはしなくても、同じ場所で同じ景色を見ているような気持ちになった。周ちゃんはただ前を見て運転していた。私は私の話を上手く伝えられたかわからなかったけれど、出来る限りの言葉や想いを伝えた。そうしてしばらく離婚やパートナーの話をしていたけど、高橋君が少しでも前に進んだり、少しでも傷が癒えてくれるなら、何時間でも何度でもこの話を続けたいと思った。

それから、高橋君の次の恋をどうするか3人で話した。私は周ちゃんを見つけた時にパートナーに求める3か条なるものを自分の中で決めていた。「高橋君、パートナーに求める3か条って何?」「え〜3つ?足らないよ〜。」「駄目。3つに決めて。」「うーん。まず1つに優しい人かな。それってただ優しいんじゃなくて、例えば身内の人が病になって、だけど自分は仕事が忙しくて調子が良くて、そんな時に仕事はいつだってまた出来るからと諦めて、人の看病に専念出来るような心から優しい人かな。」「そうなんだ〜。じゃあ1つ目は優しい人ね。」「次は自立かな。仕事も生活も自立してる人。家事代行とかする人が悪いってわけじゃないし、忙しい女性が料理をしないで外食ばかりっていうのが悪いってわけじゃないけど、一緒に料理したり、掃除したりしたい。だから、自立してる人がいい。」「なるほどね。けど高橋君、それは自立っていうより生活の価値観じゃないかな。世の中に料理をしない女性は沢山いるよ。働いてる女性には多いものだよ。だけど、それって悪い事じゃなくて、料理を楽しみたい人かそうじゃないかなだけじゃないかな。どちらも経済的には自立してる。だから、高橋君は生活を楽しむ事が人生の中で大事で、その楽しみを一緒に出来る人がいいって事じゃない?だから、価値観だと思うな。」「確かに〜。」「じゃあ、3つ目は?」「知的な人かな〜。話せる人っていうのかな。こうやって色々な話が出来る人がいい。」「高橋君、外的要素はゼロ?心が良ければ、ものすごく派手な服装で髪はピンクで、結構ふくよかな子でも大丈夫?」「うーん。すっごく話が合う子がいたんだけど、どうしても好きにはならなかったんだよね。」「それってさ、高橋君が心だけじゃなくて、女性に外的、性的要素を求めてるって事だよね。例えば、可愛いとか、胸が大きいとか、肌が白いとか、そこに高橋君が恋に落ちるポイントがあるんだよ。」「確かに。じゃあショートの子かな。けど、誰でもいいってわけじゃなくってショートが似合う子がいいんだよね。」「ショートが似合う子がいいってよく男の子は言うけど、それって結局ショートの似合う可愛い子だよね。」周ちゃんと高橋君がわっと笑った。「3つ目は知的じゃなくて、ショートにしよう。」「えー難しいよ。」「ダメだよ。自分の100%理想なんていないよ。それに、性的要素は入れた方がいいよ。後は、大丈夫。相手を知る上でわかっていくものだから。」

私が周ちゃんに出会った時に掲げていた3ヶ条。明るい、身長が175cm以上、セックスがうまい。まず、未来に明るい人が良かった。どんなに苦しい事があっても、どうしようもない事が起きても、生きる事に希望を持てる人は生きる事が上手になる。明るい人は明るくなりたいから、明るく灯そうと努めるその光が周りを温かくもしてくれる。後は性的要素が2つ。だって、性的要素がなければ、動物だとか、友達だとかで事足りる。背の高い男が私はカッコよく見える。あとはセックスが上手ければ、男と女である事を楽しめるし、言葉では通じない事も身体を通してコミュニケーションがとれる。想いなんてものは共有しなくていい。心は私の男の中にそれぞれポツンと置いてあるものだから。それよりも一緒に楽しむことが出来れば、勝手に色々は上手に転がっていくものだと信じてる。私の経験上の話。

高橋君はレアなサボテンを3つ。周ちゃんは色と形が絶妙なサボテンを一つ。あと家に舞茸みたいなピンク色のサボテンを買った。帰宅したのは20時過ぎ。疲れた。暑いサボテンのハウスの中で4時間くらいボテンと格闘したから軽く熱中症気味。夕飯は簡単に野菜炒めにした。ジョイフルで買った金木犀や野菜の苗。明日は庭いじり。楽しみだな。

ちゃんちゃん焼き

夕飯 01.4,2022

8時にスタジオ入り。終わったのは16時過ぎ。楽しかった。すごくへとへとだけど、いい現場だったな。急いでタクシーに乗って新宿の駅に向かった。特急列車が丁度のタイミングで発車。あ〜あ、乗り過ごした。次の電車に乗ろう。席について窓の外を眺める。夕陽が綺麗。建物の間を光が通り抜けては列車の中に入ってきた。LINEを開くと編集の成田さんから “明日大場さんの展示ご一緒しませんか?” 行きたいけど明日はダメだ。もし東京ならサクッと出かけられるのにな。成田さん、会いたかったな。大場さんも。

駅を出てスーパーの入り口で仕事帰りの周ちゃんと待ち合わせ。「よしみ、お疲れ様〜」駆け寄ってくる周ちゃん。「夕飯何にしよう?」「ちゃんちゃん焼きなら作るよ。」「うん、、。」お昼のカレー弁当があまりに美味しくって完食した所為で午後からずっとお腹が痛かった。さっぱりしたものがいいな。疲労や腹痛、荷物の重さに色々がぎりぎり。食事を作って貰えるだけで有難い事なのになんだかずっと私の機嫌はよくない。レジで会計を済ませてエスカレーターに乗り前にいる周ちゃんの腕に不意に手を伸ばした。洋服の上から触れる周ちゃんの腕。一瞬で胸の辺りがじんわりと温かくなった。もう2度と愛する人を世界から失いたくない。だから、十分に私を満たさないでと強く望むけれど、これから段々とそうなっていくんだろうと思った。

夕飯のちゃんちゃん焼き。今日も美味しかった。

手巻き寿司

夕飯 30.3,2022

5時過ぎに起きて裏山に散歩に出た。忙しなさに気持ちが少しざわざわしそうだったから朝の空気で頭を空っぽにしたかった。帰宅して直ぐに仕事に取り掛かる。やってもやっても忙しさばかりが追いかけてくる。バタバタと朝食や昼食を済ませて気づいたら夕方。撮影で使う造花を駅前に買いに走った。本当は夕方に引っ越し疲れを癒しに近くの温泉へ行こうと周ちゃんは1日リモートに切り替えて時間を調整してくれてたけど結局私の仕事が終わらないままに夕方も過ぎようとしていた。「今夜はお刺身にしよう。」「簡単な手巻きにしよっか?支度は俺がやるから。」周ちゃんが言った。息をつく暇もなく駅から帰宅してまた仕事。首だとか色々がぎゅっとしてて痛い。お風呂にざぶんと入った。ああ、時間がない。まだ明日の準備が残ってるのにもう夜。リビングを開けると綺麗に準備された食卓がでーんって感じでいた。しばらくの間食卓を遠くから眺めてみる。綺麗。周ちゃん、ありがとう。

こてっちゃん

夕飯 27.3,2022

朝からレンタカーを借りてリサイクルショップと八王子のMICHIO OKAMOTO WEARHOUSEヘ。ここに来るのは何年ぶりだろう。近くにのむらさんとミッチーの家がある。男と男のカップルの食卓を撮るっていう作品を作っていた時に通っていた八王子の街。MICHIOヘはキナリノの相田さんとのお仕事で店の2Fで営んでる菓子屋の撮影で行った。懐かしい。

「本棚を探してるんです。」紹介して貰ったデンマークビンテージの背丈が1m程の棚。すごく素敵。値段を聞くとミチオさんが出てきた。「この棚はいいんですよ。珍しいですよ。」確かに、デンマークビンテージで小ぶりの棚を見かける事はあまりない。ただ、日本に入ってきていないだけなのかなと思っていたけど、作っている数自体も少なく希少なのだそう。「少しマニアックな話をしてもいいですか?」ミチオさんから次から次へと出てくる面白そうな予感がぷんぷんする話が続いた。棚をつなぎ合わせてる木の拘りや、背面に使ってる木の柄について。例えば無印のように繋ぎ合わせた木では見れない木そのもの柄や、樹齢、木を贅沢に使えた時代の話。何十年も前に丁寧に人の手で作られた家具。私達が所沢から来た事を言うと、隣町の東村山にある宮崎駿さんのご自宅の近くに子供の頃に住んでいたそうで、そこから西所沢のnegomboカレーの話になって「メニューには無いんですけど、山田くんの野菜カレーは本当に美味しいですよ。」って。negomboはRiCEの撮影でもう何年も前に編集の成田さんと撮影に行った店。夏の暑い日だったような気がする。駅で待ち合わせして、喫茶店で少し打ち合わせしてから向かった。ポークビンダルーを撮って、私は肉が苦手なのを知ってか成田さんは撮ったカレーをもりもりとひとりで食べてくれた。あれが所沢だったんだ。まさかその街に住むなんて。人生って本当にわからないもの。

家の色々を買いに寄ったホームセンターとリサイクルショップ。疲れたけど楽しかった。リサイクルショップでは新品のオーブンレンジ1万と無印の扇風機を3000円くらいで購入。中々な破格。こんな買い物の仕方があるんだ。人の動きが激しい東京こそ家具や家電のリユースをもっと活用出来るようになればいいのに。リサイクルショップで買ったオーブンレンジを車まで運ぶ周ちゃん。有り難いな。長いこと何でもひとりでやってきたせいか、なんだか申し訳ない気持ちになったり、かよわい女になったような気分でそわそわした。

今日は外で見る周ちゃんをお腹いっぱいに見た。ひょいっと重い荷物を運ぶ周ちゃん。リサイクルショップのどこにいてもすぐに見つかる背の高い周ちゃん。メガネをかけて運転する周ちゃんもなかなか良かった。耳にかかる少し茶色い髪や筋肉が程よくついた腕が色っぽくて堪らない。ホームセンターで工具を真剣に探してる周ちゃんもいい。あ、イケメン。ホームセンターで遠くにイケた男を発掘気分。あっちこっちでニヤニヤしてる私を見かけては「何かいい事あった?」何度も聞いてくる周ちゃん。「なんもないよ。」と同じ言葉を何度も返した。

帰りの車中で周ちゃんに聞いた。「無性にこてっちゃんが食べたくなる日ってあるよね?」「うん、あるある。」夕飯はこてっちゃんと春巻。

鯖寿司

夕飯 21.3,2022

東京最後の日。ここ数日、友人にバイバイを言う度に寂しさが増していく一方で同時に次が始まっている気配に少しうきうきしてる。梃子は10時に商店街のペットサロンでいつもと同じカットをしてスッキリして帰宅。引っ越しの片付けを途中で終えて私も青山のサロンへ。編集の槙尾さんに紹介してもらってずっと行きたかったところ。東京最後の日にいつもと違う事をしたかった。ずっと伸ばしていた長い髪を昨年の秋、周ちゃんに出会う数日前に思い立ってショートにした。近所の美容師をしてるタマちゃんに教えてもらった女性の美容師さんに数ヶ月切ってもらっていたけど、何だか男の人に切ってもらいたくなって予約をした。

髪を切るのはいい。すごくスッキリするし、気分がいい。素敵な美容師さんだった。帰り道に槙尾さんに御礼のメッセージを送ると、興奮した感じの返答。私もそう思う。人生1のベストオブショートで賞。いつもと違う感じの自分でちょっと驚いた。東京最後の夜にぴったりな気分の良さ。渋谷まで歩いて田園都市線に乗って三茶で降りた。世田谷線に向かう途中で近所のタマちゃんに声をかけられた。「よしみちゃん?」後ろ姿がタマちゃんっぽいなぁって思って歩いてたけど、時間も早いし。だけど本当にタマちゃんだった。今日は早退したのだそう。タマちゃんとは離婚する直前に一緒に伊勢神宮へ行った。あの旅はすごく楽しかった。心身共に元気な今ならあの3倍は楽しめると思うけれど、あの時の精一杯ですごく楽しかった。一泊二日。一緒にお風呂に入って一緒に寝て一緒に参拝した。世界は夫婦だけだと思い込んでいた私に世界は広くて楽しくて優しくて温かいって事をみんなが教えてくれた旅。タマちゃん、旦那のADのしみるさん。しみるさんの後輩の芸術家の今む。

今日会えるなんて凄いな。計らったみたいに会えた。

帰りにサミットで鯖寿司を買った。片付けをして、お風呂に入って、ビール。Tverで大豆だとわ子がやってる。久しぶりだな。第一話だった。とわ子が田中さん、佐藤さん、中村さんって、三人の元夫の名前で呼ばれてるシーンを見て何だか可笑しくなった。編集の槙尾さんは私の事をきくちさんって言う。昼に掛かってきた引越し屋は菅原さんって言ってた。さっき髪を切ってもらったサロンでは熊谷さんって呼ばれて、タマちゃんはよしみちゃんって言う。離婚した時のアイデンティティの崩壊の酷さと言ったらそりゃ無かったけれど、もうどこにも所属しないって決めたら何だかとわ子の飄々としてる感じがすんなりとわかる気がした。

「明日天気悪いんだってね。」明日の引っ越しを心配したタマちゃんが世田谷線の中で言った。「うん。そうだね。けど、家に着けばいいよ。」そう、何だか最近どうでもいい。晴れてる方がずっといいけど、人生なんてそんなもんだ。何かに依存しなければ、大体何でも似たようなもの。菊地でも菅原でも熊谷でもよしみでも、私はいつだって私。誰かの何かになろうとするから苦しくなるだけであって、私でいれば何も困ることはない。失うのは辛いけど、変わるのも怖いけど、私があればどうにかなる。どうにだってなる。

今日タマちゃんに会えて良かった。

手巻き寿司

夕飯 19.3,2022

早朝に起きて納品作業。段々と目処が見えてきた。胸をほっと撫で下ろす。良かった。これなら終われそう。午後に散歩がてらオオゼキへ刺身と海苔を買いに行った。1年ちょっと前、この家に越してきて最初の来客は後藤さん。引っ越してから2週間くらいだった気がする。とりあえずで付けておいたサイズの異なるカーテンだとか生活がまだ馴染んでいない頃に遊びに来てくれた。今思い返せば、住んだ当初は怖かった。夜が来る度にドアの外の足に耳を傾け、夜中にマンションの前でタクシーから降りる誰かの音を聞いては心臓がバクバクした。それから1ヶ月後くらい、警察から最後の電話があって、もう新しい場所へ引っ越しましたと伝えて、何だかそこから少し落ち着いたように思う。夫から避難したのは事実だけど、別に夫の暴力から逃げてたわけじゃない。病の事を説明するのは難しい。だけど、警察にはそう映ってるみたいだった。引っ越して直ぐ、3ヶ月の経過観察も含めて通ってた心療内科を卒業し、体重もあっという間に元に戻っていった。この家に来てからは悪い事は何一つとして起こらなかったように思う。記憶は何度も私を襲い続けてたけれど、現実は温かく見守ってくれてたいた。”最初と最後に行かなきゃね。” 引っ越しが決まってから来た後藤さんからのメッセージ。何だかすごく嬉しかったな。そうして、引っ越しまであと3日。外は雨が急に降り出してる。傘を持った後藤さんが沢山のビールとスパークリングと苺を持っていつもの笑顔で遊びに来てくれた。

引っ越しの片付けも仕事もあったから今日は手巻き寿司。菜花の辛子和えと、蓮根のナンプラー炒め、なめこと揚げ麩の味噌汁を作った。乾杯をして、海苔を手に持った後藤さん。未だ食べてないのに「手巻き寿司楽しい〜。」って子供みたいに目をきらきらさせてる。ミオちゃんはよく後藤さんの事を「ゴッサンは、直ぐに人を信じちゃうから悪い男に引っかかるんだよ〜。」って冗談で言うけど、そりゃ悪そうな男も付いてきちゃうくらいその無邪気さが魅力的ってことだと思う。また一緒に手巻き寿司をしたいな。嬉しそうな顔が可愛かった。

私が東京を離れるのが寂しい寂しいって言うと、「この家で色々とひとりで生活を始めたから、そうゆうのもあるんでしょ。」って後藤さんが言った。そう、元夫との暮らしを捨て、新しい場所で暮らし始めたのはこの家が起点。菊地だった私を捨てて、家具を新しく買い直して、少しずつ少しずつ生活を整えてきた。夏になる頃には殺風景だった大きなベランダも植物園みたいになった。中でも夏のゴーヤカーテンの下で日向ぼっこするのがとびきり好きだった。ここからまた始まったんだ。沢山の思い出がある。東京で暮らして一番好きな家、一番好きな暮らしだったな。

後藤さん今日もありがとう。私の生活ありがとう。

サミットの寿司

夕飯 13.3,2022

二日間朝から晩まで引っ越しの片付け。周ちゃんは結局、明日の早朝に所沢へ帰る事となった。もう今日は疲れたから寿司にしよう!サミットに寿司とお酒を買いに行って、冷蔵庫にあるもので夕飯。スーパーのお寿司だって食卓に上がれば楽しい。どうしてこんなに楽しいんだろうって思うけれど、楽しい。じゃんけんで先攻後攻を決めた。いつも周ちゃんが勝つけど今日は私が買った。「イカ!」「じゃあホタテ!」。

夕飯

夕飯 04.3,2022

朝から撮影。現場までのタクシーの中で色々な事を考えた。やめよう、今は考えないようにしよう。今日も長丁場。女性が多い現場。女っていうのは様々で可愛。男だって可愛くて胸をくすぐられるような事があるけれど、男のそれとは全然質が違う。あの人は美しいというのが大概にして女性を指すのと、花を美しいと言うのが同じ美しいという言葉を使うのには納得がいく。だって女性は華やかでそれぞれで、なんだかとっても鮮やか。だから見ていて目が楽しい。

3日前にした母へのメール。「家が決まったよ。戸建。賃貸だよ。免許取ろうと思って。」しばらくしてから返答。「えー信じらんない。パパも何考えてるんだかって言ってる。」1日は少し落ち込んだけれど、相変わらず未だに箱入り娘にさせたいんだろうか。家の外壁に突っ込んだ事故から10年。もう運転をさせたくないんだろう。呆れた。まぁいい。勝手に言って。私には周ちゃんがいるし関係ない。だけど、どうなんだろう。それでいいんだろうか。1度目の結婚を思い出した。あの時もそうだった。私には夫がいるからいい。それって、またアンバランスのあれじゃないか。そう、もしかして、私はもうどっぷりと心を預け用としてる。私の人生は私のものなのにひとりではなくふたりでバランスをとろうとしてる。どんなに愛したり、どんなに大切だとしても、嫌だ。絶対に嫌だ。嫌な筈なのに結婚の約束を交わしたら当たり前のようにまた同じ事をしようとしていた。嫌だ。あんな結婚は2度としたくない。どうしたら、どうすれば私はこれからもひとりでいられるんだろう。

あっという間に撮影を終えて帰宅。目が疲れすぎて吐き気がする。今夜は鍋と残り物のおかずをいくつか。夕飯を食べながら周ちゃんの仕事の話を聞いた。珍しく少し怒ってるようだった。3日ぶりに会う周ちゃん。嬉しい。

夕飯 28.2,2022

昼過ぎに動物病院から電話があった。「先日の腫瘍の件なのですが。」心はもう決まってた。ただ信じてるだけだったけれど、もう梃子は癌にはならない。そう決めてたから心は全く動揺してなかった。まさかって想いもこれっぽっちだって無かった。なんだかいつしか私って女は大概のことでは驚かなくなったし、昔のように頑張るのをやめたら強くなった気がする。母と周ちゃんに直ぐに連絡した。”梃子は癌じゃ無かったよ!”

夕方に朗報が入った。2年前に大失恋したゲイの友人に年下の恋人ができたのだとか。何だかすごく嬉しい。先週に籍を入れたことを報告して、きゃっきゃと話した。年末に会った時は大分痩せてた。今の人生を淡々と頑張ってる姿を見て、どうか幸せになって欲しいと小さく願ってバイバイしたけど、年を越して呆気なく彼氏が出来た。人生ってわからないもんだな。うきうきした夜を過ごしていたらデザイナーの藤原さんが結婚するよって話を村上美術のゆうや君から聞いた。私は藤原さんが大好きだけど、藤原さんの彼氏のしんちゃんのファンでもある。何だかハッピーが掛け算してしまって嬉しくて堪らない。あんなに素敵なカップル、私の人生でお見かけした事がない。藤原さんは笑い上戸でしんちゃんは口数が少ないのに優しくて面白い。嬉しい、本当に嬉しい。嬉しすぎる。

2月最後の日。ハッピーが溢れている1日だった。今夜は久しぶりに寄せ鍋をした。

マヨネーズ

夕飯 18.2,2022

朝のいつだったか覚えてない。多分、タクシーに機材を詰め込んで走り出した時だった気がしてる。世田谷区を越えたあたりであちこちにメールをしまくってすっかり車酔いをした。アパマンショップからのメール。”お申し込みの物件は別の方の申し込みが入り募集を取り下げていました。” このメールの所為。絶対に決まらないと思ってた。ああ、やっちゃった。遅かった。周ちゃんが所沢の地元の不動産でも紹介してくれた物件だったし客寄せの物件じゃない。こんな田舎の物件がサクッと決まるなんて。直ぐに申し込めるよう、色々と手配して、週末の予定も調整して、他の仲介業者との相見積も取り始めていた。

正直、久しぶりにすごく落ち込んだ。午前の撮影は楽しかったから、ぐっと写真を撮ったけど、午後になって機材を置きに家に戻った時には何だか途方に暮れてた。そうしたら、色々がどんどん放出してくる。私、埼玉に200パーセント魅力を感じて来なかった人生なのに埼玉に住もうと試みてる。そもそも所沢だとか全然知らないし、周ちゃんが居るって事しか見えてない。それに週末に籍を入れようとしたら天気が悪いとか言ってるし、それに赤ちゃんが欲しいかよくまだわかってないのに、見知らぬ男に股を開いて検査を続けて、なんだか偉そうなことを毎週言われてる。仕事は楽しい。それだけが救いなのに、埼玉なんかに住んだら、どうなっちゃうんだろうか。色々なストレスや不安が一気に放出しながら、撮影したケーキをムシャムシャと食べた。周ちゃんに言いたいことは山ほどある。だけど、それは甘えになる。私が望んでした我慢だ。それに、物件については周ちゃんは2週間も前から私に打診してた。私の判断ミスだ。正直、この問題のポテンシャルは低い。私程度のミスだから、きっとやる気さえあればどうにかなると思う。だけど、要は初めて胸が高まった物件だったからこそ喪失感が半端ない。思い入れがあった今の家を出る。簡単な判断じゃない。ようやく安全な場所での暮らしを見つけて、梃子と毎日が楽しくなってきた矢先にまた引っ越すなんて。

午後の撮影を終えて帰ってから、家の中で大きな声で吠えてみた。「もう嫌だー!!」ちょっとスッキリ。「梃子じゃないからね。ばかばかばかー!!!」梃子に先に謝ってから大声で叫んでみる。それから3度くらい、トイレで、キッチンで、玄関で叫んでみた。ご近所さんはちょっと驚いて笑ってるだろうと思う。「ヤダヤダヤダーーーー!!」何だか情けない感じの叫びで我ながら中々のパンチ力の無さだなと虚しくなる。夕方から入ってた打ち合わせが月曜日に延期したのは本当にラッキーだった。お風呂に入ってビールを飲みながら仕事のメールを返した。ブロッコリーを湯でてマヨネーズで食べる。最高だな。マヨネーズ大好き。兄は病気になるんじゃないかって程にマヨネーズを愛していたけど、私は嗜好品としてマヨネーズを楽しんでる。ありがとうマヨネーズ。今日も大好き。

ワインに手を出し始めた頃、ようやく周ちゃんからメールが入る。心の中で遅いよって思った。もう既にマヨネーズもブロッコリーもビールもワインも私を結構なところまで満たしてくれてる。さっきサミットで買ったアボガドに醤油麹をかけたものをつまみ始めて、キハダマグロの血っぽい味も、俄然私を満たし始めてる。結局のところ、私はもう甘えたくない。良好な甘えはいいけど、ただ目の前の不幸を愛している人の所為にするような甘えはお門違い過ぎる。そうゆう女、過去の私も含めて結構知ってる。男が何かを叶えてくれると信じてる感じの、幸福を人任せにしてしまう女。素直で真面目で優しい子が多いのだけど、残念ながら違う。男は性として男になっただけで神様じゃない。女と同じように頑張って生きてる。愛しているのと自分が幸せになるのは違うベクトルで進んでるのに、そこを履き違えると過去の私のように大変なことになってしまう。幸せになりたいと愛を信じたその先には想像しないような不幸が待っていたから。

だから、周ちゃんの私への気遣いが遅くてもいい。どうぞ、ごゆっくり。それと愛とは別物。私の幸せは私のご機嫌は私が取る。ああ、悔しい。今日は呑みまくって、明日酒気ぷんぷんで朝一番の病院へ行こう。結婚も愛している男も私を幸せにしてくれるものじゃ無い。寧ろひとりの方がずっと余計な事を考えないで済むし、幸せへの道は早い気がしてる。

一回休もう。気持ちが落ち着かなくて嫌だ。上手になんてこなさなくていい、それよりもちゃんとやりたいだけ。私の気持ちをもう置き去りにしたくない。来週は瞳ちゃんと青山で買い物しようと約束をしてる。たっぷりと私を甘やかそうと思う。友達って最高にラブリー。

夕飯

夕飯 17.2,2022

今日は夕方にロケハンに行くだけ。最高。急ぎの仕事は一つもなし。後は来週にやればいい。いつも通り6時前に起きたけど、ベッドの中でぼーっとした。朝陽が部屋中に入ってきて気持ちがいい。本を読もう。手に取ったのは江國香織さんの本。周ちゃん家の本棚からいつだったかに借りてきた。朝から不倫の話はどうかなと思ったけれど、気持ちよく読んだ。家庭を持つ男の人と不倫する独身女性の話。正直もう好きじゃないし、過去に愛はあったかもしれないけど、もうとっくに呆れていたし、そんな自分が多分好きじゃない。だから、悲しみもなく別れて新しい暮らしを始める。そういう話だった。いい話だった。

何と無く面倒だったり、億劫だったり、初めてで少し怖かったり、そういう事を離婚してからは敢えてやろうとなった。役所に納税証明書を取りに行くのもそのうちの一つ。今日は空が青い。すごく青い。こんな日に籍を入れられたらいいのになって思いながら役所に向かう。税務署か。何も悪いことをしてないけど、何だか怖い。世田谷警察に行った時もそうだった。まるで隠し事でもしているかのような気分になる。あちこちとたらい回しにされながらも無事に納税書を受け取って帰宅。昼食はご飯を炊いて、昨晩の残り物を簡単に食べた。夕方にロケハンが一本入ってる。帰りにワインでも飲んで帰ろうかな。

結局、思ったより帰りが遅くなって家路についた。それにしても今日は寒い。明日の準備をして早々に寝よう。寝る前に周ちゃんに電話した。今朝、見つけた100平米の家のこと。先週見つけた家に決めていた筈だったのだけど、段々と違う気がしてきた。周ちゃんの職場には近いけれど、駅までの道があまり好きじゃない。田舎だから東京の様に歩道が少ないのは仕方ない事だろうけど、あの道を梃子とは歩きたくない。それに、陽当たりは最高だったけれど、北に一つ、南に一つある書斎をどう部屋割りするかでもめた。「全部が南向きの部屋なんて無理でしょうよ!うちみたいなマンションじゃないと難しいよ。」私が文句を言った。私は北向きの部屋なら引っ越したくない。わざわざ田舎へ引っ越して、北向きの部屋になるなんて嫌だ。そして、今週になって思い出した。私100平米の家に住むのが夢だったんだ。引っ越すなら今の家より素敵じゃなきゃ嫌。これが第一条件だった。すっかり、色々な条件に惑わされて大事な事を忘れていた。仕方ないよね。だって、どこかで折り合いつけなきゃ。何度も周ちゃんにそう言ったけれど、周ちゃんにとって、ふたりにとって良かろうと思っていたけど、私ひとりだったら絶対に住まない様な家に住もうとしてた。危ない、危ない。それは折り合いじゃなくて、我慢だ。危うくまたやっちゃうとこだった。

「あの家、すごくない?」「お風呂、お洒落だね。」「そうなんだよー!あの家リフォームした人洒落てるよね。」古い家だけど、所々に洒落っ気が散りばめられてる。部屋の数はちょっと多すぎるけれど、キャッチボール出来そうなくらい広い庭がいい。木々が緑緑しくて、こういう庭の家に住みたかった。だけど、ペットについては申し込み後に交渉なのだそう。なんか面倒。そんな話の流れで、幾つか他の物件も内見へ行こうとなった。「そういえばあの階段が可愛い家にも行こう。」周ちゃんが何度も推していた家があった。駅から徒歩26分。それだけで、恐怖!と思って選択肢から外していた物件。条件を細かく見ると結構いい。夢の100平米。そして、全部屋南向き。家の場所をgooglemapで探してみると、緑がいっぱいの場所で何だかトトロが出てきそう!後ろに森、横に畑。通りにも緑が沢山ある。めいとさつきが歩いていそう。「周ちゃん!ここトトロみたいだね。すっごく素敵。ここがいい!」「そうだよ!!牛沼っていう土地はトトロにも出てくる。トトロの舞台となっている場所なんだよ。」周ちゃんから猫バスの絵が送られてきた。猫バスの額には牛沼と書かれてる。ほんとだ。「ここ、参道だね。」「え?」「古くからある大きな神社があるんだけど、この家は参道にある。」「えー!!」参道に住めるんだ。それに、引っ越すならこれくらいの田舎がいい。「周ちゃんここにしよう!!」家探しをして初めて胸が高鳴ってる。私の第一条件、今の家より素敵な事はこれで完全にパス。周ちゃんの条件で半ば諦めていた川の近くである事もすんなりとパスした。家から歩いてすぐの所にトトロに出てきそうな川がある。春になると桜並木になるのだそう。

「周ちゃん。今度、トトロ一緒に見ようよ!」

ナスの油みそ

おかず, 夕飯 15.2,2022

先週までの怒涛の忙しさが終わって、ようやくいつもの日常が戻ってきた。ここ数日、悪夢を見る。これで3度目。2度目の夢はしっかりと覚えてる。元夫にまたお酒を与えてしまった男、元夫に会社を作った男が、あの夜みたいに私を責めていた。酒の席で見かけると、昼間とは違って饒舌に女性を否定する様な言葉を時々聞いた。九州出身だから仕方ないんだろうと当時色々がまだ無知だった私も同じ様に彼を差別した。「もっと菊地君を立ててあげないと。」妻でしょ。黙ってなよ。夫がどんなに酷いことをしようと女は立てないと。いつもの様に悪酔いして喚きだした元夫が私の頭を叩き始めた時に彼は笑っていた。女に暴力を振るうのはやめなよ、じゃなくて、女って面倒。そんな眼差しで私を嘲笑う様な感じだった。元夫からも何度も聞いた。「シガキがさ、スーちゃんが俺を立てないから悪いって言ってるよ。」妻なんだから、夫を立てなよ。何度も何度も聞いた。目の前に酷い現実が起きてるのに、今日もまた夫は私に嘘をついて、仕事もしないでお酒を飲んで、泥酔して、暴れて、怒って、喚いて。いつもお金が無い。いつも何処で何してるのかわからない。帰ってこない。音楽の為だと言うけど、今日もお酒くさいよ?毎晩、打ち合わせだと言うけど、仕事もしてないのに夜中に誰と打ち合わせしてるの?携帯に入ってきた女からのメールは誰?約束はいつも次の瞬間から消えていって、それなのに、それだけど、どうやったら夫を立てたらいいんだろう。夫を信じたいのに信じることが出来ないのは本当に私の所為なんだろうか。私がそう思えないから悪くて、もしくはそう思う様に努めることが妻の役目なんだろうか。食卓に料理を並べて待っているだけなのに、暗闇がじりじりと私を詰めて詰めてもう崖っぷちなのに、もうこれ以上は下がれないのに詰めてくる様な毎日だった。

夢の中でまたあの男に責められていた。だから、あなたが悪いよね。堂々と傷つけてくる夫がいても、それは男だから、それは才能だから仕方ないでしょ。じゃあ、世界ではそうだったとしても、私の痛みはどうしたらいいんだろう。暗闇がじりじりと焼き付けてくる。あの感覚を全身で思い出す。

今週末か来週末に籍を入れる。もしかしたら、結婚、怖いのかもしれない。どんどん病に侵されていく元夫と、取り巻く世界。あんな場所には2度と行かない。だけど、記憶が私を襲い続けてる。周ちゃんとの未来は楽しみなのに、結婚が私を引き止めてる。

なすの油みそ / 土井善晴さんのレシピを少しアレンジ
なす 大2本 1cm幅の輪切り
青紫蘇 大量 荒く切る
赤唐辛子 1本
砂糖 大さじ1.5程
味噌 大さじ1.5程
水 大さじ2〜3、冬なすの場合に水分量を足す為
サラダ油 大さじ3程


油でなすと赤唐辛子を炒めて、そこに調味料を足して(必要があれば水を足す)全体になじませてから、火を止めて紫蘇を入れて混ぜ合わせる。

夕飯

夕飯 02.2,2022

朝から撮影。疲れた。だけど、今日も楽しかったな。3年ぶりにスタイリストの佐野さんに会った。佐野さんは髪をショートにして明るい色のカラーだった。イメージが大分変わってて最初はわからなかったけど、あー佐野さんだ〜って直ぐに思い出した。「よしみさーん。」佐野さんって本当に好き。優しくて穏やかでチャキチャキと動く。嬉しいな、久しぶりの佐野さん。一緒に働くの、楽しい。

コロナ前は連載の仕事で毎月会う撮影チームが幾つかあったけど、今はどれもコロナで解散となった。久しぶりのチームでの撮影。新鮮だったし、佐野さんがいたり、キムチ仲間の花沢さんもいて嬉しかった。帰りのタクシーで花沢さんとたわいもない事をお喋りした。お腹はペコペコだし、早朝からの撮影で疲れてるけれど、こういう時間がいいなって思う。結婚してた時は夕方は忙しなくて嫌いだったけれど、今は好き。今日楽しかったな。そして今日の夕飯は何を食べようかな。焦らないでノンビリ考えられるようになった。お土産に貰ったビールが2本。コートのポッケの中でズシリと重い。今日は二本飲んじゃおう。

花沢さんが上馬で降りてから周ちゃんにLINEした。 “今帰ってるよ。夕飯何がいい?” “お疲れさま。8時40分頃に着くよ。疲れてるだろうから納豆ご飯でいいよ。アップルパイと明太子のパンのお土産があるよ。” あ、こないだアップルパイの話をしたからかな。帰宅して直ぐに財布を持ってサミットへ向かった。

夕飯は昨日のキノコのお味噌汁にご飯を炊いて、レンコンのナンプラー炒め、生わかめの上に釜揚げしらすをのせたもの、青梗菜と豚肉の中華煮炒め、見切り品のシャケハラス、ルッコラのサラダ、納豆。お風呂から出てビールを飲みながら、10分くらいで作れるものにした。炒め物は素晴らしい調理方法だと思う。切って、油を引いて、焼いたり、煮たり、さっと作るのが美味しい調理法で、それが直ぐに温かいうちに食べれる。

今日も美味しくていい一日だった。仕事帰りの周ちゃん。スーツみたいな感じの服装で失神するかと思った。あ、写真撮りたかったな。ニヤける私の顔をまっすぐにのばすのに精一杯で写真どころじゃかった。

夕飯

夕飯 23.1,2022

東京フォーラムの骨董市がコロナで中止となったので、立川の神社でやってる骨董市へ行く事となった。知らなかったけれど、周ちゃんは骨董のコレクターなのだそう。家にある本棚には、変なものが沢山置いてある。ガラクタって感じじゃなくて、一つ一つ意味がありそうな雰囲気が漂ってる。そして何だか不思議なのだけどお洒落。こないだ同僚の学芸員の高橋君が家に来た時、二人の盛り上がり方が異常だった。古くて意味のあるものが好き。よくわからない言葉を一生懸命に話して笑って同意し合ってた。

周ちゃんは骨董市で石を二つ。私は皿を二枚買った。その石はドングリ等を潰すのに使われていたものと、包丁の役目をするものだったそう。縄文っていうワードが周ちゃんや店のおじさんの口からよく出てきた。そして、おじさんに気に入られた周ちゃんは、骨董の有名らしい売り物の雑誌を貰ってた。前にも氷見で畑をやってるヨロさんに氷見のアートの雑誌を貰ってた。周ちゃんと話すと何かが刺激されてあげたくなるのかな。

私が買ったお皿についてもおじさんと色々と話をしてたけど、全くよくわからなかった。窯元やいつの時代のものだとか話をしてた。世の中には知らないことが沢山ある。私はただ、可愛ければ何でもいい。「お皿、あまりこだわりなくて。別に高価とか人気とか、あまりそういうのは興味がないんだよね。だって自分が毎日使うものだから。好きなのがいい。だからそんな高いのは必然的に買わないよね。」私の言葉に周ちゃんはすごく喜んでた。どこで喜んでるのかわからないけど、何かヒットしたみたい。新しい器には納豆を入れた。

夕飯

野菜, 夕飯 21.1,2022

今夜こそ周ちゃんがくる。午前はデスクワークを済ませて、午後は人形町へ撮影。今日は編集の柳瀬さんと。久しぶりだな。今日もとっても可愛い。柳瀬さんはコジコジが好きなんだけど、コジコジみたいな雰囲気が漂っていて、一緒にいると春みたいな気持ちになる。お土産に人形焼を頂いた。周ちゃんと食べよう。

急いで帰って夕飯の準備。昨日、周ちゃんに作ったロールキャベツをメインとしよう。あとは、揚げた茄子が好きだって言ってたから、揚げなすとタコのピリ辛和え。藤井恵先生のレシピ。ビールによく合うから昨年の夏はよく作った。あとは、周ちゃんは豆が好きだからスナップエンドウのナンプラーがけと、金平牛蒡かな。

周ちゃんが到着したのは19時過ぎ。仕事を終えていつもの様に埼玉から自転車で来た。アメリカで手袋を片方なくしたそうで手が凍りみたいに冷たい。温かい麦茶を飲んで、一緒にお風呂に入ることにした。今夜はジャスミンのバブにした。冬になるとハマりだすバブ。バブ特有のジャスミンの香りがお風呂場に漂ってる。いい香り。湯船に浸かってたわいもない事を話はじめた。本当は寝るときにベッドで話そうと思ったけれど、周ちゃんの顔を見たら何だかすごく話したくなって兄の事を話始めた。兄の事もだけど、結婚は良いもんじゃないという話もした。兄が担った父という役割、私が1度目の結婚で担った妻という役割。生活をスムーズに進める為には大事な事だし、家族が上手に回る為にも必要だと思う。だけど、そこに堕ちてしまうこともあるみたいって。

これから結婚する事がネガティブだとは思ってない。だけど周ちゃんには少し不安な話に見えたみたいだった。周ちゃんは初婚。私の話す内容を頭では理解しているようだったけれど、未だ実際には見たことがない景色のことを真剣に聞いてた。そして答えを頭の中に探しながら一生懸命に話してた。ずっと話してた。私が茹でタコになっても気づかずに必死に話し続けてた。顔が火照ってぼーっとする。周ちゃんっていう人はいい人間だな。そろそろ出たい。話のお尻が全く見えない。「周ちゃん、のぼせたよ。」「またお風呂で討論やっちゃったね。」

周ちゃんの答えはとても良かった。「結婚は、相手が自分のする事で幸せになるんじゃなくて、相手の幸せを願い続けるものだと思う。だって所有物じゃないからね。」周ちゃんが言った。うん。私もそう思う。心理学で学んだ事で人間の愛情についての講義があった。人は誰かに愛を与えるという行為が自分を愛するという行為にもなるという事。だけど、それは循環していなくてはいけない。与えて受け取る。その輪の中にはきちんと自分の身も置いてあげること。愛が欲しいから、愛を与え続ける。返ってこない愛に、あれ、足りないのかな。もっともっと愛さなきゃって、愛をどんどん与え続けてしまうことがある。それは生きる為に必要な愛だけど、循環しない愛はどこかに滞って冷たくなってゆく。だから、もっともっとってなる。愛が欲しいと思う事は決して間違ってないけど、ちょっと悲しいことだとも思う。だから、そうならないように、見ててあげようって話をした。今日どんな1日を過ごした?とか、今日何をたべた?とか、その人が毎日変化することを、少しだけどんよりしてる顔だとか、いつもと少し違う仕草だとか、平和に幸せの中に身を置けてるのかどうか。愛されたいからそうするんじゃなくて、愛とは別。幸せになって欲しいと願おうと。

だから、もし、愛が循環しなくなったら、たとえ大好きだったとしても、さよならしようと伝えた。お風呂から出て缶チューハイを一気に飲んだ。完全にノックダウン。

晩酌

夕飯 09.1,2022

今日は周ちゃんが隔離されてるホテルへ差し入れを持って行った。もう隔離は終わるのだけど、何だか日に日に顔から元気が少しずつ少しずつ無くなっていくのが気になった。うちから電車で1時間くらい。場所は幕張の方。テレビ電話の向こうに青い空と川の様なものが見えたけれど、あれは東京湾だったらしい。私が到着した時、今日隔離が終わった人達がバスに乗り込んでる所だった。その後にもシャトルバスが3台待機。中年の男性が声を荒げて怒っていたけど警備員さんは慣れた感じで誘導していた。「差し入れですか?すみませんね。もう少しお待ち下さい。」しばらく待つ事となった。ホテルの入り口は白いテントの様なもので覆われてる。周ちゃんに電話してホテルの下に着いた事と中年の男性が怒ってる事を伝えた。殺伐とした様子に少し不安になる。「今日は他の部屋で女性が発狂してたよ。」電話の向こうで周ちゃんが言った。

いく先々の空港の様子を写真で送ってくれたり、PCRをまた受けたとか、アメリカの街での状況だとかを逐一聞いていたけど、実際に自分が少しでも触れると怖く感じた。今日は来て良かった。知れて良かった。携帯から見える景色はつるっとしたままで空気の色だとか温度まで感じられないから。荷物を係の人に渡して、周ちゃんの部屋が見える場所へ移動した。9階を見上げてみる。「見えるはずないよね!」って話してたけど、笑ってる表情が見える。お互いに手を振りあった。3週間もの間ずっとテレビ電話の中にいた周ちゃん。生の周ちゃんを捉えた目から全身に血が巡るみたいに充足感で満たされていく。いつもなら電話を切っても直ぐにまた電話したいと思うのに、今夜はこのまま静かに寝れそうだなと思った。人間って面白い。色々を感じるように出来てるんだな。

ホテルの横に寿司屋があるのを見て、今夜は寿司にしようと決めたのに、イカリングが無性に食べたくなったのでイカリングの惣菜をサミットで買って帰る。後はスナップエンドウを湯がいて冷蔵庫に余ってるおかずを並べて晩酌を始めた。22時過ぎ、いつもの様に周ちゃんに電話すると差し入れしたミカンを嬉しそうに食べてる。「沁みる〜。」満面の笑み。さっき見たばかりの周ちゃんがテレビ電話の中にいる。私じゃなくて身体のどこかが言った。目で見れたのだから、次は触れたい。何だか無性に会いたくなってきてる。私の欲望、怖い。

ふみえさんのお粥とスーパーのアジフライ

夕飯 27.12,2021

気付いたらもう昼。ほんとに厭だ。イライラしてくる。苦しい。時間が無くて苦しい!ベッドルームが朝陽で一杯になる頃、この本だけは読ませてと私にお願いした。カウンセラーさんの本で、プリマリタルカウンセリング、日本語で言うと婚前カウンセリングについてよく書かれた本。アメリカでは一般的らしい。1時間くらい夢中になって読んだ。ああ、また心理学を勉強したい。掃除機で一瞬で吸引されてしまうみたいに本の中に落ちていった。時間に追われるように洗濯だの、昨日の撮影データの入れ替えだの、瞑想だのをしてたら時間が勝手に過ぎていく。ほんとに苦しい。

簡単な化粧とランチ用のパスタを作りながら映像データでパンパンになってしまったHDDの買い替えたりを同時にやって食べてダッシュでカメラバッグを片手に駅まで走る。もう厭だ。疲れた。ほんとに厭。寒いのも辛くてダブルアタックされてる。青くて澄んだ空も何だかひんやりしてて優しくない。そうして一本電車を乗り過ごした。ふみえさんのアトリエへ急ぐ。「お疲れ様〜。」ふみえさんが笑顔で迎えてくれる。いつも元気なふみえさんといると、私の感情が上を向いたり下を向いたり忙しなく浮遊するのがわかる。ふみえさんも氷見でのシェフインレジデンスから帰ってから猛烈に忙しい師走を駆け抜けてる。私と同じ状況なのに最近ハマってるキックボクシングにさっき行ってきたの!とご機嫌な様子。未だ私はもう厭だを心で連呼中。それにしたって嫌すぎる。もしかしたら、ホルモンバランスが崩れてるのかな。何だかおかしい。

フミエさんを見習おう!フミエさんの太陽みたいな笑顔に少し元気が出てきた。よし、今日はストライキ。もう仕事はしない。帰りにデパートでアディクションの口紅を買って帰ろう。三茶のスタバに寄って甘い物を食べながら年末の暇を持て余してるみたいな女をやろう。コーヒーとマフィンを買って二階奥の席につく。シーンとした店内は混み合ってる。遠くにややかっこ良さげな男の子を見つけた。ああ、周ちゃんに会いたい。デンバーに着いたと今朝連絡があったけど、あなたは今何処だい。コロラドに入ってから一切の連絡が無いじゃないか。何だか、電話って言う連絡網が途切れたら急に忘れてしまいそうな気持ちに襲われてる。周ちゃんって本当は夢なんじゃないか。当たり前な昨日が世界から急に消えてしまう事を私は見た事がある。だから、ここにいない周ちゃんを信じてない。あれは、世界で一番に愛していた男がナイフを持って刺してくるような現実だった。最高と最悪がミックスして、プラマイゼロじゃなくて、最高と最悪がただ身体を引きちぎるみたいに対極に存在して、むちゃくちゃ痛い。ちぎれてくれた方がずっといい。どっちかの気持ちになれたらどんなに楽なことか。

あれ、ものすごく痛かったな。周ちゃんの顔が見たい。動く周ちゃんを見たい。私の毎日はこのままだと完璧になってゆくよ。きっとストライキが明けたらまた直ぐに絶好調になる。そしたらどんどん周ちゃんがいない今日が日常になっちゃう。

夕飯はキノコのお味噌汁をささっと作って、フミエさんに頂いた自然食で作ったお粥とスーパーで買ったアジフライ。何だかニコチンパッチを張りながら喫煙してるみたいな気分。周ちゃんからLINEが入った!

ロゼ

夕飯 24.12,2021

朝一番で梃子の術後の経過診察で病院へ。炎症が起こってた。「気づきませんでした?」先生の言葉が胸に響く。ああ、何やってんだろう。毛が伸びきってるとはいえ、気づいてあげれなかった。もしかしたらまたお尻を何針か縫うかもしれないとの事。その10倍でもいいから私のお尻を縫って欲しい。もうこれ以上は手術をさせたくない。

帰って直ぐに納品を済ませて美容院へ走った。朝6時からNYの街を歩き回りながら、街並みを動画で見せてくれる周ちゃんと長電話したのが悪かった。いや、どうして私達が出会ったのか、それは運命なんかじゃなくって必然だ!みたいな話で私が熱く世界に起こる必然について語ったから悪い。そして私よりもずっとずっと熱い男だった周ちゃんに火をつけてしまったのも後悔してる。大興奮の周ちゃんはブルックリンまで歩きながら熱弁が止まらなかった。というわけでなんだかすごくバタバタしてる。よくわからない服をパパッと来て、午後のロケハン用にカメラをカバンにしまう。今日は久しぶりにカラーリングをする予定。周ちゃんにだって一ヶ月は会わないし、クリスマス以降は家に篭ろうと思ってる。誰に見せるわけでもないけど、美容院へ行ってこぎれいにするのも悪くない。いや、すっごくいい。 私がご機嫌でいる為に美容院。なんて贅沢なんだろう。最高。

いつもの美容院で髪をカットしてカラーリングして、いつもの様に美容院の隣のポストカード屋さんでポストカードを買った。アンニュイな感じで店を営む夫婦だろう女性や男性に挨拶をする。これが毎月のルーティン。今日は後藤さんに渡すクリスマスカードと、パリのまゆみちゃんにニューイヤー用のカードを買った。気まぐれでポイントカードも作って貰った。きっと明後日には捨てちゃうかもしれない。朝方、まゆみちゃんからメールが入ってた。”おめでとう!手紙読んだよ!” 一ヶ月前に送ったプロポーズされた!というびっくり仰天してる手紙がようやく届いたらしい。何だかすごく嬉しかった。表参道の駅でベーグルを買って上原へ。後藤さんのいるお店でヤスコちゃんと打ち合わせ。

駅を出て通りに出ると、窓の外からでも後藤さんが笑顔なのがわかる。本当にこの人の笑顔が好き。お昼の代わりにブラウニーと紅茶を頼んだ。後藤さんと色々とお喋りして、ヤスコちゃんと週末の撮影の打ち合わせをして店を出て下北沢でロケハン。夕陽が綺麗。空が綺麗。冬の淡い空ってどうしてこんなに綺麗なんだろう。光の加減だってすごく丁度いい。最高だな。帰り道にずっと空を見てた。

梅ヶ丘駅で降りてリカーなかますでロゼを一本。「今夜ひとりで呑む様にカジュアルなロゼをください。」「甘いの?フルーティー?さっぱり?」お店のおじさんはいつも丁寧に聞いてくれる。今日は2000円くらいのワインにした。イブだからかいつもより店は混み合ってた。最高だよね。美容院行って、好きな人に会って、ワインを買う。今日は酔っ払おう!朝にHPの問い合わせフォームから知らない方からメールを戴いた。日記読んでます。励みになりますって書いてあって、そこには酔っ払ってメールしてますって書いてあって、最高!って思った。いいよね。酔っ払ってメールするの。

私は酔っ払った人が怖くなってお酒を飲む人が少し苦手になっちゃったけれど、お酒は悪いもんじゃない。何だかすっごく素敵で粋な感じだった。だから、今夜は飲む。家はずっとクリスマスソングをしつこくかけてやろうと思う。そして、NYが朝になる頃、私はへべれけで周ちゃんからの電話に出る。きっとご機嫌で。

今朝、周ちゃんに話した。「なんかさ、こないだ気づいたんだよ。もしかして、今って人生で一番幸せかもしれないなって。」周ちゃんに出会ったから幸せっていうんじゃない。仕事だとか、人間関係だとか、家族とか、そして周ちゃんとの出会いも。ぜーんぶがいい。「えー!!本当に!!」周ちゃんはビックリしてた。「だってさ。生きてて、今より幸せな事ってあった?最低とか最高とか沢山あったけど、だってそうでしょ。」幸せになる為に毎日生きてる。今が一番じゃない理由なんて何処にもない。だって、毎日頑張ってるもの。毎日毎日、今が幸せになる為に、恋愛だけじゃない仕事も色々も全部頑張ってるもの、今が一番でいたい。もし、最低な事が起きても、そうじゃなくなるように頑張ってる。だってさ、生きるのって頑張ってることだよね。何もしなくたって、空気吸ってるだけで疲れる事あるもの。だから、今日が一番であって欲しい。

ラザニア

夕飯 20.12,2021

昨日、所沢の周ちゃん家でミュージアムのキュレーターの同僚達とピェンロー鍋をした。優秀な仲間だと日頃からよく話は聞いていたけど、想像以上に世界の違う場所に位置する人達だなぁと思った。周ちゃんもそうだけど、彼等はアートに関するプロフェッショナル。とにかく色々な事を熟知していて、ただただ感心する様な言葉くらいしか私からは出てこない。

同僚の高橋君は周ちゃんと歳も近いし、何だか風貌も少し似てる。そして、周ちゃんの色々を知ってるみたいで、周ちゃんが私に話さなかった恋の始まりにあった事を当たり前の様に教えてくれた。中には赤面してしまいそうな事もあったけれど、とにかく一つ残らず戴いて、明日にでもニヤニヤしながらテーブルに広げて愛でたいと思った。

それにしても、好きな男の友人だとか同僚に会うっていい。私の知らない周ちゃんっていう男に出会ってしまった。その人は想像以上にいい男で、時空を超えたどこかで同僚となってエレベーターで「お疲れ様、休憩にコーヒーでも飲まない?」なんて、内心ではドキドキしながらフレンドリーに声をかけてみたい。とにもかくにも、惚れ直した夜だった。

お陰様で私の恋に火が付き助走して母に伝えたLINEが事故となった。”新年明けて、ママパパに紹介したら結婚しようと思ってる。” 彼氏が出来た事ですら母にとっては衝撃的なニュースだったのに、大分すっ飛んだ報告をしてしまった。周ちゃんは油が馴染んだ茄子が好きだと聞いていた。だから今夜はラザニアに揚げた茄子を入れたら最高だろうと作ってみる。携帯がバイブしてる。ディスプレイには “パパ” と表示。19時半。絶対にもう晩酌が始まってる時間。一気に気分が落ち込んで行った。親が子供を心配するのは当たり前だと思う。だけど、私がようやく離婚の闇から抜け出せたのに、この1年の間、少しずつ少しずつ、本当に亀の一歩くらい小さなステップで前へ進んで出会った恋。あれだけ怖かった男性にまた触れられる日がやってきた。今でも周ちゃんっていう人がいつどこから降ってきたのか理解出来ないくらいに、世界が真っ逆さまにひっくり返った。だけど、父も母も喜んでいないんだ。あの二人はあの過去に留まったまま。

何も知らない風呂上がりの周ちゃんは満面の笑みでラザニアを頬張ってる。美味しい美味しいって、なんども美味しいと言って食べてた。この人を悲しませたくない。周ちゃんは好きだった女の両親に婚約を破棄された過去がある。その時の事を 、人生ってどんなに頑張ってもどうにもならないことがあるんだよねって笑いながら話していたけど、それは私には大抵想像が出来ない哀しみだよ。

不安がただ募る。

夕飯
茄子とミートソースのラザニア
シラスと蕪のオイル和え
柚子の味噌漬け
蕪の葉の台湾風
昆布のナンプラー佃煮
納豆
野菜の味噌汁
ご飯


ハヤシライス

夕飯 14.12,2021

母に車で駅まで送って貰った時に聞いた。「1月って忙しい?ちょっと紹介したい人がいるんだけど。」「BFだよ。結婚前提に付き合ってる。」「あらまぁ。どこの人?」「北海道出身だよ。」「良かった、関西だけは嫌。」

電車に乗ってから、母に周ちゃんの色々を改めてメールした。表参道でヤスコちゃんと打ち合わせしてから、病院へ。母から着信。あ、気にしてるんだろうな。”病院だから、終わったら電話する。”

「だって、アッちゃんやヤッチャンが兄弟としてよしみを想うのと、ママやパパが想うのは違うのよ。あんな経験しなくていい事なのに、ママとパパは、だから心配なのよ。相手がどんな人であろうと、立派だろうがいい人だろうが、きちんと相手を見たいの。」私が勝手に選んで勝手に不幸になったのに、母は父も、自分達を責めてるように聞こえた。

離婚の話をするのは久しぶりだった。姉とは何度も何十回、何百回としてきたけど、父は何も言わない。兄や母はあの過去を封印してるみたいだった。「ママ、あの人の名前はお願いだから出さないで。」私だけじゃない。私達家族が、あの離婚に今もトラウマを持ってる。家族の全員がきっと関西弁を聞くだけで胸の奥がちくちくと疼くんだと思う。もう二度とあんな出来事は起きる筈ない。もう私を苦しめる人は私達家族の前から去った筈なのに、今も尚、私も家族もあの過去に苦しんでる。

仕事を終えた周ちゃんが夜遅くに来た。母との話を話すかどうか一瞬迷ったけど、話すことにした。周ちゃんはぎゅっと私をハグして背中をさすってた。私達の苦しみを彼は今どう見ているんだろう。肩越しに夜の窓を見ながら目頭が熱くなった。そろそろ声も震えそう。だけど、泣くのをやめた。過去を偽ったり隠したくない。だけど、あの苦しみや恐怖の事は知らなくていい。

夕飯

夕飯 01.12,2021

午前は請求書の作成とか事務作業。午後はヨドバシへ機材を買いに。その帰りに伊勢丹で新年用にhankypankyでパンツを買って、青山で周ちゃんにクリスマスプレゼントを買って、中西君の事務所へ行った。先週、周ちゃんが急にヒバの丸太を買ってくれた。クリスマスは日本にいないから先に渡して置きたいって。丸太を貰ったのは人生で初めて。翌日に立派な丸太が届いた。私は周ちゃんが好きなヤクのセーターにした。出会ってすぐの頃、チベットの方へ行く前って、本物のヤクに会いたいと切望しちゃうよね!って話が盛り上がって、その時の周ちゃんの顔が好きだから。

中西君とは来週の撮影の打ち合わせをして、ちょっとだけ近況報告をして帰宅。中西君に離婚を報告した時、結構親身にメールをくれた。今度ご飯を食べようって約束したけど、あっと言う間に1年くらい経ち、気づいたらまた冬。けど、元気そうで良かった。何となく報告した方がいい気がして「結婚するかも。」って伝えると驚いてた。私は多分恥じらってた。本当は「結婚しようと思うの。」なのに。私って本当にダサい。

夜中に目が覚めて周ちゃんと電話した。今日あった事。私ってダサいよねって話をすると笑ってた。周ちゃんは職場の既婚者の先輩方に色々と指南して貰ってるらしい。多分、私はまた失敗したらどうしようって気持ちが心のどこかにあるんだろう。そんな現実が来たら恥ずかしいって。婚約をして二度目の結婚の準備をしてる。失敗するかもしれないし、しないかもしれない。未来なんて未だ何処にも無いのに。「それってさ、こないだあなたが言ってた季節物じゃない?」周ちゃんが言った。そう、私もそう思った。事実婚か法的結婚なのか未だ決めてないけど、結婚は指輪が手元に来た日にしようって二人で決めてる。

「独身も残り2ヶ月くらいだね。周ちゃんは何か思う?」「独身に全く未練が無いよ。それよりもこれからの事ばっかり考えてる。それに既婚者だって思われた方が楽だよ。」一回目の結婚の時は独身が終わるのをカウントダウンしてた。ああ、人のものになるのか。名前が変わったり、指輪をつけたり。何だか全く違う世界に行ってしまうような気がしてたけど、案外世界は何処までも繋がってた。

この恋もそのうちに愛になる。愛になる前に感じておくことがきっと沢山ある。これは旬だものね。恥ずかしい事じゃない。正々堂々と恋をして、大切な友人達にもちゃんと報告していこう。

夕飯
春菊と若布の味噌汁
卵と納豆
しらすと野菜のペペロンチーノ
カツオのたたきと檸檬醤油
出し忘れたコロッケ

夕飯

夕飯 27.11,2021

半同棲開始2日目。ランチは周ちゃんの山形時代の友人が西調布の手紙舎のカフェで今週末だけランチを出してるから食べに行こうとなった。店に着くと、たいちくんという爽やかな男性と隣に小さくて可愛らしい女性が挨拶してくれた。二人は夫婦で少し前に結婚したのだそう。周ちゃんは私の事を婚約者ですと紹介したけど、未だ半生みたいな婚約者なのに周ちゃんの旧友にどんな顔をしたらいいんだろう。ちょっと変な気分。

周ちゃんはたいち君に「結婚の先輩として、色々教えて欲しい!」と言った。たいち君は照れながら奥さんとなりそめを話し始めた。”四国の方に勤務していた時に、仕事先の建築事務所で結婚についての話しになったんです。所長が「寝室は別に作って置くのがいいよ。」と若者達にアドバイスをしたのだけど、尊敬してる所長は奥さんと寝てると言う。どういう事だろう??そこから結婚について深く考えるようになって、自分にとってそれが誰なのかを想像してみたら数日後にぱっと今の奥さんの顔が浮かんだんです。それで、翌週に彼女が住む名古屋まで車を走らせて、結婚したいから付き合って欲しいと告白して、二年半後に結婚しました。彼女はすごいんですよ。デンマークに機織りを学びに行ったり、好きな料理を仕事にしたり、自分にはない色々を持っていて。友達としても憧れていたし、尊敬しています。今、三重の古民家で彼女が料理をするカフェを作ってるんですよ。”

何だか可笑しい。人って面白いよな。似たようなって言ったら失礼だけど、たいち君って人が周ちゃんの友達だってよくわかる。周ちゃんはたいち君の話をする時に「彼って本当にいい人過ぎて心配なんだよ!」と言ってたけど、周ちゃんもきっといい人なんだろうと思った。私達は婚約者となったけれど、周ちゃんの事を全然知らない。話は沢山聞いたけど、未だ何百ってあるパーツの一つに過ぎないんだと思う。そこには良いものだけじゃなくって、私とは合わないものもある。結婚して10年経っても初めて出会うようなものもきっとある。こうやって、彼を知るきっかけを世界に見つけるのは何だか楽しかった。

帰りの電車の中で事実婚と法的結婚についての話をした。ちょっと前に名字が変わってアイデンティティーが崩壊した事を話した時に周ちゃんは驚いていた。「僕が名字を変えてもいいよ。」とその時は言ったけど、そういう話じゃ無い。お互いにとっていい形にしたい。事実婚をネットで調べてるけど、もっともっと多面的に知りたい。沢山話し合って考えて決めたい。よくわからないまま、知らないままに、皆がそうだからっていうだけで法的結婚を選んで苦しんだ過去を今でも後悔してる。

夕方から撮影が一本入ってて、仕事に出かけた。北風が強くて寒い。仕事の時の写真ってどうとるんだっけ?昨日辺りから急に不安になった。緊張とかは無いけど、ただわからなかった。私の色々が今まで通りじゃない。いつもの様に撮ればいいんだけど、そのいつもが今の私から居なくなった。きっと失敗は無い筈。だけど、もう知ってる場所には着地しないよね。何処へ降りるかはわからないけど、多分、大丈夫。

夕飯の前に周ちゃんに、今日の撮影が本当は不安だったけど撮れたって報告すると、すごく喜んでた。家に帰って私の写真を見てくれる人がいる。それだけでこんなに嬉しいんだ。今日は何だかすごく気持ちが良かった。こんな風に飛んだ矢の様に撮ったのは久しぶりだったかもしれない。だけど、怖くなかったな。なんか、これってただの妄想なのか、何なのか。意思に近いのかな。帰る場所がある、私の話を聞いてくれる人がいる。それだけで自由に飛べる気がした。元夫を守る為にそんな苦しさから逃れる為に必死に撮ってきた写真はいつしか私だけの写真になって、もしかしたらこれからは、ただ世界を感じるだけの写真になりそうな気もした。何だか怖く無い。すごく、もう怖く無い。透明人間みたいな感じ。当たっても落ちても飛び降りても、私に牛乳をかけたら真っ白になって、ミルキーな匂いがプンプンするだけみたいな。

夕飯
ご飯
色々野菜の味噌汁
鯖の塩焼き
スペアリブと大根の台湾風
豆苗と挽肉の春巻き
糠漬けと赤蕪の酢漬けのお新香

晩酌

夕飯 12.11,2021

毎日納品マシーンな私。あんなには忙しく無いけど、何だかコロナ前みたい。たったの2年前まで、今とは全く違う生活だった。毎日、毎日、納品してた。忙しくて心が切れっぱなしで、ずっとガソリンが漏れてるまま走って、直ぐにガススタでハイオク満タンにしてまた走る。とりあえず、私が悲鳴をあげたら家庭が崩壊するんじゃないかと恐れて、私の心という物質はこの世に存在出来なかった。

昨晩に見た黒木華さんのドラマでの名言。ずっと鳴り響いてる。「誰にも尽くさない。」完全に痺れた。大好きな人が出来たら是非言いたい。いや、一度は言ってみる。「あなたの事が大好きだけど、私は誰にも尽くさないの。」だけど、もし次に恋人だとか、大切な人が出来たら、私の事を大切にしてくれる人に出会ってしまうような予感がビシビシしてる。それで、私は毎度、カルチャーショックを受けて、「え?何でそんなに優しいの?」って何度もひつこく聞く。「え?ゴミ捨てしてくれるの?」「え?夕飯の買い物してくれるの?」「え?今、大丈夫?って言った?お願い。もう一回だけでいいから言って。」優しさを初めて見た宇宙人みたいに、何度も馬鹿みたいに驚いてしまうんだと思う。っていう妄想をしてる。そんな私の真意はわからないけれど、どうにもこうにも止められない。だって勝手に浮かんできてしまうんだから。

今日はとっても気持ちがよかったな。取材先まで歩いて、帰りも途中の駅から歩いて帰った。梅ヶ丘で大きな大根を一本と、写真家の松村さんに教えて貰った蒟蒻湿布をする為に手作り蒟蒻を買った。楽しみだな、蒟蒻湿布。お腹とか腰とかに温めて貼るだけで一気に色々を吸い取ってくれるのだそう。「すごい効果があるんだよ」と一生懸命に話してた。

そして明日は髪を切る。そんな事でも今日は朝からご機嫌だ。因みに髪を切るのは土曜日にデートをするからではなくて、お気に入りの髪でデートしたら楽しそうだから。いや、絶対に楽しいに決まってる。

晩酌
サミットの鯖の棒ずし
秋鮭の粕汁
小松菜とシラスの檸檬とオリーブオイル和え
いろいろ野菜の醤油麹焼き
大根サラダ
日本酒檸檬サワー